Q.血を奪う者-ヴァンパイア- 其の三
「梔子優人です。よろしくお願いします」
優人が見た教室の風景は、外の常識を持っていれば異常だった。
肌の色が常識の範疇の外のレベルで赤かったり、青かったり、角が生えてたり、獣のような耳と尾を持っていたり、首が伸縮自在だったり、そういうクラスメイト達がいた。
「はい、では梔子くんはーこの席を使って下さいー」
担任は女教師、一見は普通の人間だが、教師というには頼りなさそうな、所謂ゆるふわ系だった。
「……えっ、この席ですか?」
その席は真ん中の列の一番前、ついでに言えば、左右は筋肉隆々の赤い人と青い人、後ろの席は角の生えた女子――一見美人だが、腰に刀らしき物を据えているのは校則として……以前に銃刀法違反だ。
「今空いてるのはその席なんですよー」
「いや、なんでだよ」
優人は思わず突っ込んだ。
「ふぅ……あのね?梔子くん。郷に入れば郷に従えというじゃないですかー?」
「いや、そういうアレではなくて、最初に埋まる場所でしょ」
「そうであっても、ずっとそういう訳ではないんですよー」
「はぁ……」
「前にその席に居た子はねー転校しちゃったんだー」
「そう、なんですか?」
「うん、心の病だって、大変だよねー」
「え」
それってこの席のせいではないだろうか?




