ルージュとギャルとサイボーグと騎士13
紅世原瑠朱と大蔵ラン子は結局下山を余儀なくされた。化け物に追いかけまわされたこともあるが、すでに日も落ち、いよいよ道なき道を行くには不適当になったからである。瑠朱は露骨に不満げであったが、ラン子は一安心であった。だが、漸く紅世原宅に近づいた頃合い、
「じゃあ、鶴井さんの病院寄って、あの二人を引き取って帰るよ」と瑠朱は告げた。
やはりか、とラン子は思った。できれば忘れていてほしかったがそんなことはなかった。
「えー、やっぱり?」
「一晩泊めていただいたんだし、これ以上迷惑はかけられないよ」
「でもさ、あの二人、絶対にヤバいよ。もう関わらない方がいいよ」
「ラン子さんが言う?」
あまりにも毒っ気もとげもある言葉であった。
「るっぴーって突然ひどいこと言うよね」
「言わないよ」
「うっそだー」
「え、嘘……」
「なに? どうしたの?」突然声のトーンが変わった瑠朱に、嫌な予感がする。だが、ラン子の疑問への答えは、瑠朱ではなく、
「放せ! やはりお前もケドドム卿の手先だな!」
「落ち着け! 暴れるな!」
という怒鳴り声が教えてくれた。瑠朱はラン子を置いて駆けだした。今日も今日とていろいろあったのにまだ走るか。出遅れたラン子が鶴井内科医院に到着した時には、もうすべてが終わっていたところだった。
医院の目の前で鶴井夫婦と瑠朱が何やら話し込んでいる。昨日拾った二人はいなかった。
「どうしたの、るっぴー」
「二人が逃げたって。追いかけるよ」
「マジで?」
「ごめんね、ルージュちゃん。おばさんがちゃんと見てるっていったのに」
「いえ、変なことに巻き込んですみませんでした。すぐに連れ戻して謝らせます」
そういって瑠朱は医院の影からずるりと自転車を引きずり出し、
「借ります」
といって漕ぎ出した。
「なんなのあの体力バカ」
取り残されたラン子はもはや見送るしかなかった。




