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タックル無双  作者: 中村繭
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一章三話職探し

 砂上都市フラニモ、ここは砂の上に建つ大きな街の一つで、他の街へ繋がる交易路に重なる。

 この街では旅人が多く流れてきては街を潤してくれれる。

 他の大きな街と街の間にあるためとても活気があるらしいココロが言っていた。

 「隣町に用事があってその帰りに、砂術師達に襲われたの、私1人じゃ死んでいたかもしれない...だからお礼をさせて?」

 「そんな、大したことはしていない」

 いつもの練習の方がよっぽど歯応えがある。あと倍の重さがあれば楽しめたのにな。

 にしてもあの男達は軽すぎた、軽くなる砂術?でも使っていたのか、それともこの世界の人は軽いって可能性もあるのか?

 ココロに体重を聞くか...?いやそもそも重さの単位が違うかも...?ってそういえば言葉も通じるのはなぜだ?日本語だったよなこっちもそうだし、なぜ通じるんだ?

 通じるものは通じるそれでいいか。

 いくら考えてもきっと今の情報では答えは出せないだろう。

 それならどうやって生きていくかを考える方が生産性がある。

 鍛えながら生きていければ、もし元の世界に戻れた時そのまま復帰できる。

 「ココロ、聞いていいか?」

 「何でしょう?」

 「鍛えながら生きていける仕事ってあるか?」

 「そうですねえ...仕事といってもさまざまですから、求人を張り出してる街の中央に行くの手っ取り早いかもしれないです」

 それからココロに仕事について詳しく聞いた。

 街では求人は中央にある掲示板に地図とその募集先が重なるように貼られていて、それを見て直接出向いて交渉するのだそうだ。

 鍛えながらできる仕事については、輸送の仕事や、建設の仕事、鍛治の仕事、聞いている中でも特に興味を持ったのが...

 「木こりの仕事か...」

 「街の外に木がたくさんあったでしょう?あの木は砂を吸収して成長するの。砂は集めて高濃度な結晶にすることができるんだけど、あの木々は砂で成長するから木の全部がその結晶のようなものなの。伐採しないと人が通る道もなくなっちゃう。あの木々はとっても硬くて重たいから伐採していかなきゃいけないんだけど、なかなか人が集まらないと聞いたことがあるわ」

 「硬くて重いのか」

 「そうよ」

 強そうだ、タックルしてみたい。

 「?あ、そろそろ着くわ」

 ココロの家に到着した、立派な家だった二階建て庭付き、家族と住んでいるのかな?

 「ただいま〜」

 「お、お邪魔します」

 女子の家に上がるのは小さい頃以来かもしれない緊張してきた。

 玄関を開けると階段があり右手にリビングがあったリビングにはソファーや机がある。

 「さ、ご飯準備するからそこらへんで寛いでいて」

 落ち着かない...寛がなければ寛ぐ?寛ぐってどんなんだっけ、ま、まあ寛ごうと思えばどこでだって寛げるはずだ。

 ソファにどっしりと座り脚を組む。

 「寛いでとはいったけどそこまで寛げるのね...」

 「!?ごめん!!」

 脚を戻し背筋を正す。

 ココロは笑いながらご飯を持ってくる。

 「はいどうぞ」

 フランスパンのような硬めのパンと鶏肉のサンドイッチのように見える。食べてみてもそんな感じだったのでこの世界の食事は元の世界とあまり変わらないのかもしれない。

 「食べた食べた、うまかったよ」

 「よかったわ」

 周りを見渡してふと疑問に思ったことを聞いてみる。

 「ココロさん、この家に1人で住んでるのか?」

 「ええ、そうよ」

 「ふぅん...」

 「この家は私が魔法を使って稼いだお金で住んでるのこの歳でこれだけのお家を持ってる人なんてそうそういないわ」

 胸を張って自慢している。

 でも実際すごいことのように思える。年齢は知らないが、若いのに庭付き一軒家...元の世界だったら勝ち組という言葉のさらに上の言葉を用意しないと説明できないほどすごい。

 それほどまでに魔法がすごい力なのか、彼女が頑張ったのか、きっとどちらもだろう。

 

