Q.血を奪う者-ヴァンパイア- 其の三十九
ナナが部屋を出て、数分後に最後のメイドが入ってきた。
「お待たせしました、利賀村恵、十九歳、只今参りました!」
と、ケイは警察官か自衛隊かというような頭に手刀を叩きつけるように敬礼した。
「では座ってください」
二回目なので、優人は気にせずに流したが、初回はこの雰囲気に呑まれ、戸惑ってグダグダな捜査になっていた。
「はい、失礼します!」
ケイは十九と言うがナナとそう変わらない年頃に見える程度に、身長は低く、凹凸がない身体をしていた。
加えて、ボーイッシュな黒髪ショートヘアをしているので、優人は初めなんで男子中学生がメイドの格好をしているのだろう、と思ったりもした。
加えて、サラの趣味かとも思った。
「さて、利賀村さん」
「優人様!前々から思ってたんですが、メイド相手だし呼び捨てでいいですよ!」
「……で、利賀村さん」
「ありゃ?」
「確か住み込みですよね」
「あ、そうです!」
「ご家族はどうされてますか?」
「別居?って言えばいいんですかね?地元にいます!」
「地元という事は元々は別の出身なんですか?」
「あー……というよりは優人様に近いですかね。元々は此方に住んでて、引っ越して、それで大学に通う為に、想月家に来たって感じです!」
「大学に通いながら、住み込みのアルバイト、という事ですか?大変ですね」
「えへへへ……」
優人としては素直な感想を漏らしただけだったが、ケイは照れて首筋を掻いた。
「まぁ、月母尾大学は想月家が出資者なんで、メイドや執事をする事で授業料が何割か免除されるんですよ」
「ああ、そうか……この辺の大学となるとそうなるか」
それでも大変な事ではあるな、と優人は思った。
「では、ご家族は全員地元の方に?」
「そうですね」
「ご兄弟もですか?」
「はい!弟がいて可愛いんですよ!」
「可愛い弟……年が離れてるんですか?」
「今、小学生なんですよ!ちっちゃくて可愛いんです!」
「そうですか」
なら、この話は掘り下げるべきではないな、と優人は次の質問をぶつける事にした。
「では、最後に月母尾の使用人の中で、確実に吸血鬼ではないと思うのは誰ですか?」
「それは、勿論、自分ですよ!」
「……」
「自分が違う事を自分がよく知ってますからね!」
「……まぁ、そうなるか」
「あ、あれ?何かまずい事言いましたか?」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」
「は、はい、どういたしまして……?」




