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ゴーストNo.7:四神<3>庁舎を守れ!

*グヮリロは「ガランにて ~ユキの発現~」に出てきたゴーストです

「モードS発動!」の掛け声で変化するミクト。

 

 ミクトを包んでいたスーツが白銀の薄い鎧に変わる。短パンに見えるあれも鎧の一部らしい。四肢は小手とブーツで覆われるものの隙間というか、肌色が多すぎやしないか。透明のボディスーツだということはわかっているけれども。

 水色の髪と不思議な目の色。全身から滾る魔力。いやあ、ミクト様の美しいこと!


「じゃあ、行くよ!」

 

 我は化身美空斗、魔国ガランにてテイマーとなった。魔との(ちぎり)に則ってここに呼び出す。

 出でよ! 我が下僕(しもべ)グヮリロ。


 ミクトが詠唱すると、ナメクジ、じゃなかったグヮリロが姿を現した。

 存在感すごいね、この子。


「うわあ……大きいですね!」

 見上げてたじろぐ、としお。


「来てくれてありがとう。お願いがあるんだ。ここらにたくさん生えているシイタケ(ゴースト)を食べてほしい」


 ミクトの言葉を理解したのか、野生の勘が働いたのかは分からない。

 グヮリロは頭をぐるりと回し、触覚を揺らしながら辺りを観察すると、近くに生えている巨大シイタケを食べ始めた。

 美味いことに気づいたのだろうか。頭を上げて何度か振ると大きく口を開いた。


「……俺らも一緒に吸い込む気か?」

「大丈夫です」

 

 なぜ、としおは大丈夫だと分かるのか。

 

 グヮリロが口をモゾモゾと動かすと、辺りのシイタケが浮き上がった。そして、まるで吸引されているかのように次々とグヮリロの口に飛び込んでいった。引き寄せ魔法だろうか。


「シイタケを……食ってる!」

 驚くトイロ。

「こんな食性があったんですね」

 観察するユキ。


 仲間が食べられたことに気づいたのか、残ったシイタケがトゲ鉄球(ウニ)を大量に放出した。ウニの群れがグヮリロを刺しに行く。しかし、グヮリロはまったく平気なようだ。ぶつかったウニが弾かれ、落ちて通路に溜まっていった。


「グヮリロに触ると痺れるんだよな」

「そうそう、毒波が出てるからな」


 懐かしいな。あの時は「こんなのを召喚獣にするのか」なんて思ってゴメンな。美味そうにシイタケ食っている姿は可愛いぞ。


「ヘタをするとあの時、私がこんな風に食べられていたかもしれないんですね」

 そうだった。ユキはこの子に食べられそうになったから発現したんだった。それは感謝すべきなのか。

 

 グヮリロは引き寄せたシイタケを食べては移動、また引き寄せて食べるという行動を繰り返している。この分ならあと少しでシイタケゴーストは退治できるだろう。

 

 としおが背中のタンクを下ろし、上着を正して言った。

「皆さん! 市役所に異変が起こっているそうです。ここはグヮリロに任せて向かいましょう」

 


 ……

 (あらたま)市役所は緑多い平地にある。敷地は広く、正面玄関前では定期的にイベントなどが催され、駐車場を除くいくつかのエリアには樹や花が豊富にあり市民憩いの場所になっていた。

 

 ところが、到着してみると市役所は巨大な植物に囲まれ異様な様相だった。タイルやコンクリートの地面を割って、植物の茎があちこちから出ている。トゲのあるもの、うぶ毛が生えているもの、点々と模様がついているもの……複数の植物が絡み合いながら不気味に蠢いていた。

 大きいものは屋根に届き、下の方から新しく生えたものがそれに絡んでいく。このままでは庁舎をすっぽり覆ってしまうだろう。

 

 敷地の周りには、市役所に来て入れなかった人たちなのか、たまたまそこにいたのか、大勢の人が立ち止まって様子を見ている。警備員に誘導され、玄関からも人が出てきた。

 

「いつ? こんなになったの」

 

 俺たちの疑問に、側にいた女性が答えてくれた。

「さっきよ! ついさっき! こうなるまであっという間だったわ。何か下の方で動いているなあと思ったら、どんどん伸びてきて」

 かなり興奮している。

 

「どうして植物がこんなに」

 

「ここらは昔、自然が多い静かな里だったんだよ。開発で土地の神様の怒りを買ったのかもしれないなあ」

 住民らしい年長者が教えてくれた。

 

 ユキが霊視結果を報告した。

「大地のエネルギーが溜まり続けて異常に膨れ上がっているのが視えました。ゴーストは植物に憑きやすいタイプのようです。地中に潜り込みエネルギーを得てこうなったのでしょう」


「エネルギーの蓄積は『開発』がきっかけになっているかもしれません。それを今まで四神が抑え込んでいたということなのでしょうかねえ」

 としおは眉間に皺を寄せてつぶやいた。


 警察も到着したようだ。数台のパトカーが庁舎を取り囲み、市民に中に入らないよう呼びかけている。


「やだ!」

 

 声のする方を見ると、小さい女の子が巨大植物のつるに手を取られていた。振りほどくことはできず、あっという間につるに巻かれ体が浮き上がった。

 見る見る小さくなっていく女の子の姿。トイロがつるの根元を斬り、先に羽を出して飛び上がったミクトが女の子をキャッチして抱きかかえ、事なきを得た。


 わあ! と歓声が上がる。

 

「星月夜さん、獅崎さん、慈眼さん! モードS準備です!」

 としおが声を上げた。力強い調子に、俺の中にもエネルギーが集まってきたような気がした。

 

