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綺麗なバラには棘がある  作者: 朱音小夏


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12/25

episode12

怒涛の一日が終わり、シャルロッテは学園寮の自室へと戻ってくると、「おかえりなさいませ。シャルロッテ様」とミサトに笑顔で出迎えられた。


「ただいま帰りましたわ、ミサト。初めてのお留守番はどうでした?」


シャルロッテが笑みを向けミサトへと問うと、彼女は元気よく応えた。


「はい!お部屋を綺麗にしたり、他のメイドさん達とお茶をしたりしました!」

「まぁ、お茶会がありましたの?良かったですわね、ミサト。楽しかったかしら?」

「はい!とっても!どうやら私がメイドの中で最年少らしくて、とても可愛がって下さいました!」

「まぁ。流石私のミサトですわ。」


シャルロッテはそう言うとミサトを優しく抱きしめた。


「ミサト。これから私はジークハルト様達と食堂へ行き夕飯を食べてきます。もう少し待っていて下さるかしら?」

「...あの男共と...」

「ミサト、一応ジークハルト様は王子殿下でいらっしゃるのですから...」

「わかっています...わかってはいるのですが、シャルロッテ様に近付く男が許せないのです...!!」


ミサトの熱い思いにシャルロッテはジーンと来て、子犬の様な彼女を思わず抱きしめた。


「ミサト...!そこまで私を...!ありがとう。でも大丈夫ですわ。私は他のご令嬢と鍛え方が違いますのよ?」


シャルロッテは不敵に笑い、「では行ってきますね。」とミサトに声をかけ部屋を後にした。

寮の正面玄関へと向かうと何やら人集りが出来ていて大声が聞こえる。そして人集りの数人がシャルロッテに気がつくと「シャルロッテ嬢!」と呼び少し慌て始めた。


「何かありましたの?」


シャルロッテがそう問いかけると、声をかけられた生徒が「えぇっと...」と少し言い淀む。


「実はジークハルト王子殿下とエリザベス皇女殿下が...」

「つまり、この騒ぎの原因はあの二人なのですわね。...失礼致しますわ。」


シャルロッテはそう言うと人集りの中心へと向かった。するとエリザベスの大声のお陰で原因となる内容を理解する事が出来た。


「ですから!お夕飯を私とご一緒してくださらないかと言っているのですわ!ね?良いでしょう?ジークハルト様」

「...先程から何度も言っている通り、私は婚約者であるシャルロッテ嬢と約束を...」

「その婚約は無しだと何度も申しておりますでしょう?!」


いつもは仏の様な笑顔をしているジークハルトであったが、今の彼の顔はイラつきに染まっていた。

そんな中、シャルロッテが彼に対し「ジークハルト様。」と声をかけた。すると彼は顔をバッと上げ彼女の姿を探す。そして彼女の姿を見つけると、途端に安堵の笑みを浮かべ「ロッテ...」と優しい声で彼女の名を呼んだ。そんな様子を目の当たりにして、エリザベスの機嫌は急降下し、シャルロッテをキッと睨みつけたのであった。しかしシャルロッテはそれに物応じせず、ジークハルトの隣に立ち、彼に「お待たせ致しました。」と声をかけた。するとエリザベスは声を荒らげシャルロッテに言いよった。


「貴方!王族の方をお待たせするなんてどうかしているんじゃなくって?!それにジークハルト様は私とお食事するの。貴方はお呼びでなくってよ?」


エリザベスは鼻でフッと笑いながら勝ち誇ったかの様な笑みをシャルロッテに向けた。すると次の瞬間、パァンという高い音が辺りに響いて、周囲は静寂に包まれた。なんとシャルロッテがエリザベスに手を上げたのである。エリザベスは一瞬固まり、何が起きたかを理解すると顔を真っ赤にしシャルロッテに食ってかかった。


「あ、貴方...!私、いえ!皇族に対して無礼ではなくて?!」

「あぁ、キャンキャンとうるさかったので思わず叩いてしまいましたがエリザベス皇女殿下でいらっしゃいましたか。これは失礼致しましたわ。」


シャルロッテはスカートの端をつまみ上げながら礼をする。その様子を見てエリザベスは「なっ...なっ...」と言葉にならない声を上げる。そしてシャルロッテは言葉を続ける。


「皇族であると言うのなら、それなりの礼儀作法を身につけてはいかがですか?今のエリザベス皇女殿下は思い通りにならないと泣き叫ぶ赤子の様に見えてしまいますわ。」

「でも...!」

「でもではありません。ジークハルト様は先約があると何度も申し上げていたではありませんか。いつまでも貴方の我儘が通るとは思わない様にされてはいかがですか?」


エリザベスはシャルロッテに反論する事が出来ず、口をパクパクさせていると、シャルロッテはジークハルトへ「では、参りましょう?」と声をかけた。彼もシャルロッテの行動に驚き固まってしまったが、彼女の声に我に返り「あぁ、そうだね。」と言い彼女とウェンを連れてその場を後にした。...エリザベスをそこに残して。

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