第7話 【初!ギルド依頼】
ギルドで依頼を貰い、翌日。早速依頼をこなすために、二人と初めて会った場所から街に戻るための道で、途中にあった野原に来た。
「ここなら、魔獣もほぼいないから薬草をつむのには、最適な場所ね。」
と言い。道から外れて野原の方に歩いていく。しばらく歩くと、紫色の花が沢山咲いている場所に着いた。
「よし。着いたね。」
「こんなに沢山咲いてることあるんだね。」
この量あるのは珍しいらしい。
「普通は、もっと少ないの?」
「そうね。基本的には、多いとこでもここの半分以下ぐらいだからね。」
今回は、だいぶ多いようだ。
「でも、ここ毒草と薬草が混ざってるわね。」
毒草が生えてるのか。でも、差があるようには、見えない。
「毒草と薬草は、見た目がとても似ているから、見分けるの大変なんだよ。」
「もし、毒草が混ざったりなんかしてたら…罰金だよ。」
「罰金だいぶ高いのよね。」
しっかりと見分けなければならないのか。
ぐぬぬ。
しばらく観察していると。急に、草の上に名前が見えるようになった。急いで、ギルドカードを見ると。「鑑定」とスキル欄に新たに追加されていた。
「ねぇ、二人とも。」
鑑定スキルが出たことを二人に知らせる。
「すごい!」
「鑑定を習得するなんて。」
鑑定ってそんなに便利なのか?スキルって急に増えるんだな。
「見つめただけで新たなスキルゲットとか凄すぎるわ。」
普通は、こんなに早く貰えないらしい。転移者でもこんなに貰っていいのか?転生とかじゃなくて、単純に迷い込んだだけの俺に。神様とかに会ってないのに。
ともかく、これなら罰金の可能性はないな。
「よし、じゃんじゃん取りまくるぞ!」
「「おー」」
この二人元気いいな。ただの気合い入れなだけなのに。
鑑定があるおかげで気にせずに取れるからかな?罰金は間違いなくないから。
数十分後。
「フゥ〜。取れるだけ取れたかな。」
「そうね。まだ、ありそうだけど。」
「まあまあ、これ以上取っちゃうと他の人とか困るし。」
と言いながら目線を移していくと。薬草が山のように積まれていた。
こんなに一度に持ち帰るパーティーなんて普通あるはずがない。しかも、一人は、先日冒険者になったばかりの奴。ギルド持っていけるかね。
「こうなったら、収納アイテム使いましょ。」
「そうね。収納アイテムを使った方がいいわね。」
収納アイテム?
「収納アイテムってのはね。」
どうやら、収納アイテムは、魔法アイテムと言われるものの一つらしい。容量の大きいものは高いけど。普通とか小さめだったら結構安いらしい。収納アイテムは、そのままの意味で、ものを収納することのアイテム。魔法でもそういうのもあるらしい。
収納アイテムを開けて、薬草を掴み収納アイテムに投げ入れると、薬草が跡形もなく消えた。消えたと言うよりは、吸い込まれたの方が正しいかも。収納アイテムの中身は、見えない。真っ暗で、吸い込まれる気がした。
「あんまり、顔近ずけない方がいいわよ。吸い込まれるから。」
マジで吸い込まれるのか。気をつけよ。
喋りながら、薬草を入れたら。気づいたら山のようにあった薬草も全部、収納されきっていた。
「す、すげぇ。あんなにあったのに。」
収納アイテムってこんなに入るもんなのか?
「使ってなかったから、一つも入っていなかったけど。」
「ここまで沢山入るとは思わなかったわ。」
話しながら街に戻る。なんだかんだ楽しかった。もうちょいかかるつもりだったけど。だいぶ早く終わってしまった。
「この後何するの?」
暇だから、二人が何するのか聞いてみた。混ざれるなら混ざりたい。
「暇なんだったら、少し森に入って魔獣でも倒していく?」
以来じゃなくても倒していいんだ。依頼達成になるのかな?
