episode13
シャルロッテはジークハルトとウェンも共だって食堂へと向かった。
「いやぁ、まさかロッテがあそこまでするとは思わなかったよ。」
「私は貴族として当たり前の事を言ったに過ぎませんわ。それに勝手に婚約破棄だと騒がれると...腹が立ってしまいますわ。」
「...ロッテ、それは...」
「おぉっと!お二人とも、食堂に着きましたよ!」
シャルロッテとジークハルトが少しいい雰囲気になりかけた所でウェンはそれを遮るかのように声を上げた。するとシャルロッテはようやく自分が何を口走ったのかを理解し赤くなった頬を隠すように両手を顔へあてがった。ジークハルトは彼女のそんな様子を見て彼女への想いがより一層高まったのを感じた。
「さ、さぁ、早くお夕飯へと致しましょう。」
「そうだね。」
「はい。お腹が空いてしまいました...。」
三人が食堂へと入ると少し遅い時間になってしまった為か、人は疎らであった。
「混みあって無くて良かったね。」
「えぇ。今日はどんなメニューなのでしょうか?」
「お二人とも!今日はお肉がメインになっているそうですわ。」
シャルロッテは給仕の者に尋ねたらしく、二人にそれを伝えた。そして彼女は目を輝かせながら「デザートはティラミスですって!」と子供の様にはしゃいだ顔をした。先程、皇女殿下にビンタをかました女性とは別人の様だとジークハルトとウェンは心の中でそう思った。三人は食事の乗ったトレーを持ち席へと着くと手を合わせ祈りを唱えた。そうして楽しく談笑しながら食事をしていると、数人の男子生徒が近づいて来て、「シャルロッテ・オベール!」とシャルロッテの名を呼び話しかけてきた。
「我らが皇女殿下、エリザベス様に対する暴言、暴力!それらに対する謝罪を我々は貴殿に要求する!」
「あなた方は一体どなたでいらっしゃるのですか?」
シャルロッテがそう問うと声を高らかに上げた生徒がかけていたメガネをクイッと上げ名乗り始めた。
「我々はエリザベス皇女殿下の親衛隊である!!」
「...はぁ、エリザベス皇女殿下の...」
どうやらエリザベスには入学前から親衛隊が結成されているようだった。シャルロッテは折角気分が良くなったのに台無しだ...と思いながら親衛隊の彼らへと向き合った。
「言っておきますが...先にこちらにいらっしゃるジークハルト王子殿下に無礼を働いたのはエリザベス皇女殿下でいらっしゃいます。彼女こそジークハルト王子殿下に謝罪すべきではないでしょうか?」
「しかし、エリザベス様もジークハルト様も同じ王族!身分は対等である!」
「...お話になりませんわ。」
「何だと?!エリザベス様を愚弄する気か?!」
「そう言う訳ではありませんが...エリザベス様もエリザベス様ですが、その親衛隊の方々も躾がなっていませんのね?」
「?!...貴様ァ!!」
親衛隊の代表である生徒が声を荒らげシャルロッテに手をあげようとした時、その手はジークハルトによって阻まれたのであった。
「ジークハルト様!!」
「君達がエリザベスに対して敬愛を抱くのは自由だよ?でもね、ロッテに対して無礼を働くのはこの私が許さない。」
「クッ...!!」
代表の生徒が手を振り解くと「覚えておけ!」と言葉を残し、親衛隊を引き連れ食堂から去っていった。
「ありがとうございます。ジークハルト様。」
「当たり前の事をしたに過ぎないよ。しかしロッテ。君は女性なのだからもう少し私やウェンを頼って良いんだよ?決して無理はしないで。」
「...はい。」
「うん。それじゃあ、食事の続きをしようか。」
ジークハルトがそう言うと三人は食事を再開した。そうして食堂は元の楽しい空間へと戻るのであった。




