Q.血を奪う者-ヴァンパイア- 其の二十七
想月家に帰り、自室に着いて優人はベッドに倒れ込んだ。
「……これはどういう事なんだ?」
優人はこれまでの捜査と今日の聞き込みを照らし合わせる事で犯行の際のビジョンを描いた。
だが、それにはおかしな点が複数生まれていた。
「……何かが、足りない気がする。その何かに気付ければきっと……真相、に……」
優人の意識はブラックアウトした。
『私、あんたの事嫌いよ』
『知ってるよ、そんな事』
学校の外は大雨だった。
迎えが来るのを待っていた二人は教室に取り残されていた。
『何言ってるの、私の心の中なんて知らないでしょ』
そんな風に言うサラを見て優人は、今日は機嫌のいい方だな、と思った。
『そうだね、サラの心の中なんてわからない。でも、僕の事をいじめてくるのは嫌いだからだろ?』
『何言ってるの、いじめるから嫌いなんじゃなく、嫌いだからいじめるのよ』
『?……同じ事じゃないか』
『あんた馬鹿ね。物事には順序ってものがあるのよ』
ああ、そういう事か、と優人は合点がいった。
『成る程。それはそうだ。だけど、知ってるか?それは論点のすり替えって言うんだ』
『……何よ?口答えするの?』
『ぷっ!……ははは!馬鹿だな、サラは』
『誰に向かって、そんな口を聞いている訳?』
『なんだ、自分は僕の事馬鹿扱いする癖に、僕に馬鹿だと言われれば腹が立つのか?』
『あんたは……あんたと私は違うでしょ』
『それはそうだ。だから、何?それが理由になると思ってるの?』
『私とあんたでは家柄も背負ってる物も違うでしょ!』
『だから、それが何だっていうんだ?だから、暴言を受け入れろって?いじめてもいいって?じゃあ、殺したっていいとでも思ってる?』
『そこまでは……言わないけど』
『そこまで?だから、馬鹿なんだよ。最初の時点で駄目に決まってるだろ?サラがどんなに偉かろうがそんな権利はないんだよ』
『ゆ、優人、いい加減に……!』
『それで、いつも見たいに自分の取り巻きを呼ぶのか?』
『!?』
『で、どうしたんだ?いつもの取り巻きは?取り巻きがいなきゃ何も出来ないだろ、サラは』
『優人ぉっ!……あ!?』
サラは優人を殴った。
だが、優人は殴ったサラの手首を掴み捻りあげた。
『あ……痛っ!』
『さら、因果応報って知ってるか?』
『な、何を言って……痛い痛い痛い痛い!』
『物事には順序があるっていったよな。今の流れだって順序がある。サラが殴った。殴ったから手首を掴まれた。手首を掴まれたからこうやって捻りあげられる』
『痛い!!み、ミコ!守!来てよ!』
『そして、サラは僕をいじめていた。だから、こうやって報復にあう』
その時、教室の戸が開いた。守とミコだった。
すぐにミコによってサラから引きはがされ、守の拳を喰らい、優人は床に崩れ落ちた。
サラはそれに悪態を吐く事はなく、恐怖からかミコに抱き着いて泣いていた。
『サラ……お前が人に悪意を振りまき続ける限り、その悪意は自分に帰ってくる』
優人の言葉に反応し、サラの泣き声が大きくなった。
それを止めようとした守の蹴りが優人の腹に入った。
そして、その蹴りを受けた優人はその守の足を抱え上げ守を床に転ばせた。
『その時もこうやって他人に守ってもらうのか?どうしようもない奴だよ、お前は!』
倒された守だったが、自由な方の足で優人の首筋に蹴りを入れた。
その蹴りは延髄に入り、優人の意識は一瞬でかりとられていた。




