第1話 【異世界へ】
俺は、谷元誠冶。偏差値50程度の高校に進学して中学時代から少しやっていたギターをやるために軽音楽部に入った。一瞬で一年生が終わった。一年での思い出は台風が多くて暑かった記憶しかない。体育祭も文化祭も特に何もなく暇に終わった。高校に入ったからと言って急に持てるわけでもない。人が変わるわけでもない。だからといって、何かを変えるつもりもない。子どもの頃から基本的に一人で過ごしてきた。おじちゃんには、よく遊んでもらった。家が遠いいわけでもないから一人でおじいちゃんの家に行くこともあった。おばちゃんとは、普通に過ごしていた。おじいちゃんは、二人で魔法の話とかした。お互い、魔法なんて扱ったはずなんてないのに。おじいちゃんは、俺と一緒にアニメを見たりもしていた。何なら、アニメをよく見るきっかけは、おじいちゃんなのかもしれないと思った。おじちゃんは、まだまだ元気一杯で、くたばる気配を感じない。その方が嬉しいけどな。長生きしてほしい。
小学校とかでも、運動会や発表会は全部出席してたな。俺は、おじいちゃん子なんだろうな。俺は、兄弟もいないから、一人にかけられる時間が長いのだろう。これだけ、おじいちゃんに愛されているからこそ、学校は、常に一人で寂しかったけど耐えられた。今も一人の時間の方が、遥かに長いけど。高校は、部活のお陰で最底辺の会話は、毎日行っている。中学からエレキベースやってきたから、他の高校生と比べてしまえば明らかな差がある。バンドとかもたくさんくませてもらっている。たくさん入っていると言っても、もとの部員数がかなり少ないため、先輩や同級生とか、俺の入っていないバンドを数えても、全体で10バンドもない。ベースは、全体で俺ともう一人しかいない。もう一人は、部活に全然来ないから、バンドも全然くでいない。部活内は、バイトをやることは禁止になっていないが、活動日には入れてはいけないというルールがあるが、もう一人のやつはそれを守らずにバイトをして、ベース関係あるものに一切使わないから、だいぶ嫌われている。
バイトは、コンビニでしている。土日や、部活ない日にできる限り入っている。月に5万くらい稼いでいる。遊んだりする人もいないから、暇でどんどん貯まっているだけだけど。
二年になって、一年生が入って来た。今年は結構な人数の部員が入ってきた。まぁすぐにやめてくやつが多くてうんざりしていたが初心者なのに一生懸命頑張って練習してるやつがいた。一人で特に何もせずにスマホを見ながら、黙々と練習している。リズム、音、ピックの使い方もまだまだ、全然うまくない。だけど、とにかく頑張っている。中学時代の自分と重なるところがある。何もわからずに、がむしゃらに練習する。ギターのことが何もわからないわけではないから、少しは教えることもできる。だけど、やはり話しかけるとなると怖い。自分の出しすぎている陰のオーラが、まともに話せなくしてしまう。幼稚園からのトラウマだ。相手が陰キャ、オタクだとしても話すことができない。ある意味、一種の病だと思っている。
スキルアップのために、毎日部活が終わっても居残り練習を続けている。ある日、ギターの子も最後まで練習していた。うまいわけでもないのに、よく最後まで頑張るよな。初めて、2、3ヶ月で完璧に弾けっていうのも難しいか。それに、ギターは普通に難しいからな。諦めないでここまで来ていることが本当にすごいことである。みんなは、部活が終わったらすぐに帰る。居残り練習するのは、本当にごく一部。発表近いのにできていないやつとか、ただ、喋っているだけのやつとか。なのに彼は、とにかく練習を続けている。基本的に最後まで残るのは、俺だけだったが、最近は二人でいることが増えた。普段なら、何も話さずにいるが、今日はどうやら苦戦しているようだった。チラチラ、見ていたら目があってしまった。
「先輩ってギターできますか?」
話しかけられるとは思はなかった。
「一応、できるけど。」
「ちょっと、ここの弾き方教えてほしいです。」
同級生は一切話しかけてこないのに。まぁ、教えるぐらいいいかと思いながら、席を立ち、近づいた。
簡単に簡潔に教えてあげた。なるほどみたいな顔していた。
「先輩ありがとうございます!」
少し、嬉しくなった。
家ではアニメをよくみていた。そしてその後輩もアニメをよく見ていた。後輩は、ハーレムものやバトルものを好んで見ているらしい。ちなみに俺は、恋愛ものをよく見る。互いに好きなものを語り合えて、部活中も楽しく喋りながら練習してる。後輩は結構勉強ができているらしい。テストで上位になれるほどいいらしい。俺は、オール平均なのに。
しかし、現実は残酷。後輩がトラックにはねられて亡くなった。しかも、学校の目の前で、トラックの運転手は居眠り運転だった。彼は、友達を助けるために相手を突き飛ばして代わりに轢かれたらしいバカだな。でもそう言えば恋愛相談もされたな。まさか助けたのって、あんまり考えないようにしよう。彼が安らかに眠ることができない。死後四日後、葬式に参列させてもらった。葬儀が終わり一週間ぐらい過ぎた時た頃にバイトに出ていた。
「今日も遅くなっちまったな、早く帰らないと」
バイトも長いことやってきているから、色々頼られることが多いのはわかってわいるけど。それでも、高校生勤務可能時間のギリギリになるのは、どうだよ。そういう、シフトを出しているわけでもないのに。まだ、夏真だから気温が高くて過ごしやすいからいいけど、冬とかだったら寒すぎて殺意につながっていた気がするな。
暑い夏の夜を一人で歩く。家の近くのバイト先だからこそ半袖に、下はジャージ。誰かに見られることがまずない。見られても覚えられていないだろうけど。一人でなにも考えずに歩いていたら、あたりがいきなり明るくなった。目を開けていられない、まるでアニメとかの異世界召喚とかにある光だな。なんて、夢の見過ぎか。車がめっちゃ明るくして、走っているだけだろ。しばらく経てば収まるだろうとか、思いながら目を瞑っていた。
しかし、気づかぬうちに意識を失っていた。なにが起きたのかなんてなんにもわからない。