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2-25・・・知美

「それじゃまず名前を付けようか、番号読みじゃ嫌だろ?

何か希望する名前あるかい?」

「そうですね、剣真さんに付けてもらえるならその名前でいいです」

そうくるか・・・う〜ん・・・

「それじゃ、知美ってのはどう?あとは花純、リカ、マリ等々・・・」

「それじゃ・・・知美でお願いします」

「じゃあそれで決まりだな」

この時からNo107は知美となった。


「それじゃ妖精の時はこのハウスを使ってくれ」

指し示したのは先程押入れから出してきたミニチュアハウスだ。

「掃除してるし使い勝手もいいと思うよ。

丁度いいサイズだしな」

知美は変体し部屋の中を見て回っている。

「確かに丁度いいサイズです。

ちょっとした豪邸ですね」

「気に入った?」

「はい!とても」

「大まかに掃除しただけだから、細かい部分の掃除は頼むよ、俺はもうしばらくバイト探すから」

そう言ってパソコンの前に座り探し物を再開した。



私は今、このデラックスハウスの掃除をしています。

私のサイズではこの家は丁度良く、ちょっとした豪邸ですね。

台所とかトイレとかは無くても構わないのですが、おままごと用の家なのでそこは仕方ないかと。

ちゃんとベッドもあり、快適に眠れる環境もあるのには驚きました

多分これは先代・・・じゃなくクリスさんの旦那さんが改造したのでしょう、愛を感じますね。

だいたい掃除が終わり、最終チェック。

もともと家具とか持ってないし持ち込み等無いので、細かなホコリ等の除去だけだったからこれで終了かな。

ここに何年一緒に入れるかなぁ、監視者だから不正を見逃す訳にもいかないけど、出来れば長い期間一緒に行動したい。

変なことしてマイナス評価になる事をするとは思えないけど、こればっかりはね。

確信犯だったら直ぐにアウトになっちゃうけどそれはまず無いと思う。

あと、ルックスもいいしカッコいい!・・・私が好みの容姿だったなんてラッキーです。

いけないいけない、見た目だけで判断して欲しく無いって言われてたんだっけ、気をつけないと思わず口走っちゃうよ。

よし!これで掃除終わり!

剣真さんは・・・パソコンの前でまだ何か探してる。

ちょっと覗いてみようかな。

そう思って私は人サイズに戻って後ろから覗き込んだ。



んっ?背中に何か感触が・・・

俺は振り向いた。

その先には知美がいて丁度左肩の上に顔が来ている状態だった。

「うわっ!何してんだ?」

びっくりして声を掛ける。

「あっごめんなさい、何を見てるのかなって思って」

この行動は心臓に悪い!とても!

ドキドキしているのを悟られないように話を変える。

「掃除とかチェックは終わったのか?」

「はい、とても快適な空間ですね、最高です」

「それは良かった、大事に使ってくれ」

時間的にそろそろ風呂入って寝る頃かな、夏休みまで後数日だから学校もあるしな。

「ちょっと風呂入っくるから」

「はい」

「入っている間母さんと話していたら?」

「そうですね、そうします」


脱衣所で脱いで洗濯物を分別して入ろうとしていると、遅れて知美が入ってきた。

思わず前を隠し

「何入ってきてんだよ?!」

「??だってクリスさんが背中流して来いって・・・」

母さん・・・何教えてんだよ・・・

ドアから知美を追い出しながらリビングの方を見ると母さんがサムズアップしていた。

あのアマ〜!そこは息子を注意するところだろうが!

知美にはとりあえず事情を説明して部屋で待っててもらう事に。

知美ってもしかして天然なのか?

数百年生きてて異性と付き合った事無いのだろうか?

湯船に浸かりながらそんな事考えていた。

あいつ危ない奴かも?カモがネギ背負って歩いてしまって捕食されるみたいな。


風呂を上がり部屋に戻ると知美はいなかった。

ハウスですでに休んでるのかと思い、俺は明日の準備をして床につく。

しばらく目を瞑っていると眠気が襲ってきたため、そのまま眠りに落ちてきたところで・・・右側が温かい。

何だ?と眠り半分で右手を動かすと

「うわっ!びっくりした!」

眠気が一気にどっか行った。

横に知美が寝てたのだ。

「何?どうした?」

ちょっとパニクる。

「ちょっと人恋しくて。

一緒に寝てちゃダメですか?」

・・・いや、ダメだろ?普通に。

年頃の若い娘のやる事じゃ無いだろこれは。

「自分のハウスに・・・」

そう言いかけたところで知美の体が震えているのが判った。

「どうしたんだ?何かあったのか?」

「今まで独りぼっちだったんで・・・」

顔は見れなかったけれど少し涙声っぽくなっていた。

気付かないふりをしながら頭を撫でてやった。

「判った、じゃあ今日だけな?明日からは自分のハウスで寝ろよ?」

知美は黙って頷き腕をぎゅっと抱き締めそのまま安心したように眠りについた。

右腕に当たる感触が刺激的過ぎてなかなか眠れない。

眠れないついでに考えた。

俺は親がいて何不自由無く暮らしてるけど、知美達は・・・

俺は・・・恵まれてるな、とても。

そしていつの間にか眠りについていた。


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