Q.血を奪う者-ヴァンパイア- 其の二十一
数時間後、すっかり日が落ちた頃、得意げに出来上がった資料を叩くセツノがいた。
「ほれ、優人。これが欲しがっとったもんじゃ」
「あ、ありがとう」
優人は資料を受け取り、目を通す。
その数、十七枚程。
莫大な資料の中から自分達だけでこれを見つけようとしたのは確かに無謀だった。
「ああは言うたが、今日一日で中々の儲けになったわ」
そう言うセツノは上機嫌だった。
どうやら、サラは報酬を奮発したらしい。
「さて、腹減っとらんか?晩飯くらい食うて帰らんか?」
「えっと……」
その提案自体は喜ばしいもので、優人も学校での昼食以降何も食べていない。
だが、一緒にいるだけで息が詰まりそうな鬼達との食事は、優人にとって難度が高かった。
「申し訳ないですが、想月家の方でお嬢様がお帰りを待ってますので、ご遠慮頂けますか?」
そう口を挟んだのはミコだった。
「お嬢様はお食事を取られずに優人様の帰りを待ってますので」
「へぇ、あのサラが……ああ、そういう事なら構わん。早う帰ったれや」
そう言うと上機嫌にカッカッと笑っていたセツノの笑みはニタニタしたものに変わった。
「あ、はい」
「では優人様、お車の準備は出来ております」
「じゃあの」
「はい、セツノさんありがとう」
「礼に及ばん、これもビジネスじゃからの」
「では失礼します」
優人達が出て行った後、セツノは笑う事を辞め遠くを見た。
「全く……随分、健気な奴じゃの」




