熱帯夜(200文字小説)
熱帯夜。
汗びっしょりで夜中にシャワーを浴びた。
「暑いわ」
女の声。
僕は思わずシャワーを止めた。
空耳?
そうだよ。
だって僕は一人暮らし。
気を取り直してシャワーを出す。
あれっ?
水しか出ない。
これじゃあ冷たすぎる。
温度調節のレバーが下がっている。
戻そうとしても動かない。
「だから暑いんだってば」
僕はその場で凍りつく。
床一面に女の顔が…。
「涼しくなった?」
恐怖のあまり僕の心臓は止まった。
「これでもう暑くないね」