放課後喫茶
昔から。人の目は嫌いだ。
何かを見定めるように見られるのも。
何かにつけて順位で競わせようとするのも苦手だ。
普通に育ててあげれればよかった。
普通なら、働いて結婚して子供がいてもおかしくないのに――。
両親が涙ながらに語る夜話も、変な時間に目が覚めたせいで静かな隣室から響いて、頭の中から消えてくれない。
普通、普通、普通、普通。
母も父も、弟も、祖父母もそればかりだ。
逆に聞きたい。
普通なら幸せなの?普通の人生には、ハッピーエンドしかないの?
わたしだって、望んで病気に罹ったわけじゃない。
胸の奥の重りは日に日に沈んで、心が濁っていくような毎日。
仕事で疲弊する両親の傍ら、無理して笑顔を浮かべて愚痴話に合わせるのも、もう慣れた。
最近、今まで〇×年以上ハマっていたネトゲをスパッとやめた。
オンラインゲームでの人間関係がつかれたのと、祖父母が最近あまり元気がないからだ。
いつでも優しいわたしの味方のおばあちゃん。
口は厳しい頑固なおじいちゃん。でも根は優しくて心配性なことは、家族一同知っている。
わたしには普通の学校生活も、普通の人生も普通の生き方もわからないよ。
でも、そのおかげで友達が出来ました。
わたしより年上の女の子。
さやちゃんは、喫茶巡りが好きで、お洒落さんで、とっても聞き上手な子です。
偶然同じ職業訓練で知り合って、意気投合しました。
訓練が終わった今も、以前のように近場の喫茶店でコーヒーを飲みながら語らいあう仲です。
たしかに、病気になったことで、不自由なことは増えた。
旧友にも打ち明けにくい秘密だし、治る病気だと思ってたのに、なかなか治らないし……。
でもね、病気になってみてわかったこともあるの。
家族のありがたみや、友達の支え、何気ない日常を送るなかで気づけたんだ。
だから、あまり自分たちを責めないで。
いつかそういえたらいいのにな。
わたしのことを両親がふたりで話しているとき、どこか自責の念が入っているのを本当は知っていた。
ごめんねではなく、ありがとうと。
いつの日にか話せるのなら、そう話したい。
そして、わたしにも友達が出来たんだよって、自慢したい。




