死神の鎌 視
死神の鎌は、何を見る?
死神の鎌は、何を見た?
それは死?
それは生?
最後の瞬間を見る死神
最後の瞬間を与える鎌
生を見 死を与える
この死神と鎌は…なぜ…死を与える?
「どう?鎌は見つかりそう?」
泉華が死神にそう語りかけた
死神は、何も感じないと首を横に振った
死神が娘の世話になって何日過ぎたのであろうか?
娘が死神のそばを歩く光景を人は知らない
否、人には見えない
ただの虚空に向かって話しかける娘…
なぜ、娘とこの様になったのか?
死神は、死神が倒れ、娘に死神であることを話した日を思い返した
死神が死神であることを話し…そう…と娘が呟いたあと…
「私の名前…泉華」
急に娘が…そう死神に呟いた
「私の名前は泉華…貴方に殺される者の最初の名前…覚えてくれても良いんじゃない?」
娘はそう言って…死神の手を…愛おしそうに…触れた…
なぜだろう?人は死を恐れ…死の…死の具現者である死神を…なぜ…この娘は触れることができる?
なぜ…そんな風に触ることが出来る?
死神は混乱した…今まで教えられたことと違う人に…
知識とは違う現実に…
「元気になったら…一緒に鎌を探そう…大丈夫…私は貴方に殺されるんだよ
だから…死神の鎌も見える筈なんだから」
そう言って…娘は…泉華は…嗤った…
死神は…何を観る?
死神は…娘の…何を…視る?