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58猫耳少女の姉に喧嘩を売られる

「私はアイラといいます」


「俺はアル、冒険者で師匠のアルベルティーナから猫耳族を救ってくれって言われてね」


「えっと、アルベルティーナ? 聞いたことがない人です。確かに猫耳族は困ってはいますが」


俺は猫耳族の少女に名前と目的を告げたが、師匠のことをこの子は知らなかった。


師匠、なんか間違えてない?


めちゃくちゃいい加減な人だからな。


だけど、猫耳族が困ってると言っていたから、多分間違いじゃないと信じたい。


そしてクリス達とも挨拶すると。


「わかりました。どうも私の勘違いでした。てっきり悪い人族だと思ったのですが、アル様は違います。私にはわかります」



なんで俺が違うってわかるの?


助けたことが自作自演だったとか疑わないかな? 普通?


だって、さっきまでめちゃくちゃ疑ってたのに?


それにしても、何故猫耳族はこんなに人間を嫌うのだろうか?


きっと原因があるんじゃないかな。


俺は聞いてみた。


「ねえ、どうしてそんなに人族を嫌うの? 確かに悪いヤツもいるけど、みんなそうじゃない筈だよ」


「それはわかっています。人族にも良い人はいると思います。でも、猫耳族の里に近づく人族はたいてい悪人です」


「えっと、どういうこと?」


俺は不思議だった。


人族に善人もいることがわかっているのに里に近づく人間は問答無用で悪人だなんて。


「1年ほど前から人族が時々里に来るようになりました。でも、その頃から猫耳族の女の子がさらわれるようになって、どうも人族に奴隷として売られてしまっているのです」


なるほどそういうことか。


猫耳族の女の子を奴隷として非合法に売っているということか。


普通非合法の奴隷はかなりリスクが高い犯罪だ。


ばれたら死罪だったような気がする。


それにもかかわらずということは猫耳族の女の子の奴隷はかなり高額で取引されてるということだな。


そうじゃないとリスクとリターンが釣り合わない。


まあ、あのモフモフの耳と尻尾を自分のものにしたい気持ちはわかる。


だけど非合法な手段で奴隷として手に入れるとかは酷いな。


そしてアイラは猫耳族が何故そんなに困っているのか説明してくれた。


「それにしても不思議なことが多いのです。猫耳族は人族との接触を最小限に抑えて厳戒態勢をとっているのに、それでも忽然と猫耳族の女の子がさらわれてしまうのです」


「なるほど、わかったよ。何故師匠が俺達を向かわせたのかが」


「その師匠、アルベルティーナさんのことはわからないのですが、アル様が私達を助けてくれるのですね?」


「ああ、任せてくれ。俺は師匠に恩義を返す必要があるし、人をさらって奴隷にするとか許せない」


と、その時俺の探知の魔法に感があった。


ついさっきまで気が付かなかったことを考えるとステルスのスキル持ちだな。


「あくどい人族め! アイラを返せ! アイラを奴隷になんてさせないぞ!」


「ちょ!? お姉ちゃん! ち、違うの!」


「アイラ、お前騙されてるんだ! きっと人族はそうやってだましてさらってるんだ!」


いや、一理あるな。


身に覚えはないが、さっきみたいに助けておいて安心させてさらうとかは十分に考えられる。


しかし、困ったことになった。


いきなり矢が俺に向かって多数飛んで来た。仕方ないからぱぱっと振り払う。


「おい! いきなりこんなにいっぱい矢を撃ってくるとか非常識だろう?」


「な! な、ななななっ、なんなのそれぇ! はぁ!? なんで!? なんでどうすればそんな事できるのぉ!? ひ、非常識なのお前のほうだろ? な、なんで矢を手でそんななんか蚊とか振り払うみたいに落とせるの? お前頭おかしいのか!!」


いや、頭おかしいとか酷くないか?


「こうなったら、私の精霊の力でお前を倒す! 猫耳族は私が必ず守る!」


びゅーという音と共に風の刃が俺を襲う。


良かった。狙ったのは俺だけでクリスやアリー達には手を出さない。


みんなに向かってやっていたら、ちょっと懲らしめが必要だと思った。


勘違いでもやっていいことと悪いことがある。


俺は身体硬化の魔法を唱えて風の刃を素受けした。


ガリガリガリクソン


刃が俺の表面を削る音が聞こえるが大丈夫だ。


髭が少しそれたみたいだな。明日の俺を見てくれ。


「な、なんなのぉ~、こいつおかしすぎるよ~普通ひき肉だぞ。もう、こっちが頭おかしくなりそう!! やだ! もう、お願いだからおとなしく死んでよ~」


いや、いきなり人をひき肉にしようとか、お前の方が頭おかしいだろ?


「お姉ちゃん! だから違うんだって!」


「あなたは騙されてるのよ! こんなフツメン絶対誘拐犯よ!」


顔で判断するとか酷すぎる、ぐすん。


もうこれは懲らしめが必要だな。


ちょっと本気だして怖い思いをしてもらおう。


こいつ、精霊魔法とか言っていたな。


確か森の精霊とかの力を借りるヤツだ。


本人の魔法じゃない。


俺はスキル『見え~る化』を発動した。


なるほど、俺の目に例の猫耳族の女の子の横にイケメンの精霊がいるのが見えた。


ふふっ。


イケメンか。


遠慮なくなぶれるな。


イケメンに人権はない(偏見)


俺は風の精霊を見つめた。


人に見えない筈の精霊は俺と目線が会うと驚いたような顔をした。


俺は更にニヤリと笑ってやった。


いわゆる『ガンのくれあい とばしあい』だ。


風の精霊はみるみるうちに顔色が悪くなり冷や汗をダラダラと流し始めた。


俺はとどめに収納魔法からハリセンを取り出した。


なんかダンジョンで見つけた謎のアイテムだ。


鑑定に『ハリセン』とだけ見える謎アイテムだ。


ただ、形状から人をしばくにはちょうどいい武器だということはわかる。


殺傷能力は全くないだろう。


だが。


俺は瞬歩で近づくと!


パシーン!


風の精霊を一発しばいた。


魔力を込めたハリセンでしばかれた精霊は一目散に逃げた。


だが。


「あんた、何やってんの? 意味わからん」


精霊をしばいた後、元の位置に戻ったが、どうもこの猫耳少女は風の精霊が逃げたことに気が付かないようだ。


そうか、この子も精霊が見える訳じゃないんだ。


俺、てっきりイケメンだから風の精霊に入れ込んでいるのかと思って精霊に酷いことしちゃったな。


「さあ、風の精霊よ! この男を切り刻め! さあ、あなたの力を見せる時……あれ? 風の精霊さん?」


今度は猫耳族の女の子が尋常ではない量の冷や汗を流し始めた。

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支援職、最強になる~パーティを追放された俺、微妙なハズレスキルと異世界図書館を組み合わせたらえらいことになった。は? 今更戻って来い? 何言ってんだこいつ?~
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