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2ー55・・・文化祭3日目

文化祭も3日目に突入した。

朝、今日の対戦相手を確認する為に掲示板を覗くと、8人中5人が棄権となっていた。

意味がわからず放心状態で立っていると、楓と優二と正幸がやって来て事務所に連れて行かれた。


文化祭事務所には役員全員が揃っている。

みんな深刻な顔をしているから、居心地が悪い。

しばらくの沈黙の後、役員長らしき人が口を開いた。

「格闘戦のイベントなんだけど、君達3人しか残っていないんだ。

申し訳ないんだけど、このまま続けるのは難しくなってしまってね、中止かこのままやるか話し合いになったんだけれど、出場している君達にも意見を聞きたくてね、ご足労願ったという訳なんだ」

本当にみんな棄権しちゃったんだ・・・なんでだろ?

「あの〜、質問いいですか?」

「ああ、構わないよ、何かな?」

「棄権した理由って何なのでしょうか?」

「分からない・・・って言った方が早いんだ。

今日、みんな学校に来てないんだよ」

何だそりゃ?冷やかしでエントリーしたのかね。

意味がない事するな〜。

そんな事考えてると、ふと昨日のやり取りを思い出した。

「もしかして女子側も8名以上休んでませんか?」

「出席を調べてみれば分かると思うが、何故そんな事言うんだ?」

「実は昨日対戦した先輩からある事を提案されまして・・・」

俺は昨日の出来事を事細かく説明した。


「そんな事があったのか・・・それは調べないといけないな、生徒会と学校にも報告し厳しく処分してもらう事にするから、この事は他言無用でお願いしたい」

役員長が頭を下げたので慌てて了承した。

「あっ、でも俺が指名しちゃった娘には処罰等無しにして下さいね?たまたま指名しちゃっただけで、当人もびっくりしていたんですから」

「了解した、ちょっと話をするだけだから心配しないでくれ」

少し安心した。


「それじゃ話を戻すが、格闘戦イベントは残り3名なんだけど、君達に単刀直入に聞く。

戦うか?それともこのままベスト3で商品をもらうか?」

俺達は黙ってしまった。

戦いたいけど、このままじゃ身内のいつもの試合に終わってしまうし、観客としても面白くないだろう。

ただでさえ悪目立ちしてるからな、本気でやってもヤラセに見えるかもしれないし。

う〜ん、と唸っていると横から提案が上がった。

「はい、役員長いいでしょうか」

楓だった。

「何か名案があるのかい?」

「はい、女子側も私を入れて3人エントリーしているはずです。

男対女で異種格闘技戦をやれば盛り上がるのでは無いでしょうか?」

えっ!女子を相手にするのか?

いやいや、無理無理!

優二と正幸の方に目をやると同じ様に無理って言うゼスチャーをしている。

対面でまともに向き合えね〜よ!俺達。

「楓は残りの2名知っているのか?」

「知らないわよ?エレナ達に強いのがいるから私にもエントリーしてって言われただけだから。

会ってからのお楽しみだって」

そこまで言われて分かんないのか?いつも近くにいるだろう。

「楓、分かんないのか?相手が。

いつも近くにいるだろう?」

楓はまだ分かっていない様子だから、惚けているんじゃ無いのだろう、ここはあの2人の勝ちってところか。

そんなやり取りをしている間にドアをノックする音が響く。

役員がその2人を連れてきたようだ。

「女子側のエントリー者を連れて来ました」

そこにいたのは・・・


扉から入って来たのは、エレナ・エリーサ姉妹だった

「えっ?どうしてここに?」

楓は理解できないようで、少しパニクっている。

本当に気付かなかったんだな、予知能力とか持ってるくせに鈍感な奴め。

「やっぱりエレナ達だったか、もう猫かぶらなくていいのか?」

「へぇ、いつからばれてたの?」

エレナは興味津々で問う。

「しばらく前に絡まれた時かな、俺達の後ろで守られている素振りを見せていたけど、立ち位置が微妙に上手かった。

VIPらしく護衛が守りやすい立ち位置に陣取るのだろう、それだけだと俺も分んなかったと思う。

ただ、2人が気配を消したあたりでおかしいと気づいた、いくらこういうことに慣れていたとしても、少しは気が乱れるはず。

そこから気を付けて2人を見るようになってからだな、その程度だよ。

だから確信できたのはたった今なんだけど」

それを聴いていたエレナ達はため息をつく。

「楓にもバレていなかったから油断してたわ、私達もまだまだね」

エリーサと反省点を話しあっている。

そこに楓が割って入った。

「それじゃ2人の強い娘がいるって言ったのはあなた達自身のこと?」

「う~ん・・・対等に戦えるか?って言われると自信がないけれどね。

あなた以外の女生徒なら勝てるんじゃないかな?」

「「本当に?」」

優二と正幸が驚いたように一言言い放つ。

多分、どっきりだと思っていたのだろう、どうも本当らしい雰囲気に付いていけないようだ。


少し落ち着いたところで役員長が話を再開する。

「それで6名に改めて聞く、イベント対戦をするかい?男VS女で」

6名で顔を見合わせ、少し考える。

顔見知りなら対面しても手が出せないということは無いだろう、しかし本気で打ち込めるか?の問題が発生する。

楓なら稽古で打ち合っているからいいとして、あの2人はどのくらいの腕前か分からないしな、自衛程度なら本気出せないし・・・

しばらく考えた後、

「楓ならば戦えますが、エレナ達だと正直実力が分かりませんので検証すべきだと思います」

その言葉にその場にいる者全員納得する。

「それもそうね、実力を見てもらえれば・・・と言いたいんだけれど、私達は護身術というか奇襲タイプなんで手の内がバレるとまずいの。

楓に手合わせしてもらって、それで判断してもらえればいいわ、ダメならこの話は無しで」

俺達もその流れで了承し、明日の午前中に楓・エレナ・エリーサ姉妹と役員数名の立ち合いで確認することになった。

午後にまた集まってルール変更等の話し合いとすることに。

そんなわけで格闘技戦は本日は無くなってしまったが、じゃんけん大会は粛々と進んでいたのであった。

ちなみに、じゃんけん大会に勝ち残った生徒は9割女子になっていた・・・


この日は俺達もクラスの出し物の手伝いで1日が過ぎていった。

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