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2-44・・・デートという名の護衛②

試合は始球式から始まる。

姉妹は野球を見る事が初めてなので、一から説明する事になってしまう。

丁寧に説明しながら回が進み3回の裏の攻撃中。

いつのまにかエレナ・エリーサの右手にはジュースのカップが。

そして左手にはメガホンと帽子、更には入口で女性限定にと配られていたピンク色のホークスレディースTシャツを着込んでいる。


最初はT シャツなんて・・・と言っていたんだけど。

ホークスの1回裏の攻撃になり、外野席の応援団が活気付いた辺りでTシャツを着込み、移動販売員のお姉さんからメガホンを買い、一緒になって振り付けを始めて今に至る。

すぐ近くに平正幸という先生がいた為、トレースするのが早かった。

もう一緒になってはしゃいでる。

どうした平正幸、お前もそっちの方に行ってしまうのか?


5回裏に進み、ホークスの攻撃中。

ノーアウト2塁からの送りバントで1アウト3塁。

ここで3番高城選手の打順となって先制点のチャンス。

応援団が活気付く。

カウントは3ボール1ストライクから強振。

すると打ったボールがライナーとなり、フィールド席の俺たちの席へ。

内野席側から、平・エリーサ・エレナ・俺と座っており、その中間の顔辺りに飛んで来た為、思わず俺は右手・平君が左手でガード&捕球体勢へ。

反射的な反応であり、素手でのガードだった為、相当な痛みを覚悟していたんだけど、先にガード&捕球出来たのは平君だった。

それでもライナーの当たりで衝撃が半端なく、平君の腕ごと持っていかれそうになるところを俺が踏ん張って押さえつけた。

エレナ・エリーサ姉妹にボールが当たらなくて良かったと言いたいところだけれど、素手でボールを補給した平君はしばらく固まっている。

「おい!正幸!大丈夫か?」

数秒後、覚醒した平君は手首をぶらぶらと降って大丈夫とゼスチャーをする。

それを見た周りのお客さんは拍手喝采。

調子に乗った平君は立ち上がり手を挙げて応えていた。

そのついでに、俺も隣のお客さんに立たされ一緒に手を振る羽目になってしまった。

声援に応えた後、そのまま握っていたボールをエリーサに渡し、そのハプニングは終了・・・だったのだが、エリーサは護った騎士(ナイトへ感謝のキスをほっぺにしてしまった。

その時の映像がセンタービジョンにアップで何回かリプレイされていたんだけど、時すでに遅し。

その場だけの英雄譚なら、顔を赤らめて明日には忘れられるのだけれど、これ、テレビ中継なんだよね。

おそらくリプレイで何回か放送されちゃってるから、明日が怖い、もちろん学校が。


あれから高城選手はフォアボールを選び1ストライク1・3塁。

その後の4番小菅選手が3ランホームランを放ち一挙3点を先制。

その後はお互いにヒットは出るが単発に終わり、時は7回裏の攻撃。

回が始まる前に応援歌が流れ、センタービジョンに観客席が順番に映し出される(もちろんテレビにも)

案の定、俺たちの席が少し多めに映し出された。

ドアップの俺たち4人の身バレ必至、いや確定の瞬間であった。


試合はそのまま3-0でホークスが勝利。

試合終了後、帰り道が混んでいる事と姉妹のお迎えが1時間強程掛かるとの事で、フィールド席に居座っていた。

4人で試合の余韻に浸っていると、ベンチから高城選手が心配して様子を見に来てくれた。

それだけで平君はテンション上がりまくり感動していた。

お詫びに市販されているユニフォームにサインを書いて渡してくれた。

俺たちにはサインボールを、と渡してくれたが、エレナとエリーサは俺たちから貰ったボールで良いと言うのでサインボールは男2人で3個頂いた。

1個は優二に譲ろうと思う。


丁度いい時間となり、他のお客さんもある程度帰宅したところで、お迎え予定の場所に移動開始。

外に出たところで、クライマックスシリーズの告知が目に入った。

2人がこれは何?と聞くので、説明してやるとまた観たいと言い出す始末。

もう席が・・・と言いかけたらエリーサが何処かに電話。

何となく連絡先が分かるけど、一応聞く。

「誰に電話掛けたのかな」

「ちょっとした知り合いによ」

「ちょっとした、ねぇ」

「あ、ちょっと待って、『あ、おじ様?今日はチケットありがとう、それでね、野球にハマっちゃって・・・そう・・・うん・・・本当に?

うん・・・ありがとう・・・うん、伝えておくわ。

それから、私外野席がいいな・・・そうペアで・・・それはナイショ・・・うん・・・ありがとうそれじゃね』・・・フゥ、ねぇ正幸・剣真?来月の中旬、また付き合ってくれる?」

「いいけど、どこに?」

平君はちょっと緊張気味だ、行き先が不明だから。

俺はもう内容はほぼ分かっていたので、

「クライマックスシリーズか?」

「当たり〜〜、また観たいんだけど、姉さんはどうすると?」

何気に博多弁ぶっ込んで来た〜〜

「そうねぇ、面白かったし私も観たいわ」

「よし、決まりね、さっきおじ様にはお願いしておいたから」

「行動が早いわねぇ」

エレナは苦笑している。

「じゃあ今度は楓と優二も誘いましょ?」

ああ、ごめん優二、巻き込んじゃった・・・


それから10分程して迎えの車が到着。

それを見送って今日のバイトという名の護衛デートは終了。

バイト代は後で振り込まれることになっている。

俺はちょっと買いして帰るといって平君と別れ、そのままドーム外のテナントを見て回る事に。

知美は建物の陰で具現化し合流。

「これからデートですね」

「ああ、そうだな。

何か食べるか?あまり食べられなかったろ?」

「じゃあ、そこのカフェで甘いもの食べたいです」

知美の格好はエレナの格好に似て、白のふわっとしたワンピース。

違うのはつば広ハットと髪が黒い事くらいか。

「ああ、リア充だな〜俺、なんか癒される」

カフェを出た後、手を繋いでちょっとした買い物をして帰宅。

来週は2人で出かけられるかな〜と呑気に考えていた。


明日起こるであろう事をすっかり忘れて。


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