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ショコラ国アルティザン村

出稼ぎ労働斡旋

ついでアンディーヴ一行が到着したのは首都カピタール。首都といっても先の戦争のため荒廃しているのだが、それでもさすがは首都。どうにか賑わっている。


「さて、しばらくの間はカピタール都の王城に泊めていただく手筈になっています」


アンディーヴがそういうとウィスタリアはちょっとだけ心配そうな顔をする。


「植民地にした国の王城に泊まるとか平気?」


それに対してアンディーヴはウィンクを返す。


「何かあればウィスとジェラールがいるでしょう?」


「まあ確かに毒に侵されるくらいなら、死ぬ前なら奇跡の力でどうにかなるよ」


「武力なら私に敵うものはなかなかいないかと」


「なら安心ですね!」


プリュネはニコニコと笑う。それを見てウィスタリアは納得したようだ。


「じゃあ王城にGO!」


ということでカピタール都の王城に着いた一行はそれぞれ思い思いに過ごし旅の疲れを癒した。ジェラールに関してはちょっとブルーな気持ちになっていたが。何故ならここで籠城作戦をした人々を切り捨てまくったからだ。その後、ショコラ国の国王との夕食会に出席する。


「皆様、よく来てくださいました」


「いえいえ、国王陛下こそ素晴らしい席を用意してくださりありがとうございます」


「税を納める事の出来ない貧しい村を救ってくださるということで、有り難く思います」


「まあ、放っておくとプリエール皇国の収入も減りますからね」


「それでも、プリエール皇国の植民地になってからカカオの売り上げが伸びて逆に国が豊かになったのも事実。複雑ですが、感謝しているのです」


「それは良かった」


ショコラ国の国王は植民地にされた屈辱よりもその後の発展を喜んでいるらしい。少なくとも表向きは。皆で談笑しながら夕食会を楽しむ。


「ところで、明日はどちらの村へ行かれるのでしょうか?」


「アルティザン村へ行きます」


「ならば、ついでに人手を確保してきてはくれませんか?」


「人手を?」


「この王城を修繕する人手が欲しいのです。月一で銀貨十枚の条件でお願いします」


「銀貨十枚はこの国での相場で二倍以上では?」


「それだけ人が足りないのです」


「…分かりました。掛け合ってみますね」


「ありがとうございます、よろしくお願いします」


ということで一夜を過ごし朝、アルティザン村へ向かう。村長が出迎えてくれた。


「ようこそ、アルティザン村へ」


「お出迎えありがとうございます、村長」


「早速ですが、この村が納税を行えない理由をお聞かせいただけますか?」


「恥ずかしながら、主要な産業が農業しかなく、農業も上手くいっておりませんのです」


「なるほど…」


畑は昨日までのフロマン村と同じ状況のようだ。ただ、ここではカカオの実も生産しているらしい。アンディーヴ一行は昨日と同じ手段で村に実りをもたらした。


「おお!ありがとうございます、ありがとうございます!」


今にも土下座しそうな勢いの村人達全員をプリュネが制止する。


「土下座までされなくて大丈夫ですから!」


「まあでも、感謝されて悪い気はしないよね。土下座はやり過ぎだけど」


「そうですね。土下座はやり過ぎですが」


「土下座されると悪いことしたような気分になるのでどうかお気になさらず」


「その代わりと言ってはなんですが、一つお願いがあります」


「なんでしょうか?」


「カピタール都の王城を修繕する人手が欲しいのです。月一で銀貨十枚の条件でお願いします。…とショコラ国の国王陛下から頼まれていまして」


「月一で銀貨十枚!?」


村人達がざわざわする。それだけ破格の求人なのだ。結局村の若い男全員が出稼ぎに出ることになった。もちろんきちんとアルティザン村に定期的に仕送りもして、仕事が終わればアルティザン村にお金を持って帰るつもりだ。


ということでアルティザン村の納税問題は一日にして一旦は落ち着いた。村人全員きちんと滞納分も含めて納税し、また少なからず貯蓄も出来たようだ。今年の冬は越せるほどだとか。カピタール都への出稼ぎも決まり、しばらくは税金に関する問題も出ないだろう。


「なにからなにまで、本当にありがとうございます!」


「いえいえ、お役に立てて何よりです!」


「これからもカカオや芋の生産頑張ってくださいね」


「はい!頑張ります!」


「それでは、失礼しますね」


「何もないところですが、よろしければまたぜひ遊びに来てくださいませ!」


「もちろん」


「また来ますね」


そうしてアルティザン村も救ったアンディーヴ一行はカピタール都の王城へ戻り、国王にアルティザン村をとりあえず豊かに出来たことと、アルティザン村の健康な若者が出稼ぎ労働に合意したことを伝えた。国王は大喜びである。アンディーヴも、プリュネも、ウィスタリアも、ジェラールも、こうして皆の役に立てたことを誇らしく思い気持ち良く眠りについた。明日もまた任務を遂行して誰かの役に立とう。各々がそう心に誓い、良い夢を見たのだった。

村も稼ぎが増えて王城も直せてウィンウィン

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