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14 つぶやき


 食堂からは、楽しい談笑と温かな灯りが漏れる。


 アルサリオン=ヴァレンディルの珍しく楽しそうな声が珍しく冗談を言って笑っていた。竜人は、無類の酒好き。そして大酒飲みだ。普段はどちらかと言えば物静かで、生粋の軍人気質、硬派で通ってアルサリオン=ヴァレンディルだが、やはり竜人、酒が入ると人格が変わる。いや、開放されるのだろうか? 番が一緒にいることも関係しているのだろうが。



 竜人がみんなに絡み出した。早く戻らねばと思うが焦りは禁物だ。

 こういうときほど落ち着かなくてはいけない。 

 決してミスの許されない任務の時は、目の前のことに集中し、一つ一つの行動を丁寧に行うことが大事だ。



 なにしろきっと、誰も気付いていない。



 この居間も食堂もかなりの広さがあり、自分がここにいることには誰も気付かないだろうし、気付いても誰も不審には思わないだろう。



 もう目星は付けている。



 窓際と居間のテーブル近くには観葉植物があり、大きな葉を茂らせている。特に窓際のものは背丈も大きく、根本までよく茂った葉の影は《《誰も見ないだろう》》。



 その葉の影にそっと手を滑られせ、大きな葉の裏側に小さなそれを密着させる。



 手の中でただの粘土のようだったそれは、ムクムクと形を変えて小さな小さなカタツムリになった。取り付けられた場所にふさわしい物体に形を変える、というのもこの盗聴魔法の特徴の一つだ。




 この小さなカタツムリが、この小邸の会話をすべて伝えてくれる。



 そう思えば微かに胸が痛むが、任務だと思えば仕方がない。




 吹っ切るように食堂の扉を押して、中へ入る。温かで、親密で、居心地の良い空間に戻ってきた喜びで、自然と顔が綻んだ。




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