「依頼達成には、ならないけど、換金とかできるし、自分のスキル向上もできるし。」
金になるのか。聖魔剣を少し使いたいし。やるか。
「やるなら、森の中に入ればできるね。」
「前みたいな、強いの出てこないといいけど…」
そういや、二人と出会ったのもこの辺だったけか。まだ、ほんの一週間ぐらいしか経っていないのに。転移してきた場所は、もっと森の深い場所。どこを見ても木しかない。森から出るのに魔物に会わなかったのは、ほんとに奇跡だったな。あっちの世界は、今どうなってんだろ。まあ、俺がいなくなっても変わらない気がする。教室内でも空気になっていただけだし。友達もそんなにいたわけじゃないしな。根暗陰キャでいただけなんだよな。アニメばっかり見て、ギターを初めて、ゲームはやらなかったな。色んなアニメ見たな。テストは、散々だけど。あいつも、俺みたいな異世界にいれたら良かったのにな。この、異世界に。
思いふけっていると、二人が止まった。
「お!」
魔物でもいたかな。
「狂暴兎ね。」
キラーラビット。普通のうさぎのようにも見える。
「強いのか?」
一応聞いてみる。
「いえ、油断しなければ、簡単に倒せるわ。群れなければ。」
この、サイズでも群れたら厄介だな。群れても、聖魔剣で一掃な気もするけど。
「じゃあ、行ってくる。」
止められると思ったが、案外普通だった。
「気をつけなさいよ。」
お母さんかよ。
忍び足で、キラーラビットに近寄る。勢いよく剣を振り落とす。辺りが血しぶきで赤くなった。首に綺麗に入り、首が落ちる。キラーラビットの白毛に赤い血が付く。勢いが強すぎて、返り血まみれになってしまった。
しかし、少し待つと、キラーラビットの血が蒸発していった。白毛だけが残った。
「これを、持ち帰ればいいの?」
ずっと、草かげに隠れてた二人を呼ぶ。
「あっさり倒さないでよ。D級魔物だよ。単独で討伐するもんじゃないんだよね。」
D級魔物か。Dランクの冒険者三人パーティと匹敵する。二人は、Cマイナスランク。Dプラスランクのひとつ上。だから、あんなに慎重にしていたのか。キラーラビットを布に包み、背負う。時間がだいぶたってしまったから、森を急いで出て、野原の道に沿って、歩いてギルド本部に向かっていたけど。
日が完全に落ちてしまった。
「仕方ないわ、今日は、野宿しましょう。」
野宿か〜。初めてだな。キャンプなら何度かしたことあるけど、野宿は、初めてだな。
「夕飯は、どうするの?」
「ここで作るしかないわね。ちょうど、キラーラビットの肉もあるわけだし。」
「これ、食うの!?」
えー。さっき、殺したの食べるのなんかやだな。キラーラビットとか、なんか怖くて、食べたくないんだよな。サバイバルをしたことのある訳もない、こんなヲタクには。
「ギルドで、受け取って貰うにも、明日じゃ、価値が下がっちゃうから。」
日が経つと、鮮度が落ちる。だから、肉の価値は落ちる。この法則は、こっちの世界も一緒なのか。
今のうちに食べた方が、いいと言うわけか。それにしても、怖くて、食べたくないけど、仕方ないか。
「肉があっても、肝心な火がないのよね。野宿する予定なかったから着火剤持ってきてないし。」
火を通さないと食べれない。生肉は、あんまり良くない。
だけど、幸いなことに、ここは、森からそんなに離れていない。
「ちょっと森の中行ってくる。」
二人がなにしに行くのと言いたげな顔でこっちを見る。
夜の森は、怖いから、急いで、小枝と倒木を拾ってきた。
「木を持ってきても、火種がなきゃ意味はないのよ。」
「まかせて。」
自信満々に言ったけど、付け方は、わかるけど実践経験は、ないからできるか不安。
まずは、木の皮を剥いで、何本か剥いだら、木くずを敷いて、二本で摩擦を起こす。そうすると、音をたてた。熱くなってきた。ところに、息を弱くかける。すると、火が付く。
「すごい!ほんとに火が着くなんて!」
「うん!着火剤使わないで、火をつけれる人、初めて見た。」
すごく二人が興奮した口調になっていた。火の調達完了。