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俺がこのありきたりな異世界冒険をぶち壊してしまっている件  作者: でれるり
第1部 〝 異質者との冒険が始まってしまった件〟
7/13

6「ある日、異世界石君がおりましたとさ」

 





 ──ある日のこと、異世界石君という一つの石がおりましたとさ。その石はいっしんと呼ばれていた。

 その異世界石君は難関石大学の卒業生で、とても頭が良く、とても意志が固かった。毎日どんなときも勉強をしていて、勉強オンリーだったこともあって、石友達が一人としていなかった。

 でも、異世界石君は友達がいないことを特には気にしていなかった。なぜなら彼には石ではない友達がいたから。


 その友達とは、野鳥。種類はスズメ。


 何故異世界石君がスズメと友達になったかというと、そこは話が長くなるので省略──



 「⋯⋯あの、話の途中で悪いんだけどすごくモヤモヤするんですけど。スズメと異世界石君が何故友達になったのかって一番大事だと思うんですけど?」


 「今俺が真剣に話をしているんだから君はその美しいお口にチャックをしとくの。わかった?」


 「⋯⋯くっ」


 ルーシアは口を思いっきりつむんだ。血が出るくらいに。




 ────そして、異世界石君とスズメはいつも学校が終わってはキャバクラに行ったりソープラ⋯⋯


 「ちょぉっとまてぇぇぇぇい!! なんで石と鳥がキャバクラ行ったりソープラ⋯⋯に行ったりするのよ! 設定おかしんじゃないの?」


 ルーシアのツッコミに男性は今までにないくらいの無表情で返答する。


 「設定? 何を言っているのかね? 君はこの話が嘘だと思っているという事か? これはノンフィクションかつ感動ストーリーだ。君にいちいち口を挟まれていちゃあこの感動は味わってもらえない。少し黙っていてくれ」


 何故私が逆ギレされたの? 私何か間違ったこと言った??

 ルーシアは困惑した表情を浮かべながらさらにきつく口をつむんだ。





 ────ンドに遊びに行ったりしていた。異世界石君とスズメは楽しい大人のひとときを過ごした。


 「将来は絶対結婚しよーな!」


 「おう! 絶対結婚するぞ! これからもよろしくな!! いっしん!!」




 いや、BLやないかい。

 ルーシアは心の中でつっこんだ。



 ────しかし、そんな楽しい時間を奪う出来事が異世界石君に降りかかる。


 異世界石君が街を歩いていた時、服屋のところで偶然にもスズメを見つけた。


 「おーい! スズ⋯⋯メ」


 スズメの隣には見知らぬ女がいた。

 異世界石君は目を丸くし、急いでスズメの元へと駆け寄る。


 「おい! スズメ! ⋯⋯だれだよ、その女」


 「⋯⋯!! お前、なんでここに」


 「⋯⋯だれなんだよ」


 スズメは目を逸らし、無言で女の手を掴んで走り始めた。


 「ちょ、待てよ!! その女誰なんだよぉ!! ⋯⋯お前! あの日の約束覚えてないのか?! 将来は俺たち結婚するって言ったじゃないか!!」


 異世界石君はスズメの羽を鷲掴みにし、問いかける。

 すると、無言だったスズメから衝撃の発言が出た。


 「⋯⋯だって、だって」


 スズメは異世界石君の方を向いて泣きながらこう叫んだ。


 「よく考えたらお前も俺も男じゃねぇかぁぁぁぁ!!」


 「確かに!!」


 異世界石君はスズメの返答に一瞬で頷いた。

 スズメはそう言って全力疾走し、その場から去っていってしまった。





 「スズメぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 異世界石君の憎しみと悲しみが詰まった叫び声が店中に響く──





 ──もう生きる意味さえ失った異世界石君はいつもスズメと遊んでいた公園へと行った。


 「⋯⋯はぁ、はぁ」


 異世界石君はとぼとぼとブランコの方へと歩き、ドシッと座り込んだ。


 異世界石君が溜め息をつくと同時に、ふと右の方からも同時に溜め息が聞こえた。

 異世界石君は右を向くと、この辺では見かけないクジャクがブランコに座っている光景が見られた。


 「⋯⋯もしかしてクジャク君も悩み事?」


 「⋯⋯あぁ、そうさ。⋯⋯俺の彼女が浮気してね。その気晴らしにさっきキャバクラ行ってたんだけどここが一番落ち着くからさ」


 「もしかしたら俺たち気が合うかもしれねぇな!」


 異世界石君は笑顔でクジャクにそう言った。

 するとクジャク君も笑顔で返答した。


 「そうかもな!! はっはっはっは!!」




 この事がきっかけとなり、二人は楽しい楽しい生活を送っていったとさ。めでたしめでたし。ちゃんちゃん。



 「⋯⋯以上、私、剛林がナレーターを担当いたしました。どうもありがとうございました!!」


 「何がめでたしめでたしよ!! あなたと異世界石の何の共通点もなかったじゃないのよ!! ただの異世界石君の苦労話じゃないの!!」


 ルーシアはすごい速さで立ち上がり、男性に指を指しながら叫んだ。


 「どーせ感動しちゃったんでしょ? ⋯⋯俺は女心が分かるからね。君のことなんかすーぐ分かっちゃうもんねぇ」


 女心わかってんなら靴箱に手紙入れられたり昼飯におかず交換されたりするのをいじめとして捉えるわけねーだろ!!

 ルーシアは心の中で叫んだ。また荒ぶってる。




 「⋯⋯とにかく、この回想で俺が剛林 亜蓮だって事をやっと証明できたね。さぁ!! 早速──」


 「キャバクラとソープ〇ンドだらけの作り話で信じるわけねぇだろぉぉぉぉ!!」


 「んはぁん!!」


 ルーシアは思いっきり男性に蹴りを入れた。

 しかもみぞおちに。







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