「これだけゴーストが絡んでいると庁舎だけにバリアを張るのは難しいでしょう。建物を傷つけないよう直接攻撃中心で(ゴースト)を攻撃してください。中にはまだ職員と数人の市民が残っています。モードS発動後、化身さんは空間確保を。獅崎さんは祓い効果のある聖剣でお願いします」


「はい!」

「オウ!」

「了解です」

「分かった!」

 

「モードS発動!」

 としおが叫んだ。3人に変化が起こる。


 トイロはオレンジ、ユキは緑、俺は紫がかった青色に発光する。強いライトに照らされたかのようだ。

 まず肉体の変化。トイロは筋肉量が増えさらに大柄に。髪と瞳は炎を映したようなオレンジ色に。ユキはそのまま髪と瞳の色だけが変わる。グレーの髪が白髪に、瞳は叡智を宿した銀色に。俺の全身にはマジックタトゥーが浮き出、髪と瞳は黒から青紫になる。

 

 次に身につけているものが変化する。「スーツ」が消え、代わりにそれぞれの戦闘服が現れる。戦士のトイロは鎧、賢者のユキは白いローブ、俺は魔法ローブだ。

 最後に「キラキラ」。防御や攻撃を底上げする宝石の数々が戦闘服を飾る。俺の全身を見ろ、大魔法使いに相応しくキラッキラだぜ!


 変化は皆同時で、少しずつ起こる。変化中は体が動かない。だが、自分以外の様子は目で見えなくても感じることができる。トイロの筋肉、ユキの真っ白具合、ミクトの太もも、どれも最高だ。

 どんな感じなのかって? 少しの高揚感、爽快感、それに義務感、使命感、ってところかな。総じて「キモチイイ」。

 

 3人のモードS発動後、ミクトが「ドラゴンの護り」を詠唱。市役所の敷地をすっぽり包むドーム型のバリアが張られた。ドラゴンが歩道スレスレを旋回したものだから、避難中の市民を少し驚かせてしまった。

 今日のドームは特大だな。ミクト、護りのドラゴン、お疲れ様!


 市民の歓声と「頑張れよ!」の掛け声に混じって聞き覚えのある声が。

 

「コーーーッ!」

 コーチャンではないか。

 

「スゴイナ」

「ステキ!」

「ワレモタタカウ!」


 玄さん、龍子さん、とらちゃんもいる。四神の皆さん、帰って来たのか!

 皆はドームのギリギリ外で、としおと一緒に並んでいた。

 コーチャン以外、姿はヒトガタのままだな。


 俺はトゲつるの攻撃を躱しながら手を上げて「お帰り」の合図をした。


 

 ゴーストがデカい上に地中から次々出てくるものだから今回はちょっと大変かもしれない。魔王とまでは行かないが中ボスレベルはあるだろう。気は抜けないな。

 こちらに転移以降、オーバースペックで楽にやってきたものの、まだ腕は(なま)っちゃいないと思うが。

 そんな事を考えていたら。


「四神の皆さん、色即是空に力を貸してください!」

 

 指輪を通して、としおが四神に呼びかけているのが聞こえてきた。


 おお?

 

「ありがとうございます」と、としお。


 了解が得られたようだ。

 

「四神の皆様と色即是空、2人一組で戦っていただこうと思います」

 

 何と!

 

「能力の系統が似ている方同士の組み合わせで、能力の増幅(パワーアップ)が期待できます。上手く行くとギフトスキルが発現します!」


「そいつは凄え! 俺は誰と組むんだ?」

 襲いかかる無数のつるを一文字に斬ると、トイロが聞いた。

 

「とらちゃんです」

「ホッホ」という、とらちゃんの笑い声が聞こえる。

 

「直接攻撃が強いおふたりです。とらちゃんは魔法も使えますので、トイロさんの攻撃力をアップしたり特殊効果を付与したりできます」

 

「へえ! それは頼もしいな。よろしくな、とらちゃん」


「玄太さんは慈眼さんと」

 玄太さんの「ヨロシクケンジャ」という声が聞こえる。ユキも「こちらこそ、玄太さん」と返した。

 爺さんと孫のような組み合わせだ。


「おふたりは守備魔法に長けたペアです。他にも多くの魔法を操られ、技もスピードも卓越していらっしゃいます」


 俺は龍子さんとかな? ちょっとドキドキするな。龍子さん蛸だけど。

 

「龍子さんは、化身さんとです」

 残念。


「おふたりの共通点はドラゴンです。龍とドラゴンは違うと言われるかもしれませんが。テイマーである化身さんは龍子さんの能力を十分に引き出すことができるでしょう」


 ミクトは空中で回転しながらつるを斬り終わると「はい! よろしくね龍子さん」と、満面の笑顔で言った。

 龍子さんは「ミクトヲテイム!」と手を叩いている。


 そうか、龍子さんは東を司る青龍的な立場の霊獣だからドラゴンそのものでもあるのか。

 ……すると残るのは。


「コーチャンとマコトさんですね」

 うん。

 

「コーチャンとマコトさんは火炎魔法が最もお得意。同時に火炎魔法を使えば相乗効果が狙えるでしょう」


 コーチャンが「コッコーーッ!」と叫んだ。

 喜んでいるんだよな? まさか「コノヤローか」とかじゃないよな?


「リーダーとペアになれて光栄だそうです」

 ユキが通訳してくれた。ありがとな。そんなに長くは叫んでいないと思うが。

 

 

 四神がドームにとびこんできた。

 

 俺がコーチャンに跨ると、コーチャンは雄叫びを上げた。

 勝利宣言に違いない。

 

 四神の力、見せてもらうぜ!

「四神4」に続きます

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