星1つのレビュー
どうも出版した本の評判が良くないらしい。らしいというのは、編集が目を合わせてくれないことによるあて推量だ。が、とあるネットショップで確認すると、レビューがみんな星1。流石に落ち込む。いくつか拾って読み上げてみる。
星1 この本に救われました
ふむ。次。
星1 終の一冊……とはならず。
はて。好意的なのか否かよく分からん。次は?
星1 星1 でも、私、ここにレビュー書けて良かった。
……。
これはどうした事なのだろう。そう思って読み進めていくが、行けども行けども星1しかない。だか決して本がつまらないわけでもなく、読んで無意味でもなかったらしい。好意的なレビューが大半を占めていた。だとしたら星1だらけなのはおかしい。
何かシステムか壊れているのか。私は疑問を解消するため、普段使いなれないサイトの(初めての方はこちら)から(評価・レビュー)を開いて項目を一つ一つ目でさらってみた。
評価は相対的でも絶対的でも構わないらしい。ただそれだと価値判断が個々の裁量に委ねられ過ぎる。なので、以下の一文もくっつけられている。目的に沿った商品である程高評価をつけるのが望ましい、と。他には、あくまでも商品だけの評価で、出品者やサポートは評価に含めないことや、返品後の評価の消し方、補償といった内容が記載されているが、だんだん知りたい情報から遠ざかっていくので見るのをやめた。
どっと疲れた。そして、私は深くため息をついた。
上記によれば、出品者やサポートは評価に含まれない。となると、私の本が悪いことになる。購入者の目的に全く添えなかった。そういうことになる。
「いったい、何が悪かったんでしょうねぇ……」
私はそうボヤいて、机の上に置いてあったその本を手にとって、パラパラとめくった。自画自賛する訳ではないが、わりかし良くできてるのではないか。と、思うが、やはり思い込みだったのかもしれない。私は本を閉じ、しょうがないので次の仕事に取り掛かることにした。
すると、チャイムが鳴って、郵便の荷物が届いた。受け取って開くと、そこには編集部から転送されてきたファンレターがあった。罵詈雑言を予想したが、その逆の内容が殆どで、他人の考えることはやはりよく分からないなあ――そんな事をただただ考えていた。
机に置いた本が風でめくれる。ハードカバーの表紙が戻ってパタンと閉じると、そのタイトルがはっきり見える。
『ぜったい自殺に成功する方法〜読み終われば、あなたはきっとあの世行き〜』