2-51・・・イベント告知
喫茶室にいる全員が息を飲む。
「今年の文化祭でイベントをやりたいと思います!」
「「・・・・」」
「「「「「「「「おおおおっ!!」」」」」」」」
「題して・・・私達が欲しけりゃ勝ってみにょ!」
噛んだ、噛んだよな?
廻りがひそひそと話し込んでいると、それに耐えきらなかったのかエレナが何事も無かったかのように言い直す。
「私達が欲しけりゃ勝ってみろ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「「「「「「「「マジか~~~~~!!」」」」」」」」
周りは盛り上がっているが、情報が無さすぎだろ!
この流れはまずい、特に俺たちが!
「「ちょっと待った~~~~」」
同時に声を上げたのは正幸だった、おそらく身の危険を感じ取ったのだろう。
お前もこちら側に来てしまったな、なんて思ってる暇はない。
「エレナ、そのタイトルから何かまずいことしようとしてないか?
TPOは?俺たちは巻き込まれないよな?」
エレナは少し考える仕草をしてから答える。
「うん、内容はまだ考えてない」
「「「「「「「「えぇぇぇぇ~~~~!!」」」」」」」」
勘弁してください・・・
エレナ達が余計なことを言ってしまったため、文化祭のイベント追加を話し合うことになった。
午後の授業が終わってから生徒会と実行委員会とで話し合いが持たれた。
学校側は生徒に任せているためタッチしていないが、イベント内容だけは事前報告しなければならないので、変な方向にはならないと思われた。
数日の話し合いで内容を吟味修正し、草案を学校側へ提出。
次の週で学校側から承認されたため掲示板と全校生徒にメールが送られた。
内容としては・・・
1、個人格闘技戦
トーナメント方式で1~3年生混合で行う事とし、
男女別で行う。
無差別格闘技戦とし、禁じ手以外なら何でもあり。
降参の意思表示で負け。
戦意喪失者への追撃をした場合失格
相手に重傷を負わせた場合も失格
1~3位までの入賞者に商品が送られる。
※商品は1日デート券
相手は指名制とするが拒否権あり
2、じゃんけん大会
実行委員会立会いの下、待ったなしの一発勝負。
トーナメント方式で参加者18ブロックに分け、
頂点に立った18名で最終日に体育館で最終決戦。
1~3位までの入賞者に商品が送られる。
※最終戦に残った18名は文化祭最終日の
ダンスパートナー指名権確定
※上位入賞者には1日デート券
相手は指名制とするが拒否権あり
補足として・・・
拒否権は文化祭当日までに申告するものとし、
期限を過ぎると拒否は出来ないので注意。
トーナメント参加者には拒否権は無し。
出場登録はどちらか片方のみとする。
うん、こりゃ巻き込まれるな。
昼休みに聞いてみるしかないけど、聞いたら確定しそう。
正幸も同じ思いらしいけど、前向きな考えになっているので肯定的だ。
「俺はもう少し前向きになりたいんだ、エリーサが精神改造してくれる分それに報いたいし、協力出来るものなら恩を返したい」
義を重んじるのはいいけどもう少し気楽に考えられないもんかね、そこが良いところなんだろうけどさ。
「エリーサに協力するのはいいけど、無理はするなよ?
どうせ何かで巻き込まれるんだから」
「ああ、分かってる」
そしていつもの日常が始まった。
昼休み、食堂に行くといつものメンバーが、いつもの場所にいた。
「2人ともメールは見た?」
「うん、見たよ。どうすんだ?確実に狙われるだろ?」
狙われるってのは商品のデート権利の事だ、西洋の女性と同意の上で、1日だけとはいえ付き合えるんだから高確率で申し込まれるだろう。
実力か運が必要だけど。
「全部で6名に恩恵があるんだけど、その内の半分は阻止出来るでしょ?
残りの半分は多分大丈夫よ、運が必要だし多分女生徒がゲットすると思うわ」
確かにジャンケンは女生徒も参加するだろうからリスクはかなり減るだろう。
「確かに・・・なら良いか。
じゃあ、文化祭は俺達も普通に楽しめるな、クラスの出し物とかの関係で忙しいかもしれないけど」
優二、正幸もほっとしているようだ。
今回はイベントを純粋に楽しめるだろう。
「は?、何言ってるの?
格闘技戦に出てもらわないといけないじゃない」
「「「えっ、出ないとダメなの?」」」
3人シンクロした。
「出なくてもいいけど、誰かに権利を取られるわよ?
私たちは別にいいけど、もし楓が指名されたらどうすんの?
イケメンの先輩に強引に誘われたら・・・ねぇ?」
間髪入れずに優二がさっと立ち上がった。
「俺、格闘技戦出ようかな、はははっ」
1人陥落か・・・
「僕も出ようかな~~~」
ソワソワしながら正幸が挙手した。
「えっ、正幸も出るの?マジか・・・」
「優二が出るなら戦ってみたいし、それに・・・」
「ああ、分かった分かった、お前達なら確実にトップ3に入るよ」
見事に乗せられた2人を応援することにした。
「あれ~~、剣真は出てくれないの?
私が指名されて勘違い男に変な事されてもいいんだ~~~~?」
全く良く言うよ、黒服がいるから大丈夫だろ。
それに、本当は君たち・・・・・・ああ、まあ仕方ない。
「もう分かったよ、俺も出るから!
エレナはちゃんと護るから!心配すんなよ」
「そう?ありがと。
ベスト3に入ったら私を指名してね?ちゃんとサービスしてあげるから」
エレナが魔女に見えた瞬間だった。
「お前、必ず後悔させてやるからな、留学期間が終わる前に」
という事を聴こえないように言うのが精一杯だった。
「格闘技戦には楓は出るんでしょ?」
いきなり振られて楓がジュースをちょっと吐いた。
「ちょっと、なんで私が?」
「だって男女別よ?日頃から強い人と戦いたいって言ってたじゃない?」
「でも学校じゃもう・・・」
「大丈夫、2人程知ってるから。
楽しめると思うわよ?楓が勝つだろうけど戦ってみる価値はあると思うわ。
一応エントリーしててね」
楓はそんな女生徒いたかなぁという顔をしていたけど、強い人と戦えるならと同意していた。
「これで役者は揃ったわね、貴方達負けたら承知しないわよ?」
ここで予鈴が鳴った為解散となった。
俺は優二・正幸と戦うかもしれないと考えた時に、テンションが上がっている自分がいる事に少しだけ楽しくなってしまった。
なんだ、何だかんだ言っても楽しいんじゃんか、俺も単純だなぁ。
すでに1ヶ月後の文化祭に意識が向いていた。