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くちの中へ



   「  ね 」



 また『先生』がだれかに命じる声がして、ヒコイチは女を突き飛ばしたが手ごたえはなく、いま口にいれられたものを吐き出すために、なんども唾をはいた。



「まあ、ヒコイチさん、落ち着いてください。あの女はヒコイチさんには『はいれ』ませんから。 くちにはいった 髪 は、のこっておりませんでしょう?」

 こどもにいいきかすように背をたたかれ、ようやく口のなかに指をいれてたしかめることをやめた。



 口を吸った女がおしこんできたのは、舌ではなく、『髪』の束だった。



 まだ唾のはきたらないヒコイチの手をとって、口をすすぐのはもどるまで我慢してください、とわらった先生が、いまのがヘイジさんのいう『天女』でしょう、とむこうをみた。


 きっと、先生に手をはなされたときにヒコイチが見えたものを、ヘイジはずっとみせられているのだろう。


「ヒコイチさんと違いまして、ヘイジさんは、横にいる女のかたは柔らかく暖かいものだと感じ続けているはずです。ですのでねエ、ほら、  ―― あんなに、しっかりとつながってしまって・・・」

 困ったように、むこうで、杯をかたむける男をながめる。





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