 それから俺は村の中央への行き方を聞いたり、宿の場所を聞いたり、お金の価値を聞いたりした。

 あ、あと美味しいご飯屋さんも聞いた。

 少し話してから今日は泊まって行ってと言われたが断ろうとした、もう暗いし宿代が浮くと言われ考えが揺らぎ、お言葉に甘えることにした。

 宿代が浮くも何もこの世界のお金も持っていないとは言い出せなかった、ご飯やこの世界のことをこれだけ聞いてお金まで貰おうとしたら貰いすぎだ。

 

 次の日の早朝、昨日はソファーで寝させてもらったので、すぐに玄関から出て行こうと思い、音を立てないように出て行った。

 不安だったのだ知らない世界で、誰かに頼りっぱなしというのは、一刻も早く1人で生活できるようになるために俺は行動を開始した。

 

 昨日聞いた街の中央にやってきた、仕事の募集を見るためだ。

 中央には多くの人がいた、若い人の割合が多いが、さまざまな年代の人々でごった返していた。

 しかし中央に到着して初めて気付いたが、困ったことに字が読めない。

 どんな要項で募集されているかがわからない...どうするか、かろうじて絵や記号で書いてあるものから業種は絞り込めるが...

 「どうするか...やはり木こり...」

 悩ましいが、一度木こりの職場に行ってみることにした、街の出口すぐ近くに拠点があると昨日聞いた、街に入った時に通った道だと思うのでおそらく辿り着ける、と思う。

 

 目的地に向かうまでの街並みで発見をした。

 まず、大きなサメのようなものを運ぶ人を見た、周りの人が「立派な砂鮫ねえ」と話していたので砂鮫という名前らしい、運んでいる人たちは、何か武装している感じだったので狩人なのかもしれない、いやサメだったら漁師か?

 とにかくでかい砂鮫とやらが存在するらしい、人間以外の生物もタックルで勝てるのかがすごく気になった。

 また砂の売り歩きのようなことをしている人の姿も見た、大きな荷車を引き、街で動力となる砂を販売していた。こういう仕事も悪くなさそうだ、足の筋肉が鍛えられそうで。

 

 歩きながらタックルのモーションを確かめていたら目的地に到着した。

 大量の木々が積まれているその場所は、いろいろな人で溢れていた、積まれた木々に集まり、皆が皆品定めするような目で見ている。いや実際品定めしている。

 伐採された木々のオークションのようなことを行なっているようだ。魚市場みたいだなと思いながら受付がないか探す。

 それらしい場所を見つけたはいいが、自分から話しかけるのは緊張する。少し立ち止まり深呼吸。意を決して話しかける。

 「すみませんここで働きたいんですけど...」

 「中央の募集を見て来られましたか?」

 「あ、はい!」

 何が書いてあったかはわからないけど、返事は大きく働きたいという態度を見せることが大事なんじゃないかと思い、張り切ってみる。

 「でしたらこちらへどうぞ」

 受付の人に案内され、ついていく。

 「いやぁ、最近は人手不足気味だったので応募助かります」

 聞いていた通り人手不足なようだ、人手が足りないなら雇ってくれるんじゃないかという目論見もなっかたこともない。

 「頑張ります!」

 「応援していますよ」

 受付の方に部屋の前まで案内してもらった。この部屋の中にこれから同じ仕事をする仲間がいるとのことだ。

 職員室に入るときのような緊張感...

 タックルする時は緊張なんてしないのに、こう言った行動は緊張する、人間は不思議だ。

 どう入るか考えてドアの前をぐるぐる回っていた。

 何というか、こう、右回りでぐるぐる歩くのが癖なのだ、走る練習で疲れた時など急に止まると心臓に悪いとか、膝に手をついて止まって休むことを走った後は禁止されていたので、ペースダウンするために身についてしまった癖だ。

 「何してんだ?」

 いつのまにか目の前に水色の髪にツインテールの小さな女の子が立っていた。

 どこから来た子だろうか?

 「入室の挨拶を考えていたんだよ」

 「ふぅん、そうか」

 小さな少女はいきなり俺の腕を掴み、扉を開けて部屋へ連れ込まれてしまった。

 

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