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79第一王子レオンは勇者で……アホだ。

第一王子レオンは気を取り直すと何故かリーゼを見つめた。


そういえば、リーゼの初恋の人は第一王子、つまりレオンな訳か。


散々心を弄ばれて冷たくふられたとか言っていたな。


「何故だ? 何故追放された筈の君がここにいるの?」


「殿下、リーゼはご主人様、アル様の奴隷。アル様の所有物です。当然ご主人様と一緒にいます」


理由はわからないけど、何故かリーゼを睨むレオン。


「君、奴隷にしたら少しは性根が直るかと思えば相変わらずだね。僕の告白を無下にしなければ追放された上、奴隷にまで貶められることもなかったのにね」


レオンがふにゃりと歪んだ笑顔を向ける。


やだ、アリーとそっくりでち。


いや、それよりリーゼ追放の上の奴隷行きはレオンの仕業か?


しかし、それは変だ。


レオンはリーゼの婚約者じゃないし、むしろフラれたのはリーゼの方だ。


「殿下……。婚約者がいる私にコナをかけて来たので散々貢がせて、こっぴどくふって、学園中に婚約者のいる女の子に手を出したって言いふらしただけでこんな酷いことをしたのです」


いや、リーゼ。相手は王子だぞ。


いくら最低な男だとしても、もう少し配慮しろよ。


半分自業自得だぞ。


「ふん。ちょっと綺麗になったからと言って、ずいぶんと調子に乗ってるね。昔、僕にふられたくせに」


「なら、おあいこなのです。卑怯なマネするとか男らしく無いのです。それに見た目だけで好きになるとか内面が不細工です。内面だけがイケメンのご主人様とえらい違いなのです」


リーゼ?


それ、俺のこと褒めてるつもり?


凄く傷つくんだけど?


それに王子の傷に塩を塗るの止めとけ。


あんなに酷い目に遭って、懲りないの?


「ふん。ちょっと可愛いからと言って生意気な! 僕も考えたさ。結婚前にちょっと遊んでおこうと思ったけど、それはまずい。なら……そもそも僕の婚約者をとびっきりの美少女にすればいいんだよね。僕、自分の頭脳の明晰さに驚くよ」


は?


なんか、この王子、脳に蛆でも湧いているのかな?


王子はなんか心許ない様子で後ろにいた一人の少女の手を引いて前に出すと。


「僕はここに宣言する。僕に容姿が相応しくない元婚約者との婚約を破棄してこの平民の少女アンを新しい婚約者として―――」


「あの、ちょっとよろしいですか? 殿下?」


「なんなの! 今いい処なんだよ!」


悦に入って語っているところ、突然その渦中の人物が口を挟んだ。不快なのか眉間にしわを寄せてアンという少女を睨む。自分の話を遮られ、いらいらしたようだ。


「婚約ですか? 婚約なら昨日お断りしましたが、ご存知ありませんでしたか?」


少女の言葉でその場が凍り付いた。


カッコ悪。皆の前で新しい婚約者を紹介したら、大勢の前で婚約を拒否されたことを言われるなんて、間抜け過ぎた話だ。


「昨日王家の使者である第二王子ルイス殿下様にそれをお伝えしたところ、たいそう感謝して頂けましたよ。無学な私でも、平民の私が王家の方……ましてや未来の王であるレオン殿下に嫁ぐなど、身分不相応。レオン様の気の迷いだと思いました。知らなかったのでしょうか?」


わ〜。この子、見た目は可愛いけど、無茶苦茶切れる頭良い系の子だ。


女神様。


不公平でち。


俺にもイケメンの顔面を!


でも、この子は大丈夫なのかな? レオンを敵に回すことにならないかな?


「なっ! なんだと! 僕が婚約すると言っているのだぞ。なぜお前ごときが口をはさむ!」


やっぱりこんなことが分かってないんだな。俺にはわかった。第二王子ルイスもこの子の味方だ。レオンの思考が単純過ぎるのだが。


「お言葉ですが、国王陛下は国のため、各貴族様との間に太いパイプを作るために有力な貴族様の親戚になるために、現在も新しいご令嬢を探されているのですよ。それを勝手に私ごときが?」


この子の言うことはもっともだ。普通に考えてレオンの思考はおかしい。


「き、貴様ぁ! 平民の分際で、わ、僕が間違いを犯したと言うのか? 不敬であろう!」


いや、不敬になりそうなのはレオンの方だ。そうか、ルイス王子は既にあの方の……


「王の前で不敬である!」


突然間に入って来た大きな声。わざわざこの会場に足を踏み入れたのは、この国の国王、ハインリヒ・ユングリングその人だった。


レオンは国王の参加を知らなかったのかって?


―――知らないはずがないんだが。


「レオンよ。愚かにも程がある。王である私に黙って婚約者を決めるなど、不敬としか言えぬ。その上、そもそもグナイゼナウ家の令嬢へ婚約破棄? 貴様、何様ぞ。グナイゼナウ家は王家の始まりから従う忠臣の家系ぞ。かの家に私がどれだけ陳謝して来たか、わかっておるのか? 貴様はしばらく謹慎ぞ!」


「ち、父上!? それでは一体誰が災害級の魔物を倒すのですか? それに今この国の執政は実質的に私が取り仕切っております、政をいかがされる気か?」


王はふうとため息をつくと。


「つい先日災害級どころか聖書にある終末の化け物を討伐した英雄アル君がおる。ならば、お前が謹慎したとして、大勢に影響はあるまい。それに施政についてはお前よりルイスの方が向いておろう」


「そ、そんな……!」


レオンは力なく崩れ落ち、床に膝を突いた。


こっぴどく怒られたレオンは観念したのか、すごすごとこの会場を立ち去って行った。


いい気味でち。

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支援職、最強になる~パーティを追放された俺、微妙なハズレスキルと異世界図書館を組み合わせたらえらいことになった。は? 今更戻って来い? 何言ってんだこいつ?~
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[一言] でちでちと気持ち悪すぎでしょ・・・
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