episode10
翌日、入学式の朝。シャルロッテはミサトの手により真新しい制服へと着替え、そのまま鏡台に座り頭をセットする。仕度が終わると今度は外へ出てジークハルトとウェンの二人と合流する。
「おはようございます。ジークハルト様、ウェン。」
「おはよう。ロッテ。」
「おはようございます。ロッテ様。」
そうして三人は校舎へと向かおうとした。しかし、次の瞬間、門が開かれ赤いカーペットが伸ばされてくる。そしてカーペットの根源に停められていた馬車から一人の少女が降りてきた。
「エリザベス・スチュアート皇女殿下の御成で御座います!!」
そう言われ少女の全貌が露わになった。良く手入れのされた美しい金髪。澄んだ様な青い瞳。服装は制服であったが、特注の様で...なんかとてもヒラヒラしていた。
そうして姿を現すと彼女、エリザベスはこちらへ...正しくはジークハルトの元へと駆け寄ってきた。
「ジークハルト様!とてもお会いしたかったですわ!!」
そう言うとジークハルトへ抱き着こうとした...が既の所で彼に避けられてしまう。...礼儀作法がなっていないのでは?とその場の誰しもが頭をハテナでいっぱいにした。実を言うとこの"エリザベス・スチュアート"、国内...いや、国外でも噂になる程のワガママ娘であった。両親である皇帝陛下、皇妃から甘やかされながら育ったためである。
「ジークハルト?何故お避けになるの?」
「エリザベス様。公衆の面前ではどうかと...」
「いやですわ!エリーとお呼びになって!」
「../困ったな...」
ジークハルトはシャルロッテとの時間を邪魔されたせいもあるのか、少しイラついていた。
「あら?そちらの方は?」
「...初めまして、エリザベス皇女殿下。私シャルロッテ・オベールと申します。こちらは私の付き人のウェンです。」
「シャルロッテ・オベール...聞いた事がありますわ!野蛮な貴族令嬢がいると!たしか..."鮮血の舞姫"でしたっけ?鮮血なんて...令嬢を名乗る資格ありませんわ!」
その言葉にその場にいたほとんどの者がピキっていた。...特にジークハルトはとてつもなく怖い笑みを浮かべている。が、当のエリザベスは気づかない様であった。
「彼女の事を悪く言わないで頂けませんか?彼女は私の"愛しの"婚約者ですので。」
「まぁ、そうでらしたの?ではスグに婚約破棄を...」
「エリザベス様。」
ジークハルトは強い口調でエリザベスの名を呼ぶと、彼女見せつける様にシャルロッテを自身の腕に抱いた。
「誰がなんと言おうと私の婚約者はただ一人。ここに居るシャルロッテ・オベールだけですので。」
ジークハルトがそう言い放ち鋭い視線をエリザベスへと向けると彼女は目に涙をいっぱい溜めながら「そんなの絶対許しませんわー!」と言いながら走り去っていった。しばらくその場にいた者達が呆然としていると、エリザベスの執事がハッとして彼女を追いかける。
それからと言うと、皆がジークハルトとシャルロッテの婚約発言に、ワッと沸きながら祝福の言葉を送るのであった。...シャルロッテは顔を真っ赤にし人形の様に固まってしまっていたのに気づく者がいない程賑わったのであった。
そうこうしている内に教師達が出てきて「入学式が始まる。急いで公堂へ集まる様に。」とそう言いながら去っていった。そうしてようやく皆が公堂へと向かうのであった。




