君に会いたかった
どうも、秋桜です。
文字数、文字数……と暑い中で張り切らせていただきました。
ちょっとした暑い夏にはいいかな、と思います。
生きていれば、必ずと言っていいほど間違いを犯す。
問われた問題用紙の出題内容に沿って答える……そう簡単なものではなく、人生における最大の欠点。
誰にだってあり得る可能性で、絶対にないとは言いにくいもの。
忘れられない思い出の中にもたくさんある。
♢
例えば、仲が良かった幼馴染みの女の子。
幼い頃から積極的に動く活発的な子だと想定しよう。
何事にも危なっかしい、誰かが見ていなければブレーキのない暴走車になってしまうだろう。
そんな女の子とは対照的に僕は消極的で自ら進んでなどしない、内気な少年。
当然、二人は平行線。決して合うはずもなく女の子が強引に手を引くことが何度もあった。
お互いに泣いて、笑って、嬉しくて……いつしか二人は同じ道を歩いていたかもしれない。
それから僕たちは十年後、約束を交わした。
『結婚』などと交わした誓いなんて、結局は別々に違う相手を好きになり離れていく。
だから半信半疑である今も忘れることのない話だ。
だが、そんな十年後のある日…………電話が鳴った。
電話の相手は女の子の母親。酷く泣いていてまともに言葉さえも聞き取れなかったが、『病院』という言葉を聞いて一目散に駆けつけた。
病院へ向かう途中、車のクラクションが大きく聞こえたが所構わず走り抜けた。
病院に辿り着くと酷く泣いている女の子の母親と何も喋らず俯いている女の子が椅子に座っていた。
声を掛けても、何も呟くこともない。
怪我とかしたのかと思ったが、特に外傷はなさそう。
呆れて言葉も出ないけど心配して損した。
さて、帰ろうかな……ん? なんで親父が?
病院に駆けつけるように息を荒くして説明を聞いている親父を見るのは久しぶりだな。
なんだか新鮮さだな、十年振りかこういう光景も。
……今度こそ、帰るか。皆して無視しやがって。
後で覚えとけよな、はははっ。
ーーーーなんで、そんな泣いてんだよ。
僕はここにいるだろ? そんなに怒らせた?
ねぇ、みんなどこ行くのさ……ねぇ!
『御子息様は……残念ながら……』
『そうですか……』
眠るように横たわるのは……僕だった。
聞く話によると、トラックに轢かれたことによる事故死。
ーーーーそっか、だから皆……泣いてたんだ。
手元から足先を見ると光の粒になって消えている。
しょうがないかな。諦めがつくどころか、何も未練なんて…………、
『ずっと、好きだったのに……! バカッ……!』
ーーーーそうだな、一つあったな……
僕も、ずっと好きだったよ…………
『君に会いたい……!』
「君に会いたかった……」
これが、僕の人生最大の間違い。
ちゃんと伝えておけばよかったなぁ、なんて……
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