死神の鎌 互
死神の鎌は互い見る
己を見る、先を見る
未知を見て互いを知る
互いを思い振る
今までの生を
これからの死を
過去の生を、未来の死を
何を見る?何を互いに…
娘、泉華と鎌を探し始めたのが、春雨にぬれた日の数日後から、初めての夏が来た。
「死神さん、日本の夏はどうですか?」
泉華が死神に語りかけてきた。
死神は暑いと一言、呟き羽織っているローブをパタパタと少しでも涼しくしようと羽ばたかせた
「暑そうね…脱いだら?」
だが、死神は、泉華のその提案を拒否した。
「えっ?なんで?この前、暑くて街中で倒れたのに…」
死神の言葉に不思議がる娘に死神はその訳を答えた。
「死神たるもの…このローブは脱がない?」
娘は呆れるように、死神を見ると…
「今日学校が終わったら、良いものを買ってくる」
娘はそう言った。
学校…死神はこの言葉を、知らなかったが、娘から習った。
娘と同じ年頃の子供が教育を受ける施設と認識している。
死神の中では、このような情報は無かったから、死神は素直に感心した。
一度、その施設を見てみたいと思ったが、泉華が来るなと言うから、まだ一度も見ていない
泉華が学校に行っている間、死神は独りで街を探した…
これが日課だった。
泉華と一緒に探すのは、夜と学校が休みの日だけだ。
だが、死神は、こんな日常が続けば良いと思うようになった。
夕方になり、娘が死神のもとに風通しの良さそうな布を持って帰ってきた。
「そのローブは、明らかに冬用…見ている私が暑苦しいから…これあげる」
死神は初めてこんな贈り物を貰った。
「なっ…なに!!そんな生暖かい目で…私を見て…死神さんがまた倒れたら私がまた変な眼で見られながら、死神さんを運ぶんだから!!」
泉華が顔を赤くさせ、私から目をそらした…
死神は、そんな娘を…明るい気持ちで…笑ってしまった…
いつか…殺す相手なのに…
「さあ、行きましょう!!今日こそ、鎌をみつけよ!」
娘は自分が死ぬということを知って、娘はなぜ…鎌を探す手伝いをするのか?
そんな事を考えたが…娘から貰ったローブは風通しが良く、気分が良かった。
だが…
「死神さん!!」
娘が急にローブに手をかけた!?
「今すぐ、ローブを脱いで!!早く!!」
娘が小声で慌てながら、死神に周囲を見るように指示した…
そして、死神は気がついた。
ローブだけが空を浮いているようにみえることに気がついた為…
昼間の見回りは極力避ける事になった。