昔ばなしで見る婚約破棄
むかーーーーし読んだ絵本の文章をなんとか思い出しながら、ルビ振りはこんな感じだったかな~? とやってみました。
どっかで見た流れかも知れませんが、思い付いたまま書き上げましたので、似てる似てない等の指摘は分からないです。
そこはご了承下さいませ。
※オチを少し書き足してみました。
むかしむかし とある国に それはそれは美しい 王子さまと 偉いきぞくの娘がいました。
しょうらいをちかい合ったふたりは とてもなかがよくて、国中から おいわいされていました。
そんな なかよしのふたりですが、しょうらい王さまや おひめさまや りっぱなきぞく になるための学舎で、ある おんなのこと出会ってしまいました。
そのおんなのこ とは、とおい明日を見られると言う おんなのこでした。
おんなのこ のちからで しあわせになったきぞくの こどもとして 学舎へやってきました。
「やっと あえましたわ 王子さま!」
「さすがは王子さまです!」
「すてきですわ 王子さま!」
「わたし 王子さまに ほれちゃいそう うふ」
おんなのこが王子に たくさんはなしかけてきました。
「そうか」
「ほめるでない」
「僕には けっこんするあいてが いる」
さいしょは王子さまも おともにたすけてもらいながら おんなのこから はなれていましたが、いつの間にか たくさんしゃべるように なってしまいました。
ある日 学舎でじけんがおきました。
「わたしの ものが ないわ」
王子とたくさんしゃべる おんなのこの ものがなくなってしまいました。
おんなのこが 王子を チラチラみながら かなしんでいます。
「どろぼうを さがせ!」
しょうらいの王が、おともにめいれいをしました。
めいれいでうごく おともたちを見ながら、おんなのこが せなかになくなったものを そっとかくしました。
また ある日。
いたい いたいと、うでに おおきなハリがささったまま ないているおんなのこが いました。
「どうしたんだ?」
「偉い きぞくの娘に さされました」
「なんだって?」
「ほかに見ていた ひとがいます」
さらにある日。
「王子さま ふくが きられてしまいました」
「きったひとは まさか」
「はい 偉いきぞくの娘です」
「なんということだ」
なかがいいはずの 偉いきぞくの娘に ほんとうか たしかめることなく わるいのは娘だと、王子は きめつけてしまいました。
いつしか 王子と 偉いきぞくの娘とのなかは とてもわるくなっていました。
王子の おともたちは きのせいだと、偉いきぞくの娘は わるくないと なんどもいいましたが、王子からみれば ぜったいに娘が わるいのです。
そんな偉いきぞくの娘と なかよくなんて したくありません。
「うふ 王子さまとのデート たのしいです」
「そうか それはよかった」
「王子さま だいすき」
はんたいに 王子と おんなのこは なかよくなって いっしょに あそびあるくことが ふえました。
そんなときです。
「偉いきぞくの娘のめいれいだ」
どう見ても わるいおとこが 王子に 剣でいきなり なぐりかかって きたのです。
「なに! あの娘は そこまできらいなのか!」
わるいおとこのことばに ショックをうけながらも、王子が剣でおいはらいました。
「つよい ステキ 王子さま、だいて!」
まっすぐ見てくるおんなのこに 王子はもう メロメロです。
そのまま王子たちはおしろにかえり、おなじベッドで なかよくねむりました。
ついに王子と 偉いきぞくの娘との、けっこんしきの日。
けっこんしきにあらわれたのは 王子と ウェディングドレスすがたの おんなのこ。
これにおどろいたのは しきにでていた 王子のおとうさんである 王さま。
「なぜ 偉いきぞくの娘が いないのだ」
王さまが ききました。
王子が こたえます。
「あいつは ついほうしました」
「なんと!?」
そう、王子は おむかえの馬車に娘をのせて、そのまま くにのそとへほうりだしたのです。
「おんなのこに ひどいことをした ばつだ」
「そうか」
キメがおで そう言った王子をみた王は、いすにすわりました。
そうして、めでたくけっこんした 王子とおんなのこは さいごの王と おひめさまとなり しあわせなひを おくりましたとさ。
~~~~~~
「ねえ、おばあちゃん?」
「なんだい?」
場所は、とある辺境の粗末な家。
暗い外はひどく吹雪いており、吹き込んでくる寒風から身を守るために家の者は全員、暖かい暖炉のそばで固まって寒さをしのいでいた。
大きなすきまは土魔法や植物魔法でふさいではいるものの、木窓なんかの工作精度による問題で、どうしても吹き込んでくるのだ。
そこで暇となった小さい子供達が、面白い話は無いかと祖母にせびったのが、さっきの話である。
子供達の両親も側にいるが、この話を両親は何度も聞いているので、今更割り込むネタなど無く、子供達を見守るだけ。
「その、追放された偉い貴族の娘って、どうなったの?」
話の最初の方、ちょっとだけ。 しかも全てにおいてセリフも無く、存在だけしか語られない令嬢が、気になるのも無理はない。
ふたり居る孫で、男の子の方が無邪気に訊ねる。
質問された祖母は、まるで高位貴族みたいに上品な所作で、口を手によって隠して小さく笑う。
「王子様に捨てられて、ひとりで……見知らぬ場所で生きていく力も無くて、生き方も知らなくて。
死ぬしかないと絶望していた所を、どっかの誰かにぐうぜん助けられて、幸せになってるかもしれないねぇ」
口が隠れていても、目は隠せない。
その露出している目は、遠くを見つめているがとても柔らかく、幸せ具合が見てとれる様子に細められていた。
「へえ! 王子様と女の子みたく、幸せになれたんだ!」
孫のもうひとり。 女の子もまた、無邪気極まりない感じに、暢気な感想をもらす。
おばあちゃんはその暢気さを受け、今度はすきま風より寒く感じる鋭い目をして、底冷えのする声が響く。
「この話はね、隣の国の話なのよ?」
「あぅ……えと、となり? あの大きい国?」
態度が急変したおばあちゃんに、心底ビビりながらもしっかり返事が出来た女の子。
将来は大物になれるかもしれない。
「違うわ。 今はこの国の地名になっている、海にビヨンと突き出た所にあった国の、昔話なのよ?」
「もう無いの?」
「ええ。 さっきの話、王子が“さいごの王”って言ったでしょ?」
「そう言えば!!」
ちょっと騙され易そうなまっすぐ思考に心配を覚えながら、おばあちゃんが続ける。
「死(と隣り)合わせな(災いを招く)火(種)を(見)送ったのよ。 大変だったでしょうねぇ」
揺れる安楽椅子に座ったおばあちゃんの目は未だ凍てついており、目だけで人を簡単に屠れそうだった。
「あんな単純で騙されやすい、お軽い御輿なんだもの。 悪臣の良い隠れ簑だったでしょうねぇ。
家臣に好き放題されて、最後は「まともに治められない、愚王もろともに国を討つべし」と革命の後、混乱に乗じて侵略なんてされちゃって」
このつぶやく祖母を見た……見てしまった孫娘の脳には「ざまぁみろ」 そんな言葉しか、祖母から伝わって来なかったと言う。
おばあちゃんの恨み骨髄(ブルブル)
王子とおんなのこのやり取り、重要な部分をどうやって知り得たのか?
…………ん~、隣国程度の距離なら美談(笑)として、伝わってくるかな?
あ、おばあちゃん自身は、隣国の滅亡に直接関わってませんからね?
それと、おばあちゃんの連れ添いについて、記述が無いのはわざとです。
生きておばあちゃんの側に配置しても良いし、天寿を全うした事にしても良い。
その連れ添いの人物背景だって自由だ。 順当に農民や狩人としても構わないし、職人や商人、なんなら追放に気付き追いかけてきた家の私兵だったとしても構わない。
彼はあなたの妄想次第で如何様にも変わる。
それだけの自由を、あなたは保証されているのだから。
絵本風にすると、大量にルビをふらにゃならんから、かなり大変。
その上で国語の問題「○○の気持ちを答えよ」じゃないけど、それに近い事して情操教育へ繋げる為に、気持ちを直接書かない様にしないと~とか。
考え出すとキリが無くなりますね。
あ、“おんなのこ”の正体はキーワード(タグ)から察せると思います。
kemoさんの作品で絵本風な文章を読みましたが、これを長々書くのはマジでキツい。 尊敬っすわ。