2-36・・・交流2
男子3人組が勝負をしている時女性3人はプリクラを撮りまくっていた。
今1セット分の写真が出てきたところだ。
「楓、すごいわね、日本の技術は。
こんなに鮮明に撮れるとは思わなかったわ」
「でしょ?ちょっと学生にはお高いけどね」
ポーズ決めて何回か撮り、決定して写真が出てくるまで20分くらい掛かっている。
そこそこお客も入っており、順番待ちもあるため1時間で2セット出来ればいい方。
「もう一回別の筐体で撮って衣装替えて撮りましょうか」
「そうね、それでいいわ」
「コスプレで2回は撮りたいわね」
2人とも楽しんでくれているようで良かった。
剣真達はどうしているかな?一応ラインしておこう。
2回目が終わり、次はコスプレをしよう。
3人で話して予約表に書き込みをしようとして、ふと周りを見ると遠目に囲まれていた。
!!!、思わず身構える。
・・・周りの女の子達は固まっている、というか連れの姉妹に見とれているのか、びっくりしたよ。
密着されていない分楽だったんで放置する事にする。
「どうしたの?」
「えっと、2人が美人過ぎて人が集まっちゃったよ。
さあ、予約したんで着替えよう」
「「ふーん」」
『日本人ってみすぼらしいね、スタイルもイマイチだし』
『そうねエリーサ。
でも本当の事言ったら可哀想よ』
「・・・こっちよ、ねぇ、どの服がイイ?」
母国語で盛り上がっている2人を引っ張って行く。
それから3人でキャッキャ言いながら服を選び、エレナ・エリーサ姉妹は浴衣、楓はドレスに決まった。
和洋が逆転した形だ。
順番待ちをする事10分、人が集まっちゃった。
西洋人(双子に見える姉妹)の和服が珍しいのだろう、写メ撮られまくりだ。
2人の迷惑になるので制止するも止まらない。
これが数の暴力かと思っていた所に店員さんが収めてくれた。
「二人共ゴメンね、私が甘かったわ」
私は素直に謝罪した。
二人共ちょっとうんざりした顔をしていたけれど、しばらくすると落ち着いたようで、コスプレ衣装でポーズを決めていた。
良かった、機嫌が良くなったみたいで。
そう思っていた。
ポーズを決め写真を撮りながらエレナは思う。
なんて民度の低い人種なのだろう、私の国ならもっとエレガントに接するわよ。
淑女の嗜みは無いのかしら、男には紳士とか押し付けている癖に。
それを許している日本男児も情けないけど!
ヴェンダーみたいな軽いのは嫌だけれど、ちゃんとエスコートしてくれる分マシよね。
この国には私と同等のの人種はいないのかしらね?
同時期、似たような事を妹のエリーサも考えていたのだった。
写真を決め、プリントが出てくるのを待ってから着替えをするつもりで筐体の近くで待機。
すると、小さな娘が近付いて来て、舌足らずな言葉遣いで一緒に写真を撮ってもらえますか?というようなお願いをして来た。
私は快くイイよと返答して、その娘の目線にまでしゃがみ込み、母親が持っているスマホにポーズを決めた。
エレナ・エリーサは先ほどの騒動で少し疲れているみたいで拒否。
親子を笑顔で見送り、プリントされた写真をゲットして着替えに向かう。
ここで1時間強は過ぎていたので、剣真達と合流するべくUFOキャッチャーのコーナーへ。
途中、2人が化粧室へと向かい入り口で待つことに。
化粧室の鏡の前で2人並んでチェック。
鏡に映った自分達の容姿を見ながら愚痴っていた。
『あ〜〜もう!ウザい!
もう少し静かにしてもらえないのかしら。
せっかくの観光なのに!』
『確かにちょっとというかかなりうるさいわよね。
日本人ってもう少し謙虚だと思ってたわ、程度が低いわよね』
『どうしてパパもママも親日家なのか意味が解らないわ』
『乞食みたいに群がるところとか嫌だわ〜〜』
『それ、ナイスな例えね!』
そんな事を言い合いながらメイクを直すのだった。
「お待たせ〜」
待たせている楓に手を振る。
「それじゃ男子達と合流しましょう」
楓が先頭で歩き、ゲーセンコーナーの入口で待っていた3人と合流。
男子組は短い間で意気投合した様子だ。
ヴェンダーのナンパ講義に真剣に耳を傾けている2人がちょっと違和感があったけど。
「何やってるのよ?」
「え〜っと、勉強?」
「うん、勉強」
「ふ〜ん、そうなんだ〜」
「「・・・すいませんでした!」」
もうそういうキャラじゃ無いんだからやめて欲しい。
「そうそう、俺たちからプレゼントあるんだけど、受け取ってくれるかい?」
キザったらしくヴェンダーが口火を切った。
「「お、俺たちも」」
慣れない感じで剣真と優二も続く。
「先ずは俺だな、楓、プレゼントだ」
そう言いながら片膝つきながら渡す。
やはり様になっているな、自然だ。
仕草に関心しながら様子を見る、優二も同様に。
「私に?ありがとう、何かな?
あ〜、ポーチと・・・お化粧セットか。
いいの?こんな高そうな品物」
「大丈夫、UFOキャッチャーで取った奴だから」
「へ〜、こんなのがあるんだね。
ありがとう、遠慮なく貰っておくよ」
「その化粧室を俺だけのために使って欲しいな」
そう言いながらウィンクするが、楓は苦笑いを浮かべ返答に困っていた。
「次は俺たちだな」
優二とうなずき合い、お互いのパートナーの前に立つ。
俺はエレナ、雄二はエリーサ担当だ。
「「今日出会えた記念に」」
2人で同時に差し出したそれは・・・リュックタイプのバッグだった。
エレナは緑、エリーサは赤のラインが入っている。
2人の好みの色がちょうどゲットしたバックの色だったのだ。
ちなみに、ヴェンダー情報である。
「「あ、ありがとう」」
ぎこちないながらも、作法通りに礼儀を尽くす2人を見て
評価の修正をしてくれてるようだ。
「それから中身を覗いてみてよ」
言われるがままにバッグを覗き込む2人は、中に入っていた人形を取り出す。
それは日本発祥のキャラクターで、おまけにご当地仕様の限定版だった。
もちろん、緑と赤がそれぞれ目立つ奴。
「「!!!っ」」
2人とも無言のまま抱きついて来た。
こういう挨拶に慣れていない2人は硬直するのだった。