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オモイツキ  作者: 結城コウ
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Q.血を奪う者-ヴァンパイア- 其の二十四

サラは熱っぽい目をしていた。

その視線にやり辛さを感じつつも優人は思考を開始する。

ミコと守に頼んでいた分に目を通す。

唯一、吸血鬼と似た属性を持つ存在の申請があった。

それはキョンシーだ。

キョンシーと言うと東洋のゾンビのようなイメージは強いが習性の中に人の生き血を求めるものもある。

仮に犯人がキョンシーならば辻褄のあう部分がある。

だが、キョンシーという存在自体は思考能力の乏しい怪物だ。

想月家の人間という前提を考えるとそんな怪物が身を置けるとは思わない。

仮に外部犯だというのなら、切り離して考えられるが……

「……サラ、オモイツキは思った事で現実になってしまった事象。それをどこまで認識出来るんだ?」

「父から教えられたオモイツキの制御方法に自分の中に箱や檻のようなものを作る思考方法が、あります」

「うん?」

「その場所は思考の避難先であり、思考の掃きだめでも、あります。一種の自己催眠で、は、ありますが、そこにある思った事は曖昧な事になり、ます。逆に言えばその外側の思考は確定事項、です。事実、そこにある確定事項を私は認識して、います」

「……」

優人は目を閉じて、プリンを一口食べた。

「なら、サラにとってこの事件の確定事項はなんだ?」

「そう、ですね…………」

サラは恐る恐るといった調子で目を閉じて、思考を探っていた。

「この屋敷に、吸血鬼がいる事です」

「……成る程」

優人は資料に目を戻す。

キョンシーは十年程前に消息がつかめていない。

セツノに頼んだもう一つの伝承の類いの資料に目を通す。

所、ヴァンパイアに近い特性を持つ妖怪がいる。

野衾(のぶすま)、さらに野衾が年を取り、一段上の妖怪になった山地乳(やまちち)という妖怪がある。

ヴァンパイアと同じ蝙蝠(こうもり)の妖怪であるが、血を吸うという記述はない。

その理由は吸血蝙蝠というもの自体種類は少なく、日本に住む蝙蝠は吸血種がいないからだと言われている。

今回の事件が吸血事件である事を考えると除外して考えたほうがいいだろう。

次に磯女(いそおんな)

磯、という名前が付く事から全身が濡れていて、海や浜辺の妖怪なのだが、月母尾には海はない。

そもそも、全国に分布するといった有名な妖怪ではないので、この伝承が月母尾に残っているのは疑問が残るが、その習性に吸血がある以上、無視は出来ない。

吸血以外の逸話もあるのだが、吸血のみの話にすると、長い髪を持ち、その髪から吸血するというのが概要になる。

「ふむ」

鬼崎家にあった該当する書物はこれだけだった。

該当するものが少ないならば、それはそれで考えやすい、と感じ優人はプリンを食べきった。

「うん、ありがとう、サラ。美味しかったよ」

「えっ?!でも、さっきは美味しくないって……」

「‘物凄く’美味しい訳じゃない、って言ったんだよ」

「あ……う……はい」

「サラ、今日はありがとう、色々助かったよ」

「え?い、いえ、想月家として当然のサポート、です」

言葉の意図を分かっているのか、と優人は目を伏せた。

「もう遅いし、そろそろ寝たほうがいいな」

「そう、ですね。お疲れで、しょうし、温かい飲み物を持って、きますね。それで、ぐっすりの群れる、はずです」

「それは、有り難いが、サラに入れてもらうのは……」

「いいん、ですよ。私がしたいだけなので!」

サラはそう言うと足早に優人の部屋を出た。

「アイツ……」

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