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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

パワハラ上位存在【1000文字未満】

作者: 平之和移


「キミ、今日は八時間睡眠をしたの?」


「はい……」


「人間は数日寝てなくても活動できるよね?」


「はい……」


「何で寝たの?」


「もう、限界で……」


目の前の上司は大仰にため息を吐いた。吐息が虹色なのでガスに見える。


この人、この存在が上司に来てからいつもこうだ。人間なんて羽虫以下に扱える上位存在が彼だ。眠る必要も食べる必要も、性を楽しむ感性もない。どうして課長の机に座っているか解らないぐらい偉い。


「これだから人間は。ところで、明後日にお客さんから仕事が来るから準備しといて」


「あの、まだ業務が終わってないです」


「四時に終わるからその時からでいい。できなかったらタイムループさせるからな」


その言葉は身体を凍えさせるのに足りていた。思い出すのは昨日辺りの地獄。辺り、というのは、あまりにも繰り返し過ぎて時の感覚がないのだ。


明らかに一時間では足りない業務量が予定通り渡された。拒否した世界線は全てなかったことにされた。爆破テロまで起こした俺の努力はことごとく無駄になっていた。


同じ業務時間を何百回も繰り返し、最後には催眠され、肉体の限界を超えさせられた。これで八時間眠るなとは大横暴だ。


自分の席に座り、昨日とは別の業務を始める。データを調べようとした。その手はすでに調べるのを終えたようにオフィスソフトを起動した。


己の手指は自動運転を開始した。データ入力を名タイピストも驚く速度で行っている。


「あの、課長」耐えきれず課長へ言う。


「いいから手だけ動かせ。お前ならこっちのほうが早い。おい、他の奴もこっちを見ろ。どうせ手は勝手に動いているんだ」


同僚先輩後輩、誰もが同じように課長を見た。


「再来年に大手顧客の某社が潰れる。その時の対処を説明するから、まずは去年に教えた百年先の弊社の状況を思い出してくれ」


「課長、メモを取りたいのですが」


「これから言う人間語はお前達の記憶に埋め込まれる。記憶喪失でも忘れることはできないから安心しろ」


課長との仕事はいつもこうだ。その上位存在の力で全て解決すればいいのに。でも、部長が創造神だからできないだろうな……。


昔の人も、預言者がこんな仕事につくなんて思わなかったろうな。

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