オカルト男の回答
フリマメンバーの克也はミステリー・ハンターである。
奴の素性はよく知らないが、オカルトのなんかを追っかけてるのは本当だと思う。そして、困った事が起こると都合よく秘密結社の主任?課長?クラスの何者かが奴に戦いを挑んでくる。
それが音信不通の言い訳なのか、どうかは知らないが、小説を書いてる現在、奴のコメントは本当に参考にはなる。
私にはアクションの書き方もネタも持ち合わせてないからだ。でも、いつか、ジャンルを制覇したいとは思うので、役のおかしな話は参考になる。
今日は7月5日である。2025年の7月5日。
巷ではなんだか、危うい事が起こるのではないかと噂になっていた。
こう言う時、私は克也に連絡する。
フリマも無くなった現在、あんまり返信がこない克也が、絶対に返信をくれる、そんなマジックワードだからだ。
で、メールする
〈7月4日、何か起こるんだって?気をつけてね。〉
しばらくすると奴から長文が来た
《は?5日だろ?別に何も起こらないさ。でも、7、8、9月は気をつけたほうがいいね。》
ああ、5日なんだ。と、すぐに回答する克也に本当にオカルトが好きなんだと思う。
〈なんか、長いね。〉
《それはそうさ、人類滅亡ものは家族の危機の象徴だからね。別に、危険なのは地震や災害だけではないし、災害が怖いのは家族の安否が侵されるからだろ?
今年の危機は複数ある
地震、自然災害
訪日外国人とのトラブル
熱中症
これから、夏休みに入るから、子供の脅威は大きくなってるんだ。
こんな時だからこそ、子供と災害用の緊急連絡方法を話したり、位置情報の共有など、人類滅亡とか災害の話を含めて話し機会だと俺は思う。》
克也、まさかのマジレス。
それは社会人としてはいいけれど、WEB小説では使えない。
〈そうだね、訪日外国人はわからないけれど、夏休みは確かに、いろんな誘惑があるから気をつけたほうがいいかもね。〉
無難に返す。
《ああ、予言はともかく、地震は続いてるから、災害には備えた方がいい。
政府のインテリの言うことなんて、すでに某国に支配されて、日本を乗っ取ろうと画策されてるんだ!なんの利益にもならない、卯月さんのような人間のために政府の人間が動くなんて考えるのはお花畑の思考なんだぜ!
日本の中枢はすでに、ビックマネーにやられてるんだ!
俺の言うことが理解できないなら、⚪︎⚪︎を見ろ!深夜絶賛アニメ放送中だ!!!》
あ、アニメ…
と、メールを見ながら呆れる。が、呆れている暇はない。次のメッセージが長文で届く。
《今年はイベントがあるから外国人が訪日する人数も多い。夏休みに都市部に子供が遊びに行って怪しい薬物と接触するかもしれない。
卯月さんは知らないかもしれないが、海外ではゾンビ化する薬物が蔓延してるんだ!卯月さんも若くないからと気を緩めてはダメだ!
新しいウイルスが人類を狙っていて、すでに日本に上陸してる可能性があるんだ。それに感染したら、人間はゾンビ化する。
と、いうか、やる気がなくなる。
人類がアクティブに動くと、温暖化で他の生物も人類の活動を抑えようと躍起になっている。
微生物だって死にたくはないからな!
みんな死ぬ気で人類に襲い掛かってくるっ!!!
やりたい事はやっておけ!
太るのなんて気にするな!!
好きなだけ食べるといい!!!わからなければネットで自分で検索しろ。》
あ、暑い…それでなくても暑いのに。
〈ありがとう。ソーメン買って生き延びるよ〉
とりあえず無難に返す。
《乾電池も用意しとけ。停電したらスマホは使えなくなる。充電より乾電池が確実だ!!》
それは正論だが、令和の家電は乾電池で動くものが少なくなった。
〈うん。電池用意するよ。あと、ラジオもね〉
と、言いつつラジオなんて使ってないなと気がつく。
克也、たまにマジレスが入るのが悩ましい。
《災害も気をつけろ。地震はくる。鹿児島はもう、何度もみまわれている。
今年、河口湖の水位が激減している!
これは2013年でも起こった。
その年、インドネシアで噴火があった。今年も噴火している。
安心するな、そして、今の平和を噛み締めろ!
災害は家族単位で気にしろ。ネットの噂は信じるな!!!
じゃ、俺、忙しいから、そんな、メールしなくていいから!》
克也のメールは一方的で矛盾だらけ。
でも、気持ちはわかる。
311の時、ものすごく後悔していた。
マヤ暦は2012年の予言とされていた。
でも、昭和のオカルト本には2011年に太平洋側で何かが起こると書いてあるものもあった。
いつの間にか、2012年に統一されて、そんなものはただのイベントだって気にしてなかった。
でも、あの時、そんな話をすこしでもしていれば。
予想外の大きな災害の時の避難場所を考える柔軟さを追っていれば。
「白鳥は2週間も早く日本を飛び立った。白鳥すら、自分の群れを守れたと言うのに。」
克也のセリフが悲しかった。
確かに、滅亡もので騒ぐのは余計なリスクを背負うことになるのかもしれない。でも、だからって、何もないと考えないのも違うとは思う。
災害は家族単位で心配して、そんな噂がある時ぐらい、隣にいる人物の大切さを考えて、いつもより大きな災害にあった時の避難場所を話しあう。
スマホが使えない場合の連絡先を決めておく。(県外の親戚の家など、公衆電話の場所を確認しておく。)
家族が揃って食事を食べる機会を増やす。
これが、オカルトを追いかけ続けた男の現在の答えである。
そう考えると、無茶なコメントが少し悲しく感じた。
水位が推移になっていて水のイメージが無くなっていたわ。
2013年、河口湖がやはり水位が物凄く下がった年で、たくさんの地震があったって話から作ったのだけれど、この話、ここから、自分の置かれている状況の変化に気がつくとちょっと怖くなってくる。
例えば、私の場合は、固定電話IP電話にしたことね。
昔の固定電話は停電でも使えたのよ。でも、
IP電話は停電では使えない。スマホも。
そして今年は世界的に暑いし、このままゆくと、停電の心配はないとは言えない気がするわ。
今まで、固定電話がある安心感があったのに、それがなくなったことに気が付いてなかった自分が怖かったわ。
あと、冬の方が怖いと思っていたのよ。停電。
でも、寒いのは着込んで家族で抱き合って暖が取れるけれど、猛暑はそうはいかないのね。
水道も出なくなる心配もあるし。真っ暗な中で窓を開けて寝るのも怖い。しかも、通謀の手段はないし。停電だと、防犯カメラも止まる、もしくは止まると考える悪者も出てくるだろうから、気をつけないと。
スマホは通話が止まるけれど、カメラ機能は使えるし、蓄電式もあるから、そんな話もする方がいい気がしたわ。なんにしろ、平和で災害を乗り切った方がみんなの利益になるんだし。
災害時の悪さは、絶対拡散されて去れされるもん。平和が1番だわ。
家族分の保冷剤、用意しとこうって思ったわ。この暑さで停電したら、その時も助けになるし。
幽霊より、人が怖いってことかな。
何も起こらないように祈りたいわ。