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62ハリセンは役に立つな

その日の夜、俺はこっそりと皆を宿の裏に呼び出した。


無論、みなにかかった魅了の魔法を解くためだ。


おそらく、クリス以外、大なり小なり影響を受けている。


魅了の魔法は意外と効果時間は長い。


ただし、深度は時間と共に簡単に緩くなる。


命の危険や過度に嫌悪感があるようなことは魅了の魔法でも長くは続かない。


深度の深い魅了系の魔法は頻繁に掛け直す必要がある。


だけど単に猫耳族に好意を持つとかだけだとかなり長い間持つ筈だ。


おそらく、アイラやリリーにかかった魔法は弱いものだろう。


もともと同族で族長への好意を持ちやすい。


だが、アリーやリーゼにかかった魔法は違うと思う。


一生猫耳族のために働くとか、普通だと考えにくい。


「どうしたの、アル君?」


「ご主人様、夜に女の子を呼び出すなんて良くないのです」


いや、確かに夜中に女の子を呼び出すのはちょっと勇気いったけど……


簡単に来ちゃうのね、君たち。もうちょっと危機感持った方がいいよ。


でも、変なことしようとか、クリスに酷い目に合わされるから無理。


「二人共変な期待しちゃだめよ。いくらフツメンでもアルは私のモノだからね」


クリスが姿を現す。


実はクリスも呼んでる。勘違いされたら後が怖いもん。


バシン! バシン!


俺は呼び出した二人をハリセンでいきなりしばいた。


ハリセンには強いディスペルの付与魔法をかけてある。


俺、ディスペルの付与魔法しか持ってないの。


「ア、アル君、なんで突然そんな変なものでぶつの?」


「そうです。ご主人様、リーゼも同意なのです」


「魅了の魔法よ」


「「え?」」


二人は驚いたような顔をする。


自覚がないようだ。


「あなた達二人共この猫耳族の里のために一生働くと言ってたわよね?」


クリスが二人に説明を始める。


「え? いくらなんでも一生とか……」


「そうなのです。一生なんて……言ってな……でも……言ってたのです」


「そうよ。あなた達、魅了の魔法で一生猫耳族のために働くことになりそうだったの」


驚く二人。


だが、魅了の魔法は記憶を失ったりしないから今は理解できる筈。


「二人共、これを身につけて」


俺は二人に耳飾りとブローチの可愛い感じのアクセサリーを渡した。


魔道具だ。


もちろん耐魅了系の。


俺自身も既に身につけている。


「アル君の気持ち、しっかり受け止めたよ。そんなに私のことが大好きなのね」


「ご主人様、フツメンのクセにこんな気の効いたことを……リーゼ恥ずかしいのです」


アリー、勘違いするな。


リーゼ、喜ぶかくさすかどっちかだけにしとけ。


「普通のプレゼントかじゃなくて、魔道具! 耐魅了系のヤツ!」


「ええ!? そんな、こんなに喜ばせておいて、アル君酷いよ!」


「そうです。ご主人様、人の心を弄んで酷すぎるのです。フツメンの自覚がないのです」


アリー、そんなに期待するな。


そんな空気どこにあった?


それとリーゼ、俺のこと好きなクセにフツメン、フツメンとクサすの止めろ、このクソ奴隷が!!


そんなことを言っていると更に二人来た。


アイラとリリーだ。


やっぱりこんな時間なのに簡単に来ちゃうのね。


「お姉ちゃん。アル様はなんで私達二人を呼んだのだろ?」


「決まっているだろ。私もパンツを見られた身、もう身も心もアル殿のモノだ。きっとアル殿は私とアイラの二人で姉妹ドンブリを楽しみたいんだ」


いや、ちょっと待て!!


リリー、お前、あんなに俺に虐められたクセに俺のこと好きになってるとかおかしいだろ?


それにアイラちゃんと二人でっておかし過ぎるだろ。


は!?


これはもしかして?


俺は思いあたった。


俺も夜中に女の子を呼び出すことに抵抗を感じられると思って、姉妹二人共一緒に来てとメッセージを送ったけど、二人が俺にエッチなことされると思って来たとは思えない。


魅了の魔法だろう。


何より二人が俺のこと好きになってるとかがおかし過ぎるだろう。


俺はフツメンなんだぞ。


それ位のことはわかる。


おそらく、これは族長の魔法だ。


二人が俺のそばまで来ると俺とクリス達を交互に見て。


「アル殿は乱交が好きなのだな」


「大丈夫です。アイラは覚悟ができてます」


スパーン、スパーン。


俺は二人の魅了の魔法を解いた。


「どう? 正気に戻った?」


「そうよ、二人で迫るとかアル君も困るわよ」


「そうなのです。ご主人様も男の子なので、そういう時は私がいますので」


リーゼどうしよ。今更返品出来そうにないし。


俺、困ったでち。


「正気って何のことです?」


「はい。ちょっと意味がわかりませんが?」


うん?


どうも魅了の魔法が解けても自覚がないようだ。


「二人共、俺に姉妹ドンブリされるとかあり得んだろ? さっきまで考えてたこと思い出せ」


「え? いや、私、お姉ちゃんとならいいですよ」


「私もアル殿が喜ぶのなら、もちろん。アイラなら気兼ねもいらないし」


マジか? こいつら?


魅了のせいでもないのに、何考えてるの?


俺の驚きをよそに、突然。


「……!!……!!」


「!!!!!!!!」


声になっていない叫び声が聞こえた。


「今、悲鳴みたいじゃなかった?」


「この声……サリに似てる」


声の主は女の子の声だった。


「みんな、行くぞ」


俺はみんなに声をかけた。


……多分……人攫いの現場だ。

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支援職、最強になる~パーティを追放された俺、微妙なハズレスキルと異世界図書館を組み合わせたらえらいことになった。は? 今更戻って来い? 何言ってんだこいつ?~
― 新着の感想 ―
[一言] 出た!ハリセン! ホントに出るとは(笑)
[一言] 魅了解除には、やはりハリセンが一番♪ 響け快音! スパーン!スパーン!
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