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第1話 祖母の秘密

キーボードをたたく指の音が小さな部屋に響き、私は自分の考えを言葉にしようと必死になっていた。


私の名前はエヴリン。26歳の作家志望で、時が経つのを忘れてしまったかのような古風な小さな町に住んでいる。友達からはエヴィって呼ばれてる。


子供の頃からマンガやアニメ、ファンタジーやSF小説の世界が好きで、新しい本を読んでは頭の中で思い描く空想の世界に没頭していた。

空想の世界はいつだって自由で、私は空を駆け巡り、海を渡り、現実と違ってできないことなんて何もなかった。



しかし、最近、私は自分の人生が止まっているように感じていた。



いつ頃からかは忘れてしまったが、私は夢を見なくなった。


現実と向かい合う時間ばかりが増えていき、だんだんと眠る時間だけが唯一の安らぎのようになってきていた。


ある雨の日の午後、仕事に疲れた私はふと思い立ち、掃除を兼ねて祖母の家の屋根裏部屋を探検することにした。


この家は10年前になくなった母方の祖母が住んでいた家で、ここしばらくはあまり人の手が入っていない。

売りに出すような話も何度かあったが、出ては立ち消えて、といったことを何度か繰り返していた。


私は祖母が好きだったので、正直思い出になるこの家を売ることには反対だった。


両親がいない間、空想ばかりしてる私の遊び相手をしてくれていたのはいつも祖母だった。

祖母はただニコニコと笑って私の話を聞いてくれるような人だった。


屋根裏部屋は、古い小物や家具、いったいどこからもってきたのかというような謎のオブジェで埋め尽くされ、とても埃っぽかった。忘れられてしまった空間で、古びた木の香りと同時にカビの気配を感じた。


古い本や写真の山を漁っていると、埃まみれのアルバムの山に隠れていた小さな木箱に手が触れた。


なんとなく気を惹かれ、その箱を開けてみると、繊細なアンティークの鍵が現れた。不思議と光ってるように見えるその鍵は一体何を開けるためのものだろう、としばらく鍵を眺めた後あたりを探していると、これまた埃まみれのタペストリーの裏に隠れるように立てかけられていた古い扉を発見した。


その扉はそこにあるのがなんだか異質な感じがして、近づいてみると鍵の光が強くなっていくのを感じた。


その鍵はその扉のものであるのだろう、と直観的に感じた。


震える手で鍵をロックに差し込み、回す。


カチャリと音を立てた扉を開けてみると、物理法則を無視したような、色とりどりの渦巻きが現れた。


その渦を見ていると、なんだか渦が私を手招きしているように感じた。


一瞬ためらったが、目の前にある幻想的な光景に、すでに子供の頃新しいファンタジー小説に出会った時のように胸が高鳴っていた。


深呼吸をし、渦の中に足を踏み入れる。


この瞬間私の人生は一変することになる。



世界が変わり、私は未知の世界へと旅にでた。


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