Q.血を奪う者-ヴァンパイア- 其の七
何とか転校初日を終えた優人はサラと共に車で屋敷への帰路についていた。
「どうですか?初日を終えてみて」
「どうって……?」
「感想、ですよ」
「何もないよ。感慨を持てるほど余裕のある身の上じゃない」
「……そう、ですか」
「ただ、少し疲れた」
「そうですか、では寝ますか?」
「そうだな、この後も一仕事ある訳だし、少し休ませてもらう」
「はい、ではおやすみなさい」
「おやすみ」
『あっれぇ?優人くん、随分汚いお弁当だねぇ』
子供の頃のサラは確かに傲慢だった。
年の近い使用人のミコと守を引き連れて、村の子供達の女王として君臨していた。
『……なんだよ、いきなり』
オモイツキの子という立場の彼女を諌められる者は殆どいない。
それが、彼女を増長させていた。
『あ、そっかぁ。優人くん家って、お母さんがまともに料理出来ないんだったねぇ』
『黙れよ!』
だから、彼女の標的になった者は誰も助ける事が出来なかった。
『なに、その態度?私に逆らうんだ……守、やっちゃって』
『!?』
サラに詰め寄ろうとした優人の前に守が立ちはだかった。
そして、次の瞬間には守の一撃を喰らい、優人は崩れ落ちていた。
『あはは!ダッサぁい!一個下に負けてんの~』
(お母さんを……馬鹿にするな……)
優人は声を出す事も出来なかった。
「優人くん、着きましたよ」
「あ……」
車内、サラが優人を起こす。
優人は無意識に腕を伸ばし、サラはその腕を抱え起き上げようとした。
「……」
優人は無意識にサラの首を絞めそうになり――
「!?」
我に返り、それを押しとどめた。




