28/71
入っていたのは
左にはひきだしがよっつ。
右の片開きのとびらは、 ―― うっすらひらいている。
そうか、親父がまた閉まらないよう、扉のへりに紙をはりつけたのか。
手に煤がついていないかたしかめ、すこしひらいていたそれを手前にひけば、中にあるものがすぐに目に入った。
―― なんだ?
こんな大きなもの、さっきは入っていなかった。
のぞきこまなくとも、それが何のかたちをしているかはすぐにしれた。
「 ・・・枕だ・・・」
木の台と上にのった、くくり枕がみえた。箱枕だろうとおもいながらとりだしたその木の台は、よく知るものよりも平たく低く、上にのったくくり枕も、それほどの厚みはない。