ep34話:友が来たりて酒を飲む
……冬。
本格的な寒波が押し寄せ、私はコートとマフラーという名の「耐寒装甲」を装着し、駅へと向かった。
そこには、あの夏の恩人――札幌の案内人が、満面の笑みで信号(手を振る)を送っていた。
「……ようこそ、辺境の補給基地(わが街)へ」
彼女の目的は「推し」のライブという名の、魂のエネルギー充填。
だが、その前進基地として彼女が選んだのは、伝説の「1DK型宇宙船アカネハイツ203号」だった。
私は、近域の補給拠点で資材を大量確保し、母船へと接舷。
「……展開せよ。……炬燵を」
北海道という、高い断熱性能を誇る宙域では希少な「局地暖房装置・炬燵」。
彼女は、その魔の引力圏に足を踏み入れた瞬間、歓喜の声を上げた。
「……これが、噂の重力発生装置か……!」
鍋を囲む。
父上から供給された「秘密の引換券」によって召喚された、銀色に輝く生ビールという名の「超高品質燃料」。
だが、その備蓄は一夜にして消失した。
語らい、笑い、そして痛飲。
「……フッ。……備蓄の消失など、この幸福な通信記録(思い出)に比べれば、計算上の誤差に過ぎん」
翌朝。
ライブ会場へと出撃する彼女の顔面には、昨夜の塩分と酒精による「浮腫」という名のデバフが確認された。
だが、ハッチを抜けていく彼女の背中には、推しに会うための、そして昨夜の英気を養った者だけが放つ、目も眩むような「輝き」が宿っていた。
「……武運を。……良い観艦式を、戦友よ」
私は、空になったビールの空き缶の山を眺めながら、静かにハッチを閉じた。
▼今回の作戦費用報告(Mission Expense Report)
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【投入資産】 【コスト】 【備考】
・秘密の備蓄: 全弾消失 (父上の隠し弾、全弾発射)
・鍋の具材一式 : 2,500円 (贅沢な迎賓仕様)
・炬燵の電力 : 微増 (二人のぬくもり分)
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【合計コスト】 : ビール券3枚 + 最高の時間
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【作戦評価】
「避寒」ミッション、大成功。
北海道出身者に対する「炬燵の魔力」の有効性を実証。
一晩でビールが消えた事実は、今後の兵站計画に大きな修正(買い溜めの禁止)を迫るものとなった。




