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2-62 文化祭最終日⑤

クロヴィーラ社長は冷静な口調で問いただす。

「こちらの国と我々は、これから先も有効な関係が結べるならと縁談を持ちかけた。

だが、次期トップ候補であるお前はそうじゃ無かったんだな、今の言葉でハッキリ判ったよ、残念だ」

「い、いや社長!違うんです!これは・・・」

焦りまくるアレクシスであったが、今更どうしようもない事であった。

「君との縁談も一度白紙に戻させてもらうよ、やはり娘の幸せが一番だからね」

ウィリアム親善大使からも絶縁状を叩きつけられた形になってしまったアレクシスは、項垂れてそのまま出て行ってしまった。

「我々は若者の見る目が不足していたようですな」

「全くです、最初からやり直しませんか?社長」

「それは願っても無い事です」

ウィリアム親善大使とクロヴィーラ社長は固く握手を交わす。

今回の事で相当な改変となるのだろうけど、そこは俺らの関知するところでは無い為、スルーだ。


イベント会場では表彰が行われていた。

男子3人組がステージ上に立ち、恐縮しながら目録を受け取っている。

ここで司会者からインタビューが

「川田・佐々木・平選手、おめでとうございます。

デート券ゲットしたわけですが、やはりあの3人に申し込むつもりですか?」

この質問に俺が答える。

「ええ、そのつもりです。

それに・・・彼女らとは俺らが交際しますので皆さんよろしく」

全校生徒、男子に対しての宣戦布告であった。

その言葉に男子生徒の7割、女生徒はほぼ全員歓喜の応援者となった。


その後、じゃんけん大会に出場した18名にダンスパートナー券の目録。

そしてベスト3に入った3名にデート券が手渡された。

デート券をもらった3年生3名は、すでに狙っている男子がいるようだったが、シークレットです、と名前を明かさなかった。

こちらも、最後は拍手で終了した。


これで大まかなイベントが終了。

残りは夕方〜のダンスパーティー・・・と言っても外のグラウンドにて、吹奏楽部が演奏する曲に合わせて好き勝手に踊るだけなのだが。

ジェンカの延長みたいなものだ。

ミスコンの時のようにドレスとか無いから、自由参加なんだけど・・・飢えている男女はそんな訳無いよね。


ダンスが始まるまで時間があった為、新型道着プレゼンの詰めを行う事になった。

学校の視聴覚室を借り、ウィリアム親善大使とクロヴィーラ社長、日本の大会関係者、マスコミ関係、そして学校関係者を集めてモニターにて説明を行う。

何故か俺らも強制参加させられ、着心地とか動きやすさ、新ルールの評価とか聞かれた。

思ったことを正直に答えたよ、みんなも同様だったようだ。

しばらく拘束された後、最後にテレビ局・ラジオ局・ケーブルTVの人から質問攻めにあった。

プライベートな事以外は答えて、やっと解放。


外部の人達が退席した後、校長・教頭・実行委員の担当教師から呼び止められた。

今回のプレゼン映像は、ウィリアム親善大使とクロヴィーラ社が放映権を持っている為、勝手にテレビ局が放送出来ない事を告げられた。

「先ずは我々が編集するから楽しみにしててくれよ、一番最初にここで試写会するからな」

大使と社長はそう言って退席して行った。

テレビ局の方は、イベントがあったと言う事を放送してもらい、宣伝してもらわないと意味がない為、許可された分は使うそうだ。

それでも尺が足りない場合は、俺たちのインタビュー映像を使うらしい。

もうどうでもいいよ・・・


グラウンドではダンスパーティーの準備が終わったようで、吹奏楽部の演奏が流れ始めた。

今から2時間のアピールタイムだ。

ここで勝ち組負け組が決まるんじゃないか、と言う雰囲気の中で宴が始まったのだった。


ジャンケンで生き残った男子2人組が動いた。。

示し合わせていたようにある場所へ。

そこは教員控え室となっており、2人は横並びに立ちある人達へお辞儀した。

「多田先生」

「塚田先生」

「「ダンスパートナーお願いします」」

「「えっ?」」

男子生徒はそのままお辞儀したまま固まっていて動かないし、周りもいきなりの出来事で、何て言っていいか分からない状態。

「ん〜〜〜、分かったわ、基本的に拒否NGだものね」

最初に動いたのは塚田先生だった、保健の先生で髪が長く、いつも後ろで一つ結びをしている20代半ばの可愛いと評判の人だ。

「せ、先生?」

多田先生はいきなりのことで戸惑っている。

「いいじゃないですか、教員の必須事項だし踊れるでしょ?

それに、勇気を出して来てくれた生徒へのご褒美です」

そう笑って指名してくれた男子生徒に右手を差し出す。

誘ったんだからこのくらいのマナー知ってるでしょ?と言う小悪魔のような笑みを浮かべて。

緊張しながらも、紳士的な振る舞いで右手を取り、礼をしてグラウンドへ歩いて行った。

残った多田先生も覚悟を決め、男子生徒へ右手を差し出してグラウンドへ。

周りにいた生徒と教師から声援を送られていたが、多分緊張で記憶に残ってないだろうな。

来年からは先生狙いの生徒が増えるかもしれない。


同じ頃、女生徒にも動きがあった。

それぞれお目当ての男子生徒の所へ突撃したのが10名、先生にぶっ込んだのが6名。

男子生徒側は指名されれば嬉しいだけなので、照れながらも誘いに応じていた。

先生側はちょっと戸惑い気味だったが、女生徒に恥をかかせるわけにもいかない為紳士的に応じる。

歳上と言う事もあり、ちゃんと女生徒に映えさせているところもさすがである。

来年からの期待も高まるところである。


俺ら3人組はと言うと、楓・エリサ・エリーサと入れ替えながら踊った。

踊ったというより、指導されながら踊らされたと言った方が早い。

みんなと違い密着状態でのダンスだったからだ。

正幸は特に念入りに指導され、顔を赤くしながらも何とかマスターしていた。

解放されたのは1時間後で、エレナ達から『練習の成果を発揮してこい!』と放置されてしまった。

幸運な事に、数名からお誘いがあった為ボッチになる事はなかったのは幸いだった。

楓達はというと、いつの間にか知美と踊っている。

それもウチの制服着てるし、周りからはあの娘誰だ?と囁かれている。

いつ連れて行ったんだろ?手が早いな、あいつ。

しばらく様子を見ていると、知美から誘われた。

顔を赤くしながら、俯きかげんで手を差し伸べてくる知美を見ていると可愛いと思う。

我に返って周りを見渡すと、ニヤニヤしながらこちらをガン見している楓達と目が合う。

そういうことね、今回は感謝する事にしますか。

俺は差し出された右手を優しく握った後、跪く。

「姫、私と一曲踊って頂けますか?」

知美は更に顔を赤くして、壊れたおもちゃのように顔を上下に振った。

ちょっとやりすぎたかな?

そのままリードして踊りを楽しんだ。

女子からは声援を、男子からは殺意まみれのヤジか飛んでいたのだった。


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