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1 冬の嵐が吹き荒れた翌朝、僕は小さなドラゴンと出会う
はじめて会った頃、ヴァルはうんと小さかった。冬の嵐があばれた晩に西の山から飛ばされてきたらしいんだ。
枯れた草むらに何か黒いものが落ちているのを見つけたとき、僕はネコだと思った。
それからハネが見えたので、大きなコウモリかなと思った。
だけどそいつが僕の足音を聞きつけて長い首をひょいともち上げたので、見たこともない変な生き物だってわかった――ツノのある頭はヤギに似ていた。
でもツメやうずくまったかたちはネコみたいで、しかも毛皮じゃなくて黒炭みたいなウロコにおおわれていた。
それで、もっと近くで見ようとしたら、ワニのような黄色の目でキッと僕をにらんで、そいつが一言、
「さわるな!」
って、しゃべった。トカゲみたいに長いしっぽを体にぴったりまきつけて、黒いカギヅメで地面をカリカリ引っかいて、
「それ以上近づくと、このツメでズタズタのギタギタの、八つ裂きにしてやるぞ」
って、キンキンひびく声でおどかすみたいに言った。
――こわいんだ。って、僕は思った。
八歳の人間の子をこわがるくらい、ヴァルはまだ小さくて、弱かったんだ。