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天女のもてなし


「ヘイジさん、なにをしていなさるので?」

『ヘイジさん、なにをしていなさるんンで?』


 また、『先生』がきくのに、かってにヒコイチの声がかさなった。



「 みてわかりましょう?このおれが、天女に、もてなされてるんです」



「ヘイジさん、どこに『天女』がおりますか?」

『ヘイジさん、どこに『天女』がいるンです?』



「 おれの横で、ほれ、こうして手をつないで、しなだれかかってますでしょう?」



 たしかに、しなだれかかっている《モノ》はみえた。


 だが、それは、どうみても『天女』ではない。



 ヘイジは杯をかかげて『天女』がしなだれかかっているというほうへ、じぶんのからだもかたむけた。

「なんだい、よせやい。 おまえとはなれてどこかへゆくわけないだろう?」

 そう笑うヘイジの顔は、布団に寝ているヘイジとちがい、ひどいやつれようだ。

 髪も髭ものび、肉のおちた手足の爪が、いやにながくのびていて目につく。

 ひと月というよりも、もうかなりながいこと時がたっているようにみえ、削げ落ちた頬や青白い肌に、目だけがぎらぎらと精気に満ちて、ヒコイチはなんだか嫌だった。




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