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俺がこのありきたりな異世界冒険をぶち壊してしまっている件  作者: でれるり
第1部 〝 異質者との冒険が始まってしまった件〟
2/13

1「エリートな私とキモい依頼人」

 




 ──ここは異世界冒険案内管理事務所。ありとあらゆる人間や宇宙人達を異世界へと誘い、案内する仕事を職とする異世界人が集まっている。

 給料も高く、ボーナスも大盤振る舞いなので、巷の若い男性や女性に人気の職業である。

 そんな中、とある女性がこの事務所で注目の的となっていた。


「社長、その少年は私が案内しておきました」


 その女性は赤色のロングヘアが目立つ超美人社員だ。職場では、彼女にしたいランキング四年間一位を獲得するなど、モテモテな女性である。


「いやぁ助かったよ! ありがとう。君のお陰で会社の利益はうなぎのぼりだよ!」


「はい。お役に立てて光栄です」


 ここの社長も彼女のことを物凄く気に入っている。

 勿論、社員の九割は彼女を敬っているが。


「あのー、もし今夜時間があったらお食事でも⋯⋯」


「行きません」


「僕と連絡先交換して⋯⋯」


「しません」


「美しいぃぃぃぃ!」


 いかにも分かりきったような女性の反応にも社員達は声を揃えて叫ぶ叫ぶ。


 そんな社員達の反応にも完全無視をする女性だが、そんな彼女に運命を大きく左右する出来事が起こる。





 ──とある日、彼女の元に一通の依頼が届いたのだ。


 ⋯⋯あ、忘れてたけど彼女の名前はルーシア・インディード。

 嘘が嫌いである。というより嘘がつけない。


 で、その一通の依頼というのは、地球のアカマルライスという国からだった。

 アカマルライスというのは日本のことであり、日本の国旗の赤い丸とまわりの白いところをイメージして呼ばれているこの世界だけの呼び名である。


「ルーシアくん。この依頼を早急に済ましておいてくれ。頼んだよ」


「はい。わかりました。⋯⋯アカマルライスですか? 珍しいですね。アカマルライスから依頼なんて」


 大体の依頼は他の惑星からなので、アカマルライスはともかく、依頼が地球であることが珍しい。

 ルーシアが入社してすぐに渡された依頼の時以来、アカマルライスからの依頼はなかった。⋯⋯いや、別に依頼と以来を掛けたわけではないからね? 勘違いしないでね?


「そうだなぁ⋯⋯。アカマルライスはここから物凄く遠いし。なんせ『異世界石』が馬鹿にならないかならなぁ」


「確かにそうですね。アカマルライスに移動するために必要な異世界石の数は合計二十三億四千九百万個。換算すると惑星が二千個買える勢いですからね」


「はっはっは! 大丈夫さ。ルーシアくんが頑張ってくれているから金なんていくらでもあるさ。さ、早く行ってきなさい。宇宙の全てのもの達の夢を叶えてあげるのが我が社のモットーだからね」


「はい。承知しました」


 ルーシアは社長に背を向けてドアの方へ勢いよく歩き出した。





 ──ルーシアは異世界間移動室と書かれている部屋に入り、早急に機械を操作し始める。

 到底、素人にはわけのわからない文字がいくつもかかれているが。

 黙々と検索していくうちに、依頼人の写真が出てきた。


「⋯⋯この子が」


 写真の男はゴリッゴリで眉毛は濃くて、目つきは悪く、いかにもボディビルダーにいそうな体つきをしている。写真だけでも頭が悪そうなのがまる分かりである。


「⋯⋯剛林 亜蓮(ごうばやし あれん)ね」


 名前の通りである。異世界冒険に憧れる大体の人々はこういうキモ男である。

 ルーシアの四年間の経験の結果がこれだ。


「えーと⋯⋯。趣味は解体新書の音読⋯⋯。夢はリーマン予想を説いて宇宙を理解すること?? はぁ?」


 解体新書? リーマン予想? 何考えてんだこいつは。

 ルーシアは適当に書いたのだろうと察し、無視する。

 そして機械の電源を切って立ち上がり、コートを着る。


「さてと、ちゃっちゃと済ませてきますか」


 ルーシアは部屋から出て、自分の寮へと戻る。







 ──後にこの依頼人がルーシアの運命を変えることになろうとは全くもって分からない。









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