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冷蔵庫の発明

冷蔵庫って案外かなり大事ですよね

「…」


今日もいつも通りみんなでアンディーヴの部屋に入り浸っている。だが、いつもと違いレルザンは難しい顔をして黙り込んでいる。


「レルザン皇太子殿下?どうしたんですか?」


「レル、悩みがあるんなら聞くよ?」


「兄上、最近増えてきた病死の件ですか?」


「正解だ、アンディー」


「…病死?」


「ええ、薊。いつもこの時期になると病死が相次ぐのです。しかも決まって食後。食当たりが悪化してのことだとは思うのですが…」


「じゃあ、食料が腐らないようにすればいいの?第二皇子殿下」


「ええ、そうですよ。ですがその方法がないのです。さすがに庶民達に氷室を各家庭で用意しろとは言えませんし」


「そっか…でも、なんとかしたいですね…あ、そうだ!それこそ、プリュネ、占えないの!?」


「あ!そっか!やってみましょう!」


プリュネがタロットを取り出す。


「このタロットは魔術タロット。どんな魔術で問題を解決できるかを占うタロットです」


「ふむ。プリュネ嬢、頼む」


「はい、ここから一枚引いてください」


「…これだ」


「ありがとうございます。ではさらにここから一枚引いてください」


「んー…これだ」


「はい。ではオープンします。…魔術は氷魔法、アイテムは箱…」


「氷魔法を使った箱?箱を使った氷魔法?」


「うーん…氷魔法はまあ食料の防腐のためとして、箱って何に使えと?」


「…箱の中を簡易的な氷室にする、とかか?」


レルザンがぽつりと呟く。みんなが一斉に顔を見合わせて、それだと叫ぶ。


「リュリュ!兄上!お手柄です!早速宮廷魔術師達に簡易的な箱型氷室を作らせましょう!」


「でも一回作ってどのくらい持つかは重要だよね?それに、作るコストとか、一日の生産量とか…皇太子殿下はどう思いますか?」


「それを言われると難しいところだな…」


「無料で国民達に提供するのか、ある程度の値段で売るのかも問題じゃない?あと、使えなくなった氷室はとっといてまた氷魔法で再利用するのか、使い捨てるのかも重要だよね、アンディー」


「…まずは貴族や裕福な商人、教会などに高値で売りつけて、普及し始めたら安価な値段で庶民にも売りましょう。もちろんクオリティーの差はつけて。それであれば生産も間に合うかと。使用期限を長めに設定する代わりに、使い捨てにしましょうか」


「ふむふむ」


「後のことはとりあえず試作品が出来てから考えます」


「まあ作らなきゃどうしようもないしね」


ということでプリュネ達は宮廷魔術師達の元へ向かう。そこには当然プリュネの兄達もいる。


「すまない、宮廷魔術師よ。少し頼みがあるのだが」


「ウィスタリア殿下、皇太子殿下、第二皇子殿下におかれましてはご機嫌麗しく」


宮廷魔術師達が恭しく礼を取る中、プリュネは兄達に抱きつく。兄達は軽々とプリュネを抱きとめる。


「フィー兄様!シャル兄様!リュー兄様!」


「リュリュ、仕事中に来るなんて珍しいな」


「僕らの可愛いお姫様。遊びに来てくれたのかな?」


「リュリュ、何かあった?」


「箱型氷室を作ってくださいませ、兄様!」


「…箱型氷室?なんだそりゃ」


プリュネの兄達は首を傾げる。


「プリュネ嬢が、最近増えた食当たりによる病死の解決策を占ってくれてな」


「庶民の家庭にも簡単に設置できるような小さな箱型の氷室があればいいのではないかという案が出まして」


「なるほど、分かりました。僕らの可愛いお姫様。すぐに試作品を作るから、待っていてくれるかな?」


「はい、シャル兄様!」


「とりあえず、適当な箱を用意しなくちゃ!大きさは大体リュリュの身体くらい?鉄製の丈夫な箱がいいな」


「おい、お前ら!宮廷錬金術師共に協力させろ!鉄製の丈夫な丁度いい大きさの箱を作らせろ!」


宮廷魔術師の中で一番地位の高いフィーグが他の宮廷魔術師に命令する。すぐ様他の宮廷魔術師が宮廷錬金術の元へ向かい、魔法で重い鉄の箱を運んできた。


「よし、これに氷魔法を掛ける。そうだな…今の時期でも三ヶ月は保つように作るか」


フィーグが指パッチンする。無詠唱で魔法を掛けた。実はすごい技術だったりする。


「これでどうだ?」


「開けるね?…わぁ、本当に簡易的な氷室になってる!冷たい!」


「これならいけそうですね。量産出来ますか?」


「あー…量産かぁ。どのくらい保つように作るかも重要です。そうだな…十年保つようにするなら、国中の魔術師に依頼する必要ありますね」


「国中の魔術師…」


「ですが、あまりにも使用期限が短いと誰もわざわざ買いません。十年目安が妥当です」


「…わかりました。兄上」


「ああ。まずは貴族や裕福な商人、教会向けに作って欲しい」


「であれば俺たちだけでも充分です」


「ある程度普及して、庶民向けのものを必要とする時には国中の魔術師にも依頼しましょう」


「わかりました。ただ、貴族向けにするなら、ただの鉄製の丈夫な箱では味気ないので、宮廷錬金術師の所にデザインをお願いします。あと、ちゃんとした名前も決めてください」


「わかりました。では、宮廷錬金術の所に話をしに行きますね」


「お願いします」


プリュネ達は宮廷錬金術師達にもお願いをして、箱型氷室の生産を任せた。デザインはアンディーヴとウィスタリア、薊がああでもないこうでもないと話し合って決め、宮廷錬金術師達に渡した。


「プリュネ、ちゃんとした名前ってプリュネのお兄さん達が言ってたけど、どうする?」


「では、ヴィジャ盤で決めましょう」


「ヴィジャ盤?」


「降霊術です。…えーっと、あった。これで占います。…。冷蔵庫。冷蔵庫にしましょう!」


「冷蔵庫…なるほど、いい名前だ」


「さすがはプリュネちゃん!」


「わかりやすいし、語呂もいいね」


「ありがとうございます、リュリュ」


アンディーヴがプリュネの頭を撫でる。プリュネは気持ち良さそうに目を細める。こうして冷蔵庫の生産、販売が始まった。貴族や裕福な商人、教会にはかなりの高額にもかかわらず飛ぶように売れ、その後見た目のクオリティーは落ちるものの性能は変わらない安価な冷蔵庫も庶民向けに発売。こちらも飛ぶように売れ、食中毒での死亡は減少。冷蔵庫の販売で国庫も潤ったのであった。

冷蔵庫を発明した人はすごいなぁと思います

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