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死神の鎌  作者: 凪薙壱
6/13

死神の鎌 緑

命に四季があるとすれば、冬は死を表すのか?



死とは刈り取りの季節…


死神の鎌が刈り取る命は四季に何の関わりも無い


ただ、刈るだけ、ただ刈り取るだけ


人間という果実はただ…刈り取られるだけ…




暑いローブを纏い…死神は歩いた…木々が緑に満ち、


道の途中、途中にある木陰は、安らぎの時だった。


死神は、この暑い季節は、独りでは歩かないようにしていたが…


泉華が登校日と言う事で、学校に行ったから、迎えに行こうと学校へ向かおうとしたが…


結局、学校の場所を知らず、いつも通りの散策になった。


暑い…死神は夏の日差しに参って、近くの木陰で休むことにした。


すると、泉華が来ている服と同じ服を着た娘たちが、死神の前を通り過ぎた…


もしかしたら、泉華もこの辺にいるかもしれない


そう考えた死神は、制服を来た娘たちが来る方へ歩き出した。


死神は、しばらく歩いて、坂道に着いたところで、坂の上から娘たちが下りて来ていることがわかった。


坂を登っていくと、死神は泉華の姿を見つけ…自然と死神の足が速くなり…


泉華が気づくと思った…次の瞬間…


泉華の体が地面に倒れた…いや…倒された…


死神は、慌てて駆け寄ろうとしたが…それよりも早く…泉華と同じ服を着た娘

が、泉華の後ろにいた娘が泉華に近づく…


友人だろうか?死神は、そう考えたが…違った…駆け寄った娘は…泉華の足を

踏んだのだ…


「あら、ごめんなさい、あまりにも小さくて見えなかったわ」


そう泉華にその娘は言った…よく考えれば、泉華を転ばせたのもこの娘だろう…


だが、死神の足は動かなかった…なぜだ?と言う考えが、死神の足を動けなくしていた。


泉華は…足を踏まれているはずなのに…顔色一つ変えない…


「気持ち悪いわ…ね!!」

さらに強く娘は泉華の足を踏むが…泉華は冷たくその娘を睨みつけ…


その足を退かせ、立ち上がる…


「なによ…その眼…気に食わないわね!!」


娘が泉華の肩を突き飛ばし、泉華がまた地面に倒れる…


「ちょっと、あんた最近、生意気なのよね!!」


泉華の体に体重を込め踏みつける…泉華が暴れれば暴れるほど、その足に力をこめる…まるで…何かを待つように…

奥の方から誰かが走ってきていることに死神は気づいた。


「持ってきたわよ〜」


そして…娘が待っていたものは来た…手にはバケツとゴミ箱が…


嫌な予感がした死神は…泉華のもとへ走った…


泉華を助けるために…だけど…死神の姿に気づいた娘の表情は…


絶望だった…今まで見たことのない泉華の表情に…死神の足は…速度を失い…


泉華の体に……バケツの水が降り注がれた…


「なに〜いきなり、変な顔して…やっぱり、バケツの水は嫌だった?」


泉華の絶望した表情を…嘲笑うように…娘たちは…泉華から距離をとる


「汚い、汚い〜みんな、行こう〜汚い泉に近づけば穢れるわ〜」


そう娘たちは言うと…泉華一人残して…坂道を下っていく…死神とすれ違っても…気づくことなく…娘たちは…坂を下りて行こうとして…


バケツを持っていた娘が足を止めた。


「あっ…忘れていたわ、このバケツあんたが片付けなさい!!」


泉華にバケツを投げつけた…


死神は…娘たちが…去った後に…娘に近寄る…


「なんで…来たの…」


近づいてきた死神に…泉華は…泣きそうな顔で死神を睨みつけた…


死神は…泉華に近づく


「止めて…汚れる…」


近づく死神に…娘は拒絶の意を示すが、死神は泉華に近づくと…


抱きしめた…


「止めてよ…止めてよ…」

力なく…泉華は拒むが…死神は泉華を抱き上げた…そして…走り出す…


「ちょっと…あっ…放して…嫌…怖い…放さないで!!」


泉華が死神のローブを掴む…


そして、さっきの娘の頭上を飛ぶ…


「えっ…なんで…あんたが此処にいるの!?」


死神はゆっくり泉華を地面に置いた…


「ちょっと…なにをするの!?」


泉華が周囲を気にせず、死神に話しかけるが…


死神は…手にバケツを持ち…娘たちに近づく…


「えっ…なに…バケツが浮いて…」


死神の姿が見えない娘たちにはそう見えるだろうが…


死神には関係ない…


死神は容赦なくそのバケツを泉華を踏んだ娘の頭に被せると…


その足を容赦なく蹴り飛ばし地面に転がした…


「えっ…きゃぁ!!」

地面を転がる娘を死神は見るとほかの娘の手を掴み、別の娘を殴らせた


「なにすんの!?」「違う!!手が勝手に…」


混乱しだす娘たち…愚かだと死神は思った


もっと…恐れろ…と思ったが…誰かが足を掴んでいることに気づいた…


泉華が死神の足を掴んで…


「止めて…止めて…」


泣きながら…死神の足を掴んでいた…


なんで…止めるのか…死神には理解できなかった…


死神は…娘を抱き上げると…混乱している娘には目もくれず…


家へ走り出した…

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