2-56・・・文化祭4日目
文化祭4日目
朝からエレナとエリーサ姉妹の戦力調査の為、楓と実行役員数名が立ち会っている。
楓と戦って様子を見て午後から話し合う予定だ。
その間、暇だから文化祭を楽しむ事にした、もちろんクラスの方も手伝ったけど。
そして午後の昼食時間を過ぎ、実行役員室に召集が掛かったので向かった。
ドアをノックして入室する。
すでに実行役員と楓、エレナ・エリーサ姉妹・優二がいた。
俺と正幸は礼をし空いている席へ。
「それではみんな揃った事だし、格闘戦の話し合いに移ります。
先ず、姉妹の格闘技戦参加可能かどうか報告をお願いします」
「はい、そちらの3人がそれぞれ闘っているのを見て、第三者の意見ですが、参加可能かと思われます。
実際に対戦した楓さんの意見が最重要と思われますが、役員の目から見て合格です」
そう言って役員さんが締めくくった。
「ありがとう、それでは実際に相手をした楓さんの意見を聞きたいんだけど?」
「はい、私の意見としましては・・・条件付きでOKと言わせてもらいます」
「そうか、それでは条件ってのを聴かせてもらえますか?」
「はい、まず2人は武芸者では無いというのが前提です。
得意とする所は奇襲、そして護衛が到着するまでの繋ぎ・・・持って5分程度。
それ以上は無理でしょう、敗北決定です」
ここまでの話まで聞いて、姉妹も異議がないようでうなずく。
「もし戦うのならば制約を設けて変則式にしないと、一方的な結果に終わります。
私からは以上です」
「そういう事なのだけれど、それでも試合しますか?」
姉妹に問いかける。
しばらく考えた後、エリーサが口を開いた。
「長引けば負けるのは確実なのは分かってるわ、そこで提案なんだけど、新しいルールと道着で戦ってみない?
私達の国で開発を進めているのがあるんだけど、テスト形式としてモニターしてみない?。
今、東京でプレゼンしているのよ。
それが終われば借りれると思うし、我が国としてもデータが取れるから助かるんだけど」
なんかめんどくさいけど、新技術モニター出来るのは面白そうだ。
優二と正幸へ目配せすると、今のところ異議は無いようだ。
「それでどんなルールなんだ?」
エリーサに続きを促す。
「道着は見た目は今まで使っているのと変わらないわ。
ただし、布地に秘密があってね、衝撃を受けると微電流が流れるのよ。
その信号を拾ってアンプを経由しデータとして蓄積。
Wi-Fiで通信していると思ってくれれば早いかも。
それでその布地を頭・左右の頬・胸・背中・腹・左右の脇・左右の太腿に貼り付けるのよ、頭の部分はヘッドギヤをかぶる事になるわ。
それで普通に闘って、各所にヒットすれば1ポイント。
今のところ10ポイント制先取で決着、というのを提案中よ。
もちろん無線で通信しているから自由に闘えるわ。
スポーツとしては平等で、怪我のリスク軽減になるという事を前提に各国にアピールしてるの。
これならイベントとして成り立つんじゃないかしら?」
それなら・・・面白いかもしれない。
みんな少し興味があるようで今のところは反対していない。
肯定とみなし、実行委員長が口を挟んだ。
「イベントとしては面白そうなんだけど、準備可能なのかい?公的な仕事として来日しているのなら、そんな勝手に決めても・・・」
「ああ、そこは大丈夫です。
来日しているのは私達の父と従兄弟ですから。
前から試合で試してと打診していたらしいけど、適当な大会が無くて、今回はそのままこっちに寄って帰る予定でしたから」
俺と優二と楓は思わず立ち上がった。
「あのオヤジさんともしかしてヴェンダーが来るのか?」
「ええそうよ、あともう2人その会社の社長と息子が一緒だけど・・・」
あれ?エリーサが何か嫌そうな顔してるな。
何かあるのだろうか。
「それならちょっと待っててくれ、生徒会と先生達に許可をもらってくる」
そう言って実行役員達は急いで教室を出て行った。
出て行く前に、文化祭終了後にまたここに集合と声を掛けて。
俺たちはその間に詳細を詰める必要があった為、その場に居残った。
「それで・・・いつから計画していた?」
俺は準備が整い過ぎていた事が不思議だったので興味本位で聞いてみた。
「えっとね〜留学が決まった時からなんだけど、学祭のイベントで提案出来れば良いな〜って程度だったのよ」
エリーサは少し申し訳無さそうに返答する。
「でもまさかこんなベストなタイミングで提案出来るとは思わなかったわ。
最初は私達だけで道具を準備して、試そうと思っていたんだから。
もちろん私達が試すつもりだったけどね」
エレナが援護射撃をしてきた。
それくらいの考えならまぁいいか、姉妹も参加するつもりだったのなら。
「それで?剣真達と闘うのは良いけど、大丈夫?
強いわよ?この3人は。
近くで見てたでしょ?」
3人の男子を3人の女子が順番に見る。
何か居心地悪い。
「大丈夫、特別ルールでやらせてもらえれば善戦出来ると思う」
何その自信?
「それで?誰と誰が闘うんだ?
俺たちは誰でも良いけど、俺としてはエリーサとは闘いたくないなぁ」
正幸がちょっとした希望を口走る。
「それなら俺も楓とはちょっと・・・」
優二も似たような事を言い始める。
お気に入りとはやり辛いのだろうか。
「じゃあ、俺もエレナ以外で・・・」
武芸者としてはアウトな連中だった。
それから6人で独自のルールを決め、これなら盛り上がるだろうという方向に落ち着いた。
この時点でベスト3は決まっており、お互いに1日デート券はゲット。
これにより知らない男からの誘いは無くなった事になる。
ジャンケン大会の結果はまだ出てないけれど、男子が今の時点で2〜3名しか残って居ないという情報なので、ベスト3に残るのは難しいだろう。
「すでに商品はゲット出来たんだけど、どうする?
このままじゃ商品の価値が無くなっちゃうわ」
エリーサが何か言い始めたぞ。
「価値って・・・何か欲しいのがあるのかい?」
正幸が少し緊張気味に問いかける。
次は何に巻き込まれるのだろうかと考えてるのだろう。
「そうねぇ・・・負けた方が勝った方にキスするってのはどう?」
「「「「・・・はぁぁぁぁ?!」」」」
また爆弾を落としてくれたのだった。