ep68 ソーメンにはショーガ
……一二〇〇(ヒトフタマルマル)。
私は、窓際で力なく首を垂れる十六代目豆苗……もはや「かつての戦友の末裔」と化した彼らを横目に、展望デッキへと進出。
そこには、私の厳しい統治(水やり)を耐え抜き、青々と繁る「紫蘇」の姿があった。
「……今日こそ、この緑の装甲を剥ぎ取る時だ」
私は管制センター(台所)にて、熱湯という名のプラズマ流を生成。
白き銀河の糸、「素麺」を投入した。
数分後、冷水と氷による「急速冷却プロトコル」を完遂。
「……仕上げに、先程収穫した紫蘇を千切りにし、麺つゆの海へと投下する」
爽快な香りが鼻腔を抜け、私の沈滞していた精神ユニットが再起動していく。
生姜という名の「化学ブースター(チューブ入り)」も忘れずに。
私はワサビ派の連中に背を向け、生姜一筋の航路を突き進むのだ。
「……実食!! ……啜れ、啜るんだ私!」
……美味い。
エノキなめ茸による粘り強い防御戦から一転、紫蘇の清涼感による鮮やかな電撃作戦。
喉越しという名のワープ航法が、私の生体機能を一気に正常値へと引き戻していく。
「……ふぅ。……生き返った。……これぞ、1DKの片隅で手にした、最高の贅沢だ」
▼バイオドーム収益・食事報告(Bio-Dome Harvest Report)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【現主食】 : 自家製紫蘇の冷やし素麺
【調達元】 : ベランダ展望デッキ(百均プランター製)
【追加装備】 : 生姜チューブ(攻撃力+15)
──────────────────────
【観測データ】
・十六代目豆苗は、もはや「観賞用」の域に達しつつある。
・素麺における「生姜派」の信念は、何物にも代えがたい。
・紫蘇の自給自足は、一DK型宇宙船の生存率を確実に引き上げる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




