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2-42・・・新たな護衛と言う名の下僕契約

昼休みとなり、食堂の入口からそーっと中を覗くと、一際目立つ席があった。

その席の周りは結界が張ってあるのか誰も座っていない。

座っていないというのは表現が足りないかも知れない。

周りの席の外側に人が円状に立っているのだ、見とれているという言い方も出来るかも。

囲っているのは女子であり、その包囲網を潜り抜けて楽園の園に飛び込める勇者もいない。

もしかして既に飛び込んだ剛の者がいたのかも知れないが。


「あれだよな、あの中心に敵がいるんだよな」

「剣真!そんな事言って聴かれていたらどうすんだよ!

全校生徒の8割を敵に回すのか?」

「冗談だよ、しかしどうやって入り込むかな」

こんな事していると昼休みも無くなってしまうのでサッサと突貫してしまう事にする。

よし、行くか!

平君と覚悟を決めた。


遠目に中心を覗き込み、金髪の髪が2つ見えたので確信し声を掛ける。

「あの〜、川田剣真・平正幸出頭しました!」

2人直立不動で声を出す。

するとモーゼの十戒のように人の輪が割れた。

その中に優雅に座る姉妹と楓とついでに優二がいた。

「いらっしゃい、よく来てくれたわね」

「遅かったわね、レディを待たせるものじゃないわよ?」

エレナ・エリーサからの有り難いお言葉である。

楓は笑っており、優二は仲間が来てホッとしたような顔をしている。


「それで話って何かな?」

もう周りのガヤ連中は無視だ。

「私達、1年間の留学なんだけど、その間護衛兼ボーイフレンド役を頼みたいの」

「えっと、護衛は百歩譲って分かるけど、ボーイフレンドって?」

「学校の行き帰りと、休日出掛ける時に付き合って欲しいのよ、毎回って訳にはいかないと思うけど」

そこで平君から異議が唱えられた。

「俺もですか?!」

意味が分からんという表情だ。

当然だ、たまたま話し掛けられただけの奴を信用するのかよって事を言いたいのだろう。

その質問に対してはエリーサが答える。

「あなた、本当は強いでしょ?

剣真や優二クラスだと思うんだけど、間違ってる?」

「そう思ってくれるのは有り難いんだけど、買い被りすぎだよ、こんなヘタレが強い訳ないでしょ?」

平君は謙遜している。

「そう?私の見込違い?」

その瞬間、すぐ近くにいた楓が正拳クイック攻撃。

「うっっ、何を?」

びっくりしつつも、顔を少しズラして躱した後構えた。

「あっ!」

やった後気付き構えを解くが時すでに遅し、微妙な空気が流れた。

「え〜っと、たまたまだよ?」

「いや、無理じゃね?」

俺の言葉は慰めの言葉になっていなかった。


驚いているのは周りのガヤ連中だけじゃなく、優二・楓も驚いていた。

俺は一緒に学校では行動していたし、体育の着替え等で腕や腹筋・太腿辺りの筋肉等を見ていたので、何となく気付いていた。

隠している訳じゃないと思うけど、言いたくないのだろうと勝手に解釈していたので、変に掘り下げなかっただけである。

「で?あなたは弱いの?」

「・・・・多分弱くはないかと・・・」

「じゃあ、決まりね、今返事しなくても良いけど、良い返事を期待してるわ」

エリーサがそう言いながら席を立ったので、そのまま俺も逃げようとしたところ、

「剣真もね?」

エレナから肩を叩かれた。


2人を見送った後、楓と優二に聞いたところ、エリーサが平君の事ちょっと気に入っているようだという話だった。

俺巻き込まれたのか?って聞いたら

「あんたはエレナのお気に入りでしょうが!」

そう突っ込まれた。

時々なら出かける時に護衛をするのは良いんだけど・・・

そう悩んでいると楓から

「全く、ちょっと話をつけてきてあげるわよ、負担を軽くしてもらえるようにね」

「えっ?マジですか?」

楓様が天使に見えたよ。

「その代わり・・・知美ちゃん午後の間貸しててね?」

そう言って肩に乗ってボーっとしていた知美を奪っていった。

すまない、女同士でうまくやってくれ。


その後、平君と護衛の話をした。

学校であそこまで話が出来上がってしまった為、請け負ったら嫉妬の的、断っても嫉妬+αとなるので請け負ったほうがマシという事でまとまった。

中身はあれでも美少女だからな、役得と考えようとなった。

でもな・・・中身があれだからな・・・


どうせなら話は早い方がいいという事になり、放課後普通科の楓たちの教室へ。

さっきから殺気がすごいが無視する、2人で役得だ役得と言い聞かせる。

エレナ・エリーサ・楓を呼んでもらい、まず深呼吸。

「さっきの話なんだけどさ、請け負うよ」

「早かったのね、答えをもらうまで数日掛かると思ってたわよ?」

「剣真もいいのね、良かった」

いやいや、逃げ道無くしてくれたじゃんか!とは言えず、にこりと笑うしかなかった。


知美が俺の肩に戻って来た。

楓を見ると頷いている、おお~~何か譲歩を確約してくれた?

「護衛兼ボーイフレンド役の件だけどね、休日のバイト代20,000円/回でどうよ?

交渉頑張ったんだからね」

楓がドヤ顔で言い放つ。

「「・・・えっ?」」

俺達は思わず変な声を出してしまった。

「デートは男が出さないといけないでしょ?

負担が大きそうだったから値段交渉頑張ったんだからね、これで美少女と一緒なんて最高じゃない」

「「おおおっ・・・・」」

俺と平君は頭を抱えてしまった。

楓さん!違うよ!ボーイフレンド役は削除して欲しかったんだよ!

これで腹を括らないといけなくなったのである。


校門前に姉妹の迎えのリムジンが待っていたので、そこまで歩く間いろいろ話をした。

これから1年の間、どのくらい休日に付き合うのか・学校にいる間の護衛等だ。

エリーサが平君を選んだのは腕っぷしと雰囲気、それからちょっと好みだったそうだ(この話は平君には言っていない)。

卒業後は民間の外交官を目指し日本への赴任を希望しているとの事。

それなら留学よりも母国で勉強をしないと、と言ったら大学課程まで修了しているらしい。

それで今は日本文化の勉強中らしい。

だから姉妹で高1なのかと納得した。

それなら平君の事ももしかしてもしかするかもしれない。

こればっかりは当人次第だが。


リムジンに乗り込む時、9月中に1回デートの約束をさせられた。

もう諦めている俺達は、学校にいる時はその話題は止めてと言うのが精いっぱいだった。


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