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生産職と決着と新たな道

高速移動を重ねていたチャンネンが今度は大技を出そうと足を思い切り踏み込んだ瞬間、チャンネンが足を滑らせこけてしまった。


……まさか一般モブと違い高度なAIが搭載されているはずのボスモンスターが地面に落ちている矢を踏んでバナナを踏んだかのように転ぶとは誰も思わず、一瞬皆呆けてしまったがすぐに我に返り一斉に最大火力を叩き込む。


それがきっかけとなりのこりHPが3割まで削ることができた。そしてサクラもまた、自分が持つ最大威力の

弓術・曲撃をチャンネン目がけて撃った。

矢は綺麗な弧を描いてそのまま命中した。


……チャンネンではなく、天井に生えている鍾乳石の根本に。ハタハタたちがチャンスを逃さず攻撃しているのに自分だけ何もできなかったと嘆いているとピシッ、ピシッという音が洞窟に響き渡り、さらに天井から小さな石がおちてくると一気に鍾乳石ごと天井が崩落し、チャンネンは再び状態変化しようとした格好のまま生き埋めになり、這い出てきた時にはすでにHPが1割を切っていた。


結局チャンネンは出てきたところを攻撃されてあっけなく光の粒になって砕け散った。


元チャンネンの光の粒が完全に消えるとウィンドウが表示され、そこには【Congratulation】という金に輝く文字とその下に『クエストを達成しました。報酬を受け取ってください』という文があった。


しかし報酬を受け取ってくださいと言っても宝箱もなければ『YES』ボタンもない。

一体どうやって受け取ればいいんだよと思っているとチャンネンがいた場所にぼんやりとした光が現れ、そしてそれはだんだん人型になっていった。

2メートル近い身長に男の俺から見ても分かる超絶イケメンになった光の塊は俺たちに向かって口を開いた。


『我を呪縛から解放してくれたこと、礼を言おう。ありがとう。そちらのものは我が恩師も助けてくれたようだ。其方らには我から祝福と褒美を与えよう。そして願わくばこの先にいる我が兄弟たちも助けてやって欲しい。』


光の人……恐らくチャンネンが口を動かしていたのに脳内に直接語りかけて言い残すとパァンと弾け、光が俺たちの周りをぐるっと一周して体に飛び込んできた。


その光が消えた時、目の前にはもうその姿は無くかわりに立っていた後に5種類のシリーズ装備が防具立てに置かれていた。


武器の種類は右から杖、双剣、片手剣、両手剣、大楯とほとんど俺たちの装備に沿って置かれていた。

順繰りに各々が自分に合った装備を持っていき、最後に大楯が残った。


仕方無しにその大楯を取って確認すると破格と言っていいほどの装備だった。


シリーズ名は『堕落の象徴』。

その能力は、自身が使役、召喚などのスキルで支配下に置いている物の能力を3割固定で上げ、戦闘時間に比例してスキル影響下の物の能力値を上げるというもので、他には装備スキルがいくつかあった。


・『堕落の救済』装備者の能力値を1割下げる代わりに味方のHP、MPを半分回復する。下がった能力はその戦闘が終わるまで回復しない。


・『堕落の灯火』発動時間に比例して装備者に継続ダメージを与える代わりに味方のHPを発動時間に比例して回復させる。


・『惰眠の境地』発動条件...不動。発動すると装備者は動くことができないがHPを一定値継続回復する。


この3つだ。...うん。

たぶん俺がこの戦闘で起こしたアクションが取り巻きと自爆することと最後のラッキーショットだけ...

つまり寄生とほぼ同じだったからかな...たぶん。


それにしても怠惰だの堕落だのって。俺、結構頑張ったんだけどなぁポーションとかの後方支援で。

みんなそれぞれ強い装備をもらったみたいだ。

ちなみにみんなは俺のみたいにピーキーな性能ではなく普通に強い装備だったらしい。


次の日、早速俺はクエストを受けて『使役』『召喚』『獣言語』の三つのスキルを取った。

それぞれ使役はモンスターのテイムが可能になるスキル。


召喚は召喚石や魔導書にモンスターを封じ込めて戦闘時にMPを消費して召喚するスキル。


最後の獣言語はテイムしたモンスターと意思疎通をするために必要な物でこれを取らずにモンスターをテイムすると管理不足で死んだり戦闘中に逃げ出す可能性が出てくるとか。


テイムする方法も使役と召喚で変わっていて、使役はモンスターに好物のアイテムをあげたりモンスターを助けることで絆を結び、契約してもらうもので、反対に召喚はモンスターを特定数狩ってその魂を封じ込めることで召喚するものでこの時にドロップアイテムなどは無く、経験値すら入らないのでこのスキルを取っている人はほとんどいないらしい。


俺はさっそくテイムにチャレンジしようと思って野草や果物なんかを取ってその場で食べ物を作っているところだ。


なんで食べ物を作っているかだって?


うちの爺ちゃん家で猟犬として飼っていた犬は餌をあげると尻尾をバッタバッタ振って喜んでたからって言う安直な考えがあるからだよ。


野草は苦みを消すために果物の皮なんかと一緒に茹でた後に炒めて、果物の果肉は砂糖と一緒に鍋でぐつぐつと茹でてジャムを作る。

種は砕いて粉にして少ないがパンもどきを作る。

骨付きの猪肉は香りをつけるためにハーブをくくりつけて肉焼き機でグルグル回す。


この肉焼き機をグルグルしていた時、俺の頭の中では過去の超有名作品の一狩り行こうぜなゲームのBGMが流れていた。


鹿肉は半分を一口サイズにして金網で挟んで燻製に。

もう半分はサイコロ状に切って野草と一緒に炒める。

これで完成だ!

サイコロ鹿肉の野草炒め。パンもどきと果物ジャム。香り立つ骨付き焼き肉。燻製鹿肉。


この四つの料理を作り終えて疲れたので木にもたれかかって木陰で休んでいると木の上から何かが我の腹の上に落ちてきた。


ビックリして思わず払い除けようとしたが、よく見るとそれは怪我をして痩せた?クモだった。


とりあえずポーションで傷を癒し、燻製鹿肉を小さくちぎって与えると眠ってしまった。眠ってしまったのをどうすればいいかと悩んでいると、俺の目の前に『クモをテイムしました。名前をつけてください』というメッセージが現れていた。


一瞬呆けてしまったが、次の瞬間。俺はクモを起こさないように小さくガッツポーズをした。


予想もしない出会いだったが俺の初めての相棒だ。

名前は……散々悩んだ末、『クイ』 という名前にした。……うん。後でハル姉に安直でネーミングセンス皆無だって言われるんだろうなぁ。そこはまぁ昔からだし仕方ないか。

とにもかくにも初めてのテイムモンスターだ。

これからよろしくな、クイ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 内容は普通に面白いと思うからこのクオリティを維持出来る用頑張れ
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