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序章. 恋に恋する侯爵令嬢

物語本編前のプロローグです。

 王太子殿下の婚約者候補なんてものに勝手に選ばれて、侯爵令嬢のマグリットはずっと窮屈な思いをしていた。


 実に十年間である。


 その間、自由に異性と会うことも、話すことも厳しく制限されていて、ましてやダンスを踊るなんて夢のまた夢であった。


 だから先日、王太子殿下の婚約者が正式にアストラ公爵家のレスティア様に決まっ時には、マグリットは心の底から喜んだものだった。


これでやっと、解放されるのだ。


(そう、これで私は王太子殿下の婚約者候補では無く、ただのマグリット・レルウィンになれるのよ。)


 マグリットは今までに出来なかった事が何でも出来るようになるのだと、心が踊っていた。


(そう、これでやっと、自由に社交の場にも出れるんだわ!)

 憧れの世界にも行けると分かって、彼女の期待は膨らむ一方だった。


 マグリットには恋愛小説みたいな素敵な恋がしたいという夢があったのだ。

 その為にはまずは、素敵な男性と出会わなければ始まらないのだが、王太子殿下の婚約者候補だった時には、同じ年頃の貴族令息と話すことさえ難しかったので、小説の様な素敵な出会いなど、夢のまた夢であった。


 けれども、その役目が終わった今、マグリットの元には沢山の恋文が届いていた。

 王太子殿下の婚約者候補に選ばれるだけあって、家柄も申し分無いし、ウェーブがかった金の髪に目鼻立ちがハッキリとしたその整った容姿もあって、彼女と仲良くなりたいと思う公子は沢山いたのだ。


 それらは全て、マグリットの気を引くような美辞麗句が綴られており、彼女と仲良くなりたいと、お茶会や舞踏会、舞台鑑賞など、様々なお誘いが寄せられていたのだった。


 マグリットは生まれてから17年間生きてきて、こんなにも多くの公子からアプローチを受けるのは初めてだったので、戸惑いながらも嬉しく感じていた。


 そんな中で、彼女はある一人の公子の手紙に惹かれたのだった。


 彼の手紙には自分の想いが切々と書き連ねられており、それはとても情熱的で、マグリットの心を強く打ったのである。


 しかも彼が引用しているその言葉は、マグリットが好きな恋愛小説の一節なのだ。それに気づいた時、マグリットはこの人が運命の人だと思った。


(リーベルト伯爵家のローラン様……)


 まだ見ぬその人に、マグリットはすっかりと心を奪われてしまった。


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