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2-39・・・賞詞

事件から2日後、今日は福岡市にある警察署に来ている。

と言っても、良く立ち寄っている場所なんでいつもの事なんだけど、今日は緊張していた。

なぜなら、呼び出しが掛かったからだ、3人に。

もちろん、俺、楓、優二に。

署に着くと裏口に案内された為、マズイ事になってしまったのかなと内心ビクビクだ。

通された部屋は、建物のどこら辺だよって場所。

相当奥に通された割には立派な部屋だった。

豪華な椅子に座って待つ事10分程、ユウヤおじさんとサクラおばさんを先頭にお偉いさんが数名入ってきた。

何これ?3人で固まったままでいると、最後に大物が来た〜〜。

ウィリアム夫妻、いや、ウィリアム親善大使夫妻か、この場合。


全員が着席したところで署長さんから前に来るように促される。

コリャ怒られるパターン?でも楓は関係ないよね?

頭の中で逡巡する。

「これより親善大使よりお言葉がある」

・・・やっぱりやらかしました?

ウィリアム親善大使が立ち上がり、俺たちの前に歩み寄る。

「今回の護衛ご苦労様、子供達も楽しかったと言っていた、ありがとう。

それと今回、日本観光ともう一つクエストがあったんだ。

娘達の態度なんだけれど、高飛車ではなかったかな?」

返しづらい質問をしてくるなぁ、そう思いながら横の2人に目線をやると我関せずのアイコンタクトして来やがった。

仕方ない、思ったことを言おう、嘘は顔に出てしまうから無駄である。

「そうですね、確かに猫被っているような感じでした」

横の2人はビックリして吹き出していた。

もう遅いよ?こうなったら一蓮托生だ!

「はっきり言ってくれて助かる。

そうなんだ、家は貴族の家系でね、代々外交官や大使等の仕事に従事するんだが、何というか人種差別するようになってね、困ってたんだ。

そんな時、日本のユウヤの事を思い出してね、同じ年頃の子供がいると言ってたから、ぶつけてどうなるか様子を見ようって事になったんだよ」

「それでテストを?」

「ああ、そうだ。

一緒にいるなら護衛も兼ねなきゃいけないからね

ユウヤは大丈夫と太鼓判を押してくれたんだけど、SPが実際どのくらいの能力があるか確かめないと許可出来ないって言うもんでね」

それであのテストに繋がる訳ね、話が繋がったよ。

「それでご息女に変化があったのでしょうか?」

「そこなんだ、観光から戻った辺りから他人を観察するようになったよ、先入観と第一印象で決めつけて見下す事が少なくなってきた。

娘たちに聴いたら、《見た目や人種で判断すると後で痛い目に合うから》って言うんだよ。

君達に触れ合えたおかげだと思っている」

そんな大した事してないと思うけどな、逆にマイナス効果のネコ真っしぐらだったような気がするんだけど。

「そんな大した事してないと思いますが・・・

ということは娘さんの意識改革がクエストだったという訳ですね?」

大使は首肯した。

「それだけでもご一緒した甲斐がありました」

それで終わりと思って一歩下がろうとした時

「ああ、それから任務は放棄じゃないぞ、完了だ。

バイト代は3人共後でもらってくれ、私からは以上だ。

最後に・・・ありがとう」

そう言って部屋から退出していった。


大使を見送った後、深呼吸する。

「あ〜緊張した〜〜、こんな場所で話すのはドキドキするな〜、なぁ2人とも」

そう言って横を見るとまだ起立の姿勢崩していない。

えっ?と思って周りを見ると、みんなその場を動いていない・・・何で?


「特別賞詞を与える」

いきなり進行役の人が言い放った。

「賞詞?って何」

「 功労のあった警察職員に与えられる賞だよ、簡単に言うと」

楓が教えてくれた。

「俺達警官じゃ無いけど?」

「だから特別賞詞、それにあまり公にするとまずい事あるでしょ」

「何だっけ?」


「今回のモールでの犯人逮捕並びに民間人保護に対して感謝状を与えることとする。

ただし、マスコミ関連には秘密となっているため、非公開の贈呈式となった」

「・・・何で・・・」

「すまない、捜査中の物件なので内容は話せない。

一緒に大使側からも感謝状が届いてるから渡しておく。

この件に関しては他言無用としておけ、というかその方が後々いいと思うぞ?

身バレすると囲まれるからな、マスコミとかマスコミとか一般人に」

あ〜〜納得しました。

それから賞詞をもらって次こそ解散なった。

あれ?これで終わり?


この後何も無さそうなので帰ろうとしたところ、呼び止められた。

「ああちょっと待ってくれ、面会だぞ」

振り抜くとヴェンダー達が扉から入ってきたところだった。

「「「あっ」」」

3人が目の前で立ち止まる。

姉妹がカーテシーで挨拶、ヴェンダーも紳士風の右手を前に出しお辞儀をする。

俺達は普通にお辞儀をする。

「あの、どうしたのかな?」

「この前のお礼と今日夕方帰国するんで挨拶しに来た。

最後に楓に会いたくなってさ」

エレナ・エリーサを見ると照れたように顔を赤らめている。

「わ・私達も帰国前の挨拶よ」

「それと今回勉強になりましたわ」

「それと・・・はい、今回のバイト代」

エリーサが3人にそれぞれ渡してくれた。

「そう、帰っちゃうんだね、また来ることがあったら連絡してね」

楓が名残惜しそうに話していた。

俺と優二もヴェンダーと再会の約束をする。


「それから剣真、失礼な事言ってごめんなさいね」

??なんか言われたっけ?という顔をしていると、更にエレナが母国語で続けた。

『私達の言葉、理解してるんでしょ?

それを知らずに言いたい放題言ってごめんなさい。

私達も大使か外交官目指して頑張るからまた日本に来るわ、その時はまた護衛してちょうだいね。

それから・・・あなたのこと好きよ』

『・・・あ、ああ、どういたしまして、またいつか会えるといいな』

動揺していたため、何とか差し障りのない返事しか出来なかった。

向こうの言葉を話せる事に優二と楓は驚いていたけど。


そろそろ時間が無いようで、SPから移動の催促があったので別れる事となった。

去り際にエレナから

「直ぐに会えるわよ、3人共待っててね」

悪戯な笑顔を振りまいてドアの向こうに消えていったのだった